曖昧さ回避
- 1973年のアメリカのミステリー・スリラー映画。原題は"Blade"。→英語版Wikipedia
- 1989年のアメリカのホラーコメディ映画。原題は"Blades"。→英語版Wikipedia
- 1995年の香港のアクション映画。原題は"The Blade"、邦題は『ブレード/刀』。→英語版Wikipedia
概要
MARVELコミックのヒーローであるヴァンパイアハンター「ブレイド」の実写映画。
2000年前後に三部作+ドラマシリーズが展開され、アメコミ映画の黎明期を支えた。
しばらく経ってそのリブート版として、2020年代に再び映画が製作中。
ニュー・ライン・シネマ版
B級映画を主に手掛ける同社の製作・配給ということもあって、同時期の実写版『X-MEN』『スパイダーマン』と比べると製作費の少なさは否めず、いまひとつ影も薄い。ヒーロー自体の知名度の低さに加えて他ヒーローについては登場どころか言及もないため、特に日本国内ではアメコミ原作と知らずに単なる「ウェズリー・スナイプスのアクション映画」として認識している人も少なくないとか。
しかし、ハリウッド屈指の肉体派にして武術オタクであるスナイプスを起用しただけあってアクションのクオリティは非常に高く、キレッキレのブレイドを堪能できる。なんだかんだ3作も製作されただけあって根強いファンも多い。
なおニュー・ライン・シネマはワーナー・ブラザーズ傘下にあるためスパイダーマンより権利関係が複雑で、現在も「ディズニープラス」で配信されていない。
- 世界観
本シリーズにおけるヴァンパイア(吸血鬼)は「噛まれたことで唾液から侵入したアルゴウイルスによって感染する」血液の病気のような扱いで、作中でブレイドは"癌"と表現した。このため伝承通りニンニクや銀、太陽の光=紫外線に加えて医学的な面からの対策も有効。十字架は効かない。
人間からヴァンパイアになった個体(混血)と生まれつきヴァンパイアの個体(純血)が存在し、やはり格差が存在する。またヴァンパイアにならず奴隷(眷属)として活動する人間も一定数おり、社会の闇の部分に根を張っている。
ヴァンパイアには有力な12の血族があり、それぞれ持つマークは下っ端や眷属の身体のどこかに刻まれている。
一覧
- ブレイド
- 原題:Blade
- 公開:1998年8月(日本は翌年の5月)
第1作。
近頃勢力を伸ばしていた元人間のヴァンパイア・フロストを追う最中、彼の部下に噛まれた検死官のカレンを助けたブレイド。武器商人であり発明家のウィスラー、そして処置が早かったため吸血鬼化を免れたカレンと協力し、太古より伝わる血の神「マグラ」を復活させ人間から隠れ住む今の体制を脱却しようとするフロスト一派と激闘を繰り広げる。
コミックと同じくブレイドの母を妊娠中に襲ったのはフロストだが、一捻り加わっている。
また未公開エンディングではコミックでも共演の多いモービウスの存在が示唆されていたが、続編での登場は見送られ、彼の実写デビューは2022年の主役映画を待つことになった。
- ブレイド2
- 原題:Blade II
- 公開:2002年3月(日本は6月)
第2作。
新しい協力者のスカッドとともに前作で死亡したと思われたウィスラーを救出したブレイドの元に、ヴァンパイアの大君主ダマスキノスから休戦の使者が届く。「アルゴウイルス」の変異により誕生したヴァンパイアをも狙う新種「死神族(リーパーズ)」の存在を知らされたブレイドは申し入れを受け入れ、ダマスキノスの娘ニッサら精鋭部隊「ブラッドパック」を引き連れ討伐に向かうが、その裏にはとある陰謀が隠されていた。
監督はギレルモ・デル・トロ。共演にドニー・イェン(アクション監修を兼任)やノーマン・リーダスと、現在も活躍するスタッフ・キャストが関わっており、評価も前作より高い。
なお変異ウイルスの存在や配管の多い地下で大量の敵を相手にする戦闘シーンなど、某ゾンビ映画の第1作と要素が似ているが、本国公開自体も1週間違いだったりする。
- ブレイド3
- 原題:Blade: Trinity
- 公開:2004年12月(日本は翌年の5月)
完結編となる第3作。
ヴァンパイア狩りの途中、策に嵌り公衆の面前で眷属の人間を殺してしまったブレイドはFBIに追われる身となり、さらに捕縛時にウィスラーが犠牲となってしまう。殺人鬼として移送されるところをウィスラーの娘アビゲイル率いる人間のハンターチーム「ナイトストーカーズ」に助けられたブレイドは、自身を嵌めた一派がヴァンパイアの始祖ドレイクを復活させたことを知り、彼の討伐に向けて動く。
「ナイトストーカーズ」の一員ハンニバル・キングを演じたのは、後にデッドプールで有名になるライアン・レイノルズ。当時から軽口や下ネタばかりの陽気なキャラが得意だったが、ホラー要素の多い本作では若干浮いており、ウェズリーからも仕事に対する姿勢を理由に疎まれていたとのこと。だが…
敵側の1人をプロレスラーのトリプルHが演じており、日本では蝶野正洋がその吹き替えを担当したことも話題になった。
- Blade: The Series
本国アメリカで2006年夏に放送されたドラマシリーズ。全12話。
三部作の続編で、3つ全てに関わったデヴィッド・S・ゴイヤーが脚本・製作総指揮を務めたが、主演はカーク・ジョーンズに交代。若き日のウィスラーも登場する。
邦題は『ブレイド ブラッド・オブ・カソン』で、本編に登場するヴァンパイアの「カソン家(the House of Chthon)」からとられている。
長期間の放送が予定されていたが、視聴率が振るわずシーズン1で終了となった。
その他
シリーズ通して登場したウィスラーの名前は「エイブラハム」で、吸血鬼のイメージを世界に広めた小説『ドラキュラ』のアブラハム・ヴァン・ヘルシングが元ネタ。コミックでも彼の孫娘という設定のレイチェルが登場初期のブレイドと共闘した。
またウィスラーは本シリーズオリジナルではなく、1994年のアニメ『スパイダーマン』が初出。というのもブレイドがゲスト登場する回の脚本担当が前述したゴイヤー氏で、映画のプロットを流用した形であるため、外見が若い以外はほぼ同じ役回り。
ちなみにアニメではモービウスとの共演も実現している。
なおテレビ東京で放送された吹き替え版では、ブレイドを大塚明夫・ウィスラーを大塚周夫が担当しており、親子共演となっている。
MCU版
スナイプス版のリブートとしてディズニー=マーベル・スタジオの元で単独映画の製作が発表されており、2021年11月公開『エターナルズ』のポストクレジットシーンにて声のみではあるが先行登場、2025年11月に公開予定。
主演は2度のアカデミー助演男優賞を受賞しているマハーシャラ・アリ。
MARVEL作品にはドラマ『ルーク・ケイジ』のコーネル・ストークスや、アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』のアーロン・デイヴィスなどで参加経験がある。
2019年のコミコンで華々しく発表されたはいいものの、その後の制作はお世辞にも順調とは言い難く、脚本の度重なる書き直し・脚本家交代・監督の降板といった事態が生じている。
上記の公開予定日も守られるかどうかを疑問視するマスコミも多く(一度は2024年と発表されたが延期になっているため)、そもそも公開まで1年を切った2024年上半期の時点で制作に入ったという情報すらないため、ファンの間ではこのまま企画が頓挫してしまう可能性まで囁かれ始めている有様である。
ブレイドの明日はどっちだ。
関連タグ
演者:ウェズリー・スナイプス 吹替:小山剛志
MCU作品『デッドプール&ウルヴァリン』でウェズリー演じるブレイドが再登場。
事前情報は一切無かったので恐らく今作最大のサプライズだろう。
ブレイドシリーズから数十年経ったからかところどころ白髪が生えている。
今作では虚無空間で仲間のエレクトラ、ガンビット、X-23と共にカサンドラ・ノヴァと敵対するレジスタンスとして活動している。
なぜ虚無空間にいたのかと言うとTVAに連行され、抵抗した末に剪定されたらしい。
アジトを訪れたデッドプールとウルヴァリンがカサンドラ・ノヴァのアジトから逃げ延びた事を知り、デッドプールが考案した虚無空間からの脱出作戦に賛同。
デッドプールとウルヴァリンが乗ってきたオデッセイに乗り、後部座席からパニッシャーのロケットランチャーを使って門を破壊し、乗り込んだ。
この時、自ら「ブレイドは俺一人だ。過去にも未来にもずっとだ!」と称し、それを聞いたデッドプールは意味深な視線を視聴者に向けている(これは恐らく製作が難航して未だ撮影されないMCU版ブレイドへの皮肉かと思われる。実際、視聴者の中には「打ち切りになって、本当にブレイドはウェズリーだけになりそう」という声もある)。
カサンドラの手下たちとの戦いではエレクトラ達と共に先陣を切り、お馴染みの手裏剣やマチェットを駆使して、アザゼルやトードと戦い、全盛期に劣らない強さを見せた。
デッドプールとウルヴァリンが虚無からの脱出に成功した頃にはカサンドラの手下たちは全滅、作戦は成功に終わった。
その後の様子は描かれていないが、デッドプールのお願いでハンターB-15によって元の世界へ帰されたと思われる。
デッドプール演じるライアン・レイノルズは『ブレイド3』でハンニバル・キングを演じており、20年越しとなる再共演となった。
なんでもライアン・レイノルズはウェズリー主演のブレイドを「マーベル映画の父」だと称しており、ウィズリーにも『LOGAN』に当たる様な作品を作りたいと述べる程。
また、今回の再演でウェズリーはギネス世界記録「実写版マーベルキャラクターにおける史上最長のキャリア」(25年と340日)と「実写版マーベルキャラクターにおける史上最長のブランク」(19年231日)の更新を果たした。