「酒や 酒が足りへんねん! もっと持ってこいや!」
「凶器 噛みつき 金的! なんでもあり!」
「肉を断ち 骨を砕きお互いの返り血で真っ赤に染まる!
思い出すわ! 地下闘技場で日々をよ…」
CV:中村大志
概要
『LOST JUDGMENT』のDLC「海藤正治の事件簿」の主要キャラの一人。
半グレグループ「紅蓮会」の代表。関西弁で筋骨隆々の大男で、四六時中酒を飲んでいるという重度のアルコール依存症となっており、紅蓮会の主催するルールなしの地下格闘大会では無敗のチャンピオンだったと豪語する。
戦闘では「地面に刺さっていた大型の照明器具を容易く引っこ抜き、それを棍のように軽々と振り回す」「海藤が投げ飛ばした身長ほどの大きさのテーブルを容易く受け止め、投げ返す」など、常軌を逸した怪力とタフネスを誇る。
作中では、主人公・海藤正治の元恋人・貞元美希子を探すため、千葉県にある診療所の院長・白樺康隆の下へ、同じ目的で訪れていた海藤の前に紅蓮会を率いて姿を現し、「みんなあんたと俺の喧嘩を楽しみにしていた」として、喜々として挑みかかってくるが、返り討ちにされ撤退する。
白樺の話によると、紅蓮会は2年前から美希子を探し回っているらしいが、その目的は…
以下、この作品の根幹に関わる重大なネタバレがあります。
経歴
剣持が代表を務める紅蓮会は「リゾーム」という大学のイベントサークルが前身となっており、彼はその設立者としてコンパ等で小遣い稼ぎをして運営していた、単なる「仲良しグループ」だった。
しかし、当時剣持と同じ大学の経営学部だった貞元響也がこれに目を付け、アドバイザーの座に就いたことから一変。剣持は貞元を「響ちゃん」と呼ぶ親しい間柄となり、貞元の口車に乗ってリゾームのメンバー達は裏でグレーな活動を始め、ビジネスを拡げていくようになる。
やがて貞元が起業した後、紅蓮会が貞元の様々な汚れ仕事と後始末を引き受けていくという関係が成立した。
作中から約15年前のある日、不動産ブローカーをしていた剣持は投資事業に失敗し資金繰りに悩んでいた貞元に話さえまとまれば巨額の利益となる土地の開発計画の話を持ちかける。しかし、美希子の実家である夏目家だけが強硬に反対し土地を売り渡そうとしなかったことから、貞元は夏目家を開発計画に協力させるのみならず、数十億の資産を持つ夏目家を懐柔ののち殺害し、全ての財産を奪い取るという恐ろしい計画を立て始めていた(詳細は貞元響也の記事を参照)。
剣持はあくまでも夏目家を開発計画に協力させるための「脅迫の一環」として、夏目家への放火を指示される。しかし、貞元の計画のことなど何も知らない剣持は、貞元の「夏目家は旅行に行っていて家の中には誰もいない」という嘘を信じ込み、夏目家の両親と美希子の妹・真帆が就寝したままの家へ指示通りに放火を実行してしまうのだった。
以来、彼は望まぬ殺人に加担してしまった罪悪感によって、夏目家の家族達の消えぬ幻影に苛まれ続けることになってしまう。
彼が重度のアルコール依存となっていたのも、実はその苦しみから逃避するためであった。
しかし、夏目家が中にいたのはあくまで不幸な事故だったとして貞元の事は疑うことはなく、引き続き実質的な右腕として様々な形で協力し続けている。
そして、剣持が紅蓮会を率いて美希子を探し回っていたのは、貞元の計画の障害となっており、夫と紅蓮会メンバーを殺そうとしている彼女を始末するためだった。
白樺診療所で海藤と決闘し敗れた後、神室町にて、尾行されているフリをして自分を狙っている美希子を炙り出し、ホテル街にあるラブホテル「赤レンガ」の最上階へ監禁。紅蓮会のメンバーを排除して後を追ってきた海藤との一騎討ちとなる。敗北後は夏目家の幻影に怯え出し、海藤に、
「なぁ もっと殴ってくれや… せやないと痛ぁてあかんのや…」
「たまらんのや…… ここが…… ずっと痛いんじゃ!」
という台詞で「痛みを全部忘れられるくらい殴ってほしい」と懇願する。
対決前には美希子を辱めたことを示唆するような発言で煽っていたものの、実際には海藤を本気で激怒させるための単なる演出であり、昏睡はさせたものの特に何もしていなかった。
結末
「ずっと… おるんや… すまんかった… すまんかった…」
物語終盤、異人町で海藤と美希子、そして対峙した貞元の前に、切り札として事前に用意した人質である貞元准を連れて再び姿を現す。
しかしそこで海藤にすべての真実を暴露され愕然とする。信じられない面持ちで貞元に問い質すが、直前に飲んでいたワインに貞元が遅効性の猛毒を仕込んでいたことでその最中に吐血。彼に用済みとして始末されてしまい、あまつさえ「葬式は盛大に挙げてやるから成仏しろ」とまで言われてしまう。
その後、海藤が一騎討ちで貞元を倒し、美希子が准の説得によってその殺害を思いとどまった次の瞬間、蒼白となったゾンビのような顔で突然起き上がる。
そして、依然現れ続ける夏目家の幻影に虚ろな目で謝罪を繰り返しながら、
「おまえが…… おまえがぁ!」
「なんでや! なんでや響ちゃん! なんでやああ!」
倒れたままの貞元に掴みかかり、望まぬ殺人をさせられたこと、最期まで都合のいいように利用されたことへのあらん限りの憎悪をこめたその怪力で、貞元の首をへし折って殺害する。
文字通りこれが最期の力だったらしく、彼はそのまま貞元の死体に馬乗りになった状態で事切れるのだった…。
評価
夏目家の面々を焼き殺してしまったことを認知していながらも、結果的に自分に放火殺人の指令を下したも同然となった貞元の言説をそのまま信じ続け、その後も盲目的に彼に従い続けたことについてはかなりの疑問が残る。
しかし、貞元とは違って彼自身が長い期間良心の呵責に苛まれていたこと、元はただの大学のサークルに所属していただけであり徹頭徹尾貞元に利用され続けていたも同然であることから、彼の境遇と結末については同情的な声も多い。
半グレでありながらも悪人になりきれていない、哀れなキャラクターだったとも言えるだろう。
余談
剣持を演じた中村氏は『龍が如くONLINE』で、東城会直系錦山組若頭・新藤浩二を担当した。
関連動画
Bottled Spirits(戦闘曲)
関連タグ
ロストジャッジメント 海藤正治の事件簿 半グレ アル中 武闘派
阿久津大夢…『ロストジャッジメント』本編で同じく半グレグループに所属していた人物。彼もまた大柄な体格で、黒幕の隠れ蓑にされていたが、利用されていた相手に一矢報いた剣持と違い、阿久津の場合は事の真相を知らされないまま始末された。