概要
『南無』と『三宝』という二つの言葉が合わさって、「仏」「法」「僧」の三宝にすがり、救いを請うといった意味となっている。
咄嗟の危難に対して天に助けを乞うおまじないの意味で使用されることもある。
詳細
『南無』とは、サンスクリット語のナマス(namas)及びナモー(namo)の音写であり、「挨拶」、「礼拝」というほどの意味である。すなわち尊敬する対象に心をこめて敬礼(きょうらい)すること。
例えばインドの挨拶語のナマステ(namas-te、ナマス・テー)は「あなたに挨拶(します)」。
シャラナン・ガッチャティ(śaraṇaṃ gacchati)の訳である「帰命」「帰依」と混同されて、同じ意味を持つようになった。さらにそれが転じて「命を捧げる」もしくは「命を捧げるほど大事に敬う」、「信じてよりすがる」といった意味にもなる。
仏を拝む時に、仏や経典の名の前につけて、仏に対する絶対的信頼を表現する。
『三宝』とは仏教における三つの宝物の事であり、具体的には「仏」と「法」と「僧」のことである。この三宝に帰依することで仏教徒とされる。(ちなみに僧とは本来サンガの音写であり、個々の出家者ではなく「出家者の集団」をさす)
南無三はサンスクリット語音写および日本語訳・発音では以下のようなもの。
Buddhaṃ śaraṇaṃ gacchāmi.
(目覚めた人に帰依します)
Dharmaṃ śaraṇaṃ gacchāmi.
(目覚めた人の教えに帰依します)
Saṅghaṃ śaraṇaṃ gacchāmi.
(出家者の集いに帰依します)
浄土真宗大谷派 勤行集・三帰依(パーリ文)より発音
ぶっだん さらなん がっちゃーみ
だんまん さらなん がっちゃーみ
さんがん さらなん がっちゃーみ
これを漢訳すると
帰依仏竟 帰依法竟 帰依僧竟
となる。
創作キャラによる使用例
東方Projectに登場する尼僧「聖白蓮」が戦闘直前に言い放った(その際立ち絵に「南無三――!」というテキストも表示される)事からプレイヤーの印象に強く残り、このキャラクターのネタやイラストなどで使われることが多い。
そこから「キャーナムサーン」の愛称も生まれた。
聖戦士ダンバインの主人公ショウ・ザマは覚悟を決めたときなどによく「南無三!」と口にする。
スーパーロボット大戦の攻撃時の台詞にも使われている。
機動戦士ガンダム0083のアナベル・ガトーは発射寸前のソーラ・システムの眼前に飛び込んだ時に叫んでいた。
ショウやガトーに限らず、富野作品のキャラで覚悟を決めた時などに「南無三」と口にするキャラはちょくちょくいる。
忍者戦隊カクレンジャーの巨大ロボ無敵将軍が敵を倒したときに言う。
『アカツキ電光戦記』の主人公・アカツキ(試製一號)が、空中から相手に拳を打ち下ろす攻撃「兜割り」の際、「南無三ッ!」と叫ぶ。
昨今の作品では「成仏」の意味で誤用されることが増えてきている。