シボレー・コルベット
しぼれーこるべっと
1953年、アメリカ初の本格的量産スポーツカーとして誕生した、シボレー・ブランドのフラグシップモデルである。ハーリー・J・アールとエド・コールを中心に開発を進め、1953年のモーターショー「モトラマ」で披露され、コルベットと名付けられた。
C1型(1954年~1962年)
造形に自由が利くFRPによるグラマラスなデザインで、オープンカーのみ。
最高出力150馬力の3,859cc直列6気筒OHVエンジンを搭載。
パフォーマンス面での不満から販売が伸び悩んだため、ゾーラ・アーカス・ダントフによりリファインが進められた。
1955年モデルより、最高出力300馬力の4,343ccV型8気筒OHVエンジンに変更。「シボレー・スモールブロック 262」と呼ばれるこのエンジンは、その後半世紀以上に渡ってGMの屋台骨となるシボレー・スモールブロックエンジンの源流であり、同時期にベルエアにも搭載された。
C2型(1963年~1967年)
原型となった「スティングレイ・レーサー」(1959年)の名を取って「スティングレイ」のニックネームが与えられた。レーサーモデルゆずりのシャープなデザインで、クーペ・ボディ中心となる。この代から暫くリトラクタブル・ヘッドライトが続く。
1963年型のみリアがスプリット・ウィンドウで、後世レア・モデル扱いされる。
最高出力360馬力の5,358ccV型8気筒OHVエンジン(インジェクション仕様)を搭載。
1965年に登場のZ06は最高出力425馬力の6,489ccV型8気筒OHVエンジン(通称「ビッグブロック」)を搭載。
C3型(1968年~1982年)
超音速機のエリアルールにヒントを得、コークボトルのような括れを持つグラマラスなデザインが特徴。コンセプトモデルの「マコ・シャーク」(1961年)が元になっている。
1969年より排気量7,440ccのエンジンがラインナップに加わった。
1971年に施行されたマスキー法(大気浄化法)による排気ガス規制で全てのモデルの最高出力がダウン。
1973年のオイル・ショックにより、最高出力190馬力の5,733ccV型8気筒OHVエンジンへ一本化される。
C4型(1983年11月~1996年)
C3型をシャープにしたようなデザイン。
最高出力205馬力の5,733ccV型8気筒OHVエンジン「L98」を搭載。85年の改良でポート噴射化し、230馬力まで向上。
1989年にハイパフォーマンスモデルのZR-1が追加される。
ロータス設計の「LT5」エンジン(5,727ccV型8気筒DOHC)は1989年型で375馬力、1993年型で405馬力を発揮。
C5型(1997年~2004年)
空気抵抗の低減を図ったグラマラスなデザイン。
C4型以来積み重ねた改良により、ヨーロッパのスポーツカーに近い性質となった。
2001年、2002年のルマン24時間ではクラス1-2フィニッシュを為し遂げた。
エンジンは前モデルのC4型と同じ。
世界最後のリトラクタブルヘッドライト車である。
C6型(2005年~2013年)
細部まで切り詰めたシャープなデザインで、全長で100mmの小型化。
リトラクタブル・ヘッドライトを廃止し固定式ヘッドライトとなる。
キャデラックXLRの兄弟車。
Z06用に最高出力511馬力の「LS7」エンジン(6,997ccV型8気筒OHV)が用意された。ちなみにグランツーリスモにおいては最新作の7からS13Q's、ハイエース、RE雨宮のRX-7、2017年式のR35GT-R、2代目M3、デロリアン、アミューズのZ33、240ZG、LC500やヴェイロンとNSXのGr.4モディファイ仕様と後述のC7の架空のホモロゲーションモデルに載せる事が可能である。
2008年にハイパフォーマンスモデルのC6・ZR-1が投入された。最高出力647馬力の「LS9」エンジン(6,156ccスーパーチャージャー付V型8気筒OHV)を搭載する。こちらはグランツーリスモ内ではファイヤーバードに搭載可能。
C7型(2014年~2019年)
メリハリのあるグラマラスなデザインで、再び「スティングレイ」のニックネームが与えられた。
徹底的に軽量化が行われ、車両重量は1540kg。
最高出力460馬力のLT1型エンジン(6,153cc直噴式V型8気筒OHV)は12.3km/Lの低燃費(この種の車にしては)も両立させている。こちらはND型ロードスターや先述のC4までの旧型コルベット、後期型の86やBRZ、S14にグランツーリスモ内で載せる事が可能となっている。
C8型(2020年~)
現行モデル。
コルベット史上初となるMRレイアウトが採用された。このモデルから世界戦略車としての位置付けの為なのか史上初となる右ハンドルモデル(2021年から販売開始)が導入される。
MR化したが、乾燥重量は1530kgと先代から-10kgの軽量化を達成。搭載エンジンは改良型のLT2型を搭載、その出力は495馬力まで上げられている。この性能でありながら、本国では6万ドル(約650万円)という破格のプライスタグがつけられたことも話題となった。
尚、このパフォーマンスはあくまでも標準モデルの話である。
2021年10月に遅れて登場したコルベット伝統のハイパフォーマンスグレード「Z06」。初代から脈々と受け継がれて来たフロントミッドシップ・リアドライブレイアウトを廃し、リアミッドシップとなったC8だが、Z06ではコルベットのもう一つのアイデンティティまで捨て去るに至った。歴代コルベットの心臓部を務めてきた、シボレースモールブロックV8である。
OHV・クロスプレーンクランクシャフトの形態を開発から半世紀以上の間守り続けている従来のシボレーV8に見切りをつけ、新型のZ06では新開発のDOHC・フラットプレーンクランクシャフトの5.5L V8「GM LT6」を採用した。レッドゾーン8600rpm- 最大トルクの624N・mを6300rpmで発生する高回転型ユニットは、コルベットとしてはかなり異色な、どちらかと言うとフェラーリのそれに近い特性を持つエンジンに仕上がっている。
実際、このエンジンを開発するにあたり、GMはe-bayで中古のフェラーリを購入し、エンジンを分解してフラットプレーンのノウハウを蓄積したという逸話がある程である。
最高出力680PSのLT6の片棒を担ぐのはファイナル5.56:1の8段デュアルクラッチであり、これを通じて幅345・偏平率25のリアタイヤを駆動する。GMによると0-60マイル(0-96km/h)加速は2.6秒とのこと。アヴェンタドールやGT-Rもびっくりの数値である。
足回りやエアロダイナミクスにもかなり力が入っており、Z07パッケージではカーボン製ホイールが装着される様である。詳しくは英語版wikiでも見てほしい。
さらに2023年1月には、コルベット史上初となるハイブリッドモデル「E-ray」が発表された。スティングレイに搭載される6.2L LT2に160馬力のフロントモーターが組み合わされ、システム最高出力は655馬力。こちらは余裕のトルクを活かして、0-60マイル加速では2.5秒をマークする。
しかし、GMの本気はこんなものではなかった
2024年7月、かねてより一部のファンに期待されていた真打がアンベールとなった。
「ZR1」
かつてのC4やC6のそれに代表される、最強コルベット。否、アメ車史上最強マシンの称号である。上述のC6・ZR1の647PS、C7・ZR1の766PSも相当なインパクトを以てして、市場に迎え入れられた。
今回のC8・ZR1が手に入れたパワー。それは、
1079PS/7000rpm
パワーお化けの代名詞的存在としてここ数年パワー競争のトップにいたダッジ・チャレンジャーデーモン170(1039PS)を、そのパワーで王座から引き摺り降ろした訳である(トルクでは58N・mの差で1281N・mのデーモンが依然として頂点となる)。
異次元のパワーを生み出すZR1の心臓部は、Z06に搭載されるLT6をツインターボ化した「GM LT7」。市販車に搭載されるV8エンジンとしては史上最強。ブガッティ・シロンとかいうバケモンを除けば、純ガソリンエンジン車としても世界トップクラスのパワーを誇る。
0-60マイル加速の数値はまだ公開されていない。1.7秒を誇るデーモンにどこまで喰らいつくかが注目されている。