アガサ・ハークネス
あがさはーくねす
フェイズ4のドラマ『ワンダヴィジョン』にて初登場。
黒髪の中年女性。
セイレム出身の魔女で、最強の魔女になることを渇望する。
他者の魔力を奪う能力を持ち、それによって母親や同胞の魔女を衰弱死させた。
ワンダヴィジョン
本作のヴィラン。
ワンダがウェストビューにヘックスを作り出したことを知り、彼女に気づかれないように侵入。
マキシモフ家の隣人・アグネスとして振る舞い、おせっかいだが良き隣人としてワンダに接する。
終盤で正体を現し、それまで陰で様々な工作を働いていたことが判明。
ウェストビューの住人ラルフ・ボーナー(アグネスとして振る舞っていた時にしばしば口にしていた「夫のラルフ」は、彼の名前から取ったと思われる)を操ってワンダの亡き弟ピエトロ・マキシモフに仕立て上げたり、マキシモフ家の飼い犬を事故に見せかけて殺したりもしていた。
自分の家として使っていたラルフの家の地下に工房を作っており、息子たちを探して訪れたワンダを拘束。
ワンダの精神世界に入り込み、彼女がいかにして超能力を手に入れ、発揮してきたのかを知った末に、彼女が無から有を生み出すカオスマジックの使い手「スカーレット・ウィッチ」であると断言する。
ワンダの息子たちを痛めつけたり、ワンダが操っていた街の人々の洗脳を一時的に解除するなどしてワンダを追い詰め、彼女の力を奪おうとするが、攻防でワンダを無力化した魔術を逆に使われてしまったため、敗北する。
罰として、アガサとしての記憶を封印され、本当に「ウェストビューの住人・アグネス」として生きるよう、ワンダに洗脳されてしまう。
また彼女の工房にあった魔術書をワンダが持ち去っているが、これはダークホールドという禁断の書で、本作の次にワンダが登場した『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でもキーアイテムとなる。
なおこの書はドラマ『エージェント・オブ・シールド』や『ランナウェイズ』にも登場し、特に前者ではゴーストライダーやニック・フューリーも存在を知っているほどストーリーに大きく絡んでいるのだが、デザインが大分異なること、メタ的にはどちらも映画シリーズとは関係が薄い作品である(MCUドラマ参照)ことから、同一のものかは微妙なラインと言える。
アガサ・オール・アロング
主人公を務める。
『WV』の顛末によって本来の人格と記憶を封印され、「ウェストビューの警察署に務める刑事」となっていたアガサだったが、ある日、ワンダを思わせる赤毛の女性遺体が見つかったことを気に、事態が急変。
自分の名前を言えない少年と、因縁の「緑の魔女」リオ・ヴィダルの来訪によって封印されていた人格が戻り、少年の「何でも願いを叶える『魔女の道』に行きたい」という依頼に応えることになる。
かつて皆殺しにしたセイレムの魔女たちの子孫「セイレムの七人」に追われながら、既知の魔女であるジェニファー・ケール、アリス・ウー・ガリバー、リリア・コルデルー、ウェストビューで催眠をかけていたシャロン・デイヴィスとともに「魔女の道」を進む旅に出る。
シャロン、アリス、リリアを失い、リオも仲間に入るなど、波乱の旅路は、少年の正体が『WV』でワンダが創造した息子ビリー・マキシモフの魂が憑依したウィリアム・カプランであることがわかったことで転機を迎える。
そして、自らが助かるためにリオ=デスにビリーを差し出そうとするが、ビリーにかつてデスによって連れていかれた息子ニコラス・スクラッチの面影を見出してしまい、彼の代わりにデスに口づけをして死んでしまう。
アガサを殺したデスは、ビリーを連れていくことをやめ、ビリーの命は助かった。
だが、アガサは消えてはいなかった。
デスへの口づけによって死んだアガサは霊体となり、ビリーの前に現れたのだ。
その姿は生前とほとんど変わらないが、髪は白くなり、服装は紫色のローブと、原作コミックでの老アガサに近づいていた。
更にアガサは、自分の家に戻ったビリーが気づいた疑念への回答を示す。
2人が魔女たちとともに大冒険した『魔女の道』はアガサの嘘であり、本来は存在しないものだった。
1693年に、自分の母を含むセイレムの魔女たちを返り討ちにしたアガサは1750年に息子ニコラス・スクラッチを出産。
その直前にはデス=リオが姿を現しており、すなわちニコラスは死産する運命にあったが、アガサとデスが恋仲であり、アガサが懇願したことから、デスは猶予を与えた。
ニコラスを出産したアガサは彼とともに流浪を旅をつづけ、その途中で出会った魔女団から魔力と命を奪うという路上強盗のような生活を送っていた。物心ついたニコラスから疑念を持たれるも「生き残るため」とやめることはなかった。
やがてニコラスは自作の歌を歌い始める。これが、後に「魔女の道のバラッド」となる曲のオリジンである。
デスから逃れ、魔女団ともすり寄れず、普通の人間としても生きられないアガサとニコラスの旅路だったが、ある日ニコラスの魂はデスに連れていかれ、終焉を迎えた。
息子の死に悲観するアガサのもとに、「魔女の道」のうわさを聞いたという魔女が現れる。
そこでアガサは一計を案じた。
本当は存在しない「魔女の道」の噂を広め、それにつられて集まった魔女たちから魔力と命を奪えばいい、と。
その目論見は成功し、アガサは200年以上もの間、魔女たちから魔力を奪い続けてきたのだ。
架空の存在であった「魔女の道」だったが、ビリーの来訪で状況が変わる。
ワンダの息子であるビリーは彼女の現実改変能力を受け継いでおり、無意識に現実を改変して「魔女の道」を生み出してしまったのだ。
アガサは内心驚きつつも、それによってビリーの正体に推測を立てつつ、彼や魔女たちとともに「魔女の道」を進んだのだ。
「魔女の道」の真実を明かされたビリーは、アガサを成仏させるための魔法陣を作り、呪文を唱える。
アガサも大人しく従って消えるつもりであったが、成仏することは息子ニコラスと再会することであり、アガサは彼に顔向けできないと思ったため、成仏できなかった。
そんなアガサにビリーは、自分を導いてほしいと頼み、アガサは承諾。
悪の魔女と未熟な魔法使いの、歪なコンビが誕生することとなった。