解説
MARVELコミックに登場するヴィラン。初登場は1979年の『Marvel Premiere #47』。
従兄弟のウィリアムも「クロスファイア」というヴィランで、主にホークアイと因縁が多い。
フルネーム:ダレン・アゴニステス・クロス(Darren Agonistes Cross)。
クロス・テクノロジー・エンタープライズを築き上げた億万長者だったが、心臓病にかかり、自社で開発したペースメーカーを使用。
だがその副作用で肉体に変異が生じ、超人的な肉体と感覚を得たものの、その維持に心臓が消耗してしまうことから、ホームレスや老人らを攫っては心臓を奪っていた。
また専門家としてソンドハイムという女医も誘拐したが、その現場に娘キャシーを救ってもらおうと彼女に会いに来たスコット・ラングが居合わせており、スコットは少し前にハンク・ピム邸から盗んだアントマンスーツを着て忍び込み、手術を妨害。
さらにソンドハイムが移植したと見せかけて古い心臓をそのまま放置しており、スコットとの戦闘中に死亡した。
この、スコットが二代目アントマンとして活動するきっかけになった事件の1回限りの登場だったが、遺体は会社を継いだ息子のオーガスティンによって冷凍保存されており、彼とクロスファイアがキャシーを拉致、彼女の心臓を移植して復活した。
キャシーは幼少期からピム粒子を浴び続けていたことでスーツ無しでも縮小・巨大化できるようになっており、その影響でダレンも同じ能力を獲得。
さらにエライアス・スター / エッグヘッドの協力でスーツ「イエロージャケット」を開発し、能力をコントロールできるようになった。
MCU
演:コリー・ストール、日本語吹替:大川透
『アントマン』のヴィランとして登場。
こちらではハンク・ピムの科学者としての弟子で、才能を見込まれて教えを受けるが、危険なピム粒子関連については秘匿されていたことに失望。
やがてハンクを超えるという野心を持つようになり、数年前に彼の娘のホープ・ヴァン・ダインと共謀して彼をピム・テックから追い出し、CEOに就任した。
さらにピム粒子とアントマンスーツを模倣した「クロス粒子」および「イエロージャケット」を独自に開発。それを軍事利用しようとする元S.H.I.E.L.D.幹部(かつヒドラの一員)ミッチェル・カーソンと契約を結ぼうとしていた。
スーツはアントマンを凌駕する性能。飛行可能で、背中にはレーザーを発射する2本のアームを備えている。レーザーは着弾したものを爆散させる程の威力を持つ他、小さくなってもそれなりに保持されており、人間程度なら容易く射殺することが可能。
ただしクロス粒子はオリジナルと違い黄色であるばかりでなく、「生物に利用すると肉体がスライムのように崩壊してしまう」という欠点を抱えていたため、スーツを隙間なく密閉し「中の装着者ごとスーツを縮小する」ことでこれをクリアしている。
だがその欠点すら、使い方を変えれば有能な暗殺能力であるとも言え、証拠を残さず対象を抹殺するビームガンに転用されている。
またもう1つの重大な副作用に「人の精神を不安定にさせる」というものがあり、その対策を怠った結果、運用実験を経て倫理観が激しく失われた状態に。
表向きは温厚なビジネスパーソンを振る舞っているが、ハンクへの憎悪からわかるように実は激情を秘めており、それがさらに増幅。イエロージャケットを疑問視する同僚を平気でビームガンで処刑・水洗トイレに流すなど、部下や民間人をも躊躇なく犠牲にするマッドサイエンティストになってしまった。
己の所業を止めるためにハンクがスコット・ラングを二代目アントマンに選んだときも、彼に対して嫉妬心を抱いていたようである。
イエロージャケットの開発・量産を目論んでいたダレンだったが、ハンクの計略とスコットの活躍、さらに自身を裏切ったホープにより、ハンクの殺害を失敗した上、クロス粒子のデータを消去され、精製工場もピム・テック社屋ごと爆破されてしまった。
激昂したダレンはスーツを身に纏いスコットを抹殺すべく戦いを挑み、キャシーの部屋で激闘を繰り広げるが、粒子以下に縮小したスコットに内部に侵入され、機械類を破壊される。
粒子の貯蔵タンクを壊されたのが決定打となりスーツだけが縮小、身体を極限まで圧縮されて消滅した。
こうしてクロス粒子はこの世から失われたと思われたが、ミッチェルは粒子の一部を奪い去り、逃走に成功している。
ピム粒子を応用した成果や「量子世界」の存在もあるため、残ったクロス粒子は以降の展開に関わってくると思われる。
ドラマ『ロキ』では、虚無空間にてイエロージャケットの頭部らしき残骸が一瞬だが登場。