概要
MARVELコミックに登場するスーパーヴィラン。1976年初登場。
額に「的(まと)」を表す◎のマークがあしらわれた、黒い覆面スーツを着用している。
能力
"Bullseye"「大当たり!」の由来でもある驚異的な投擲。あらゆるものを狙った目標へと命中させる事が可能。
投げつけるものは野球ボールや万年筆、爪楊枝やトランプのカードやヨーヨーなど日用品でも問題無く、ごく普通のカードでも刃のように目標の首や急所を切断し、万年筆やペンなどはナイフと同じく刺殺の凶器となる。時には自身の折れた歯を恐るべきスピードで吐き出すことで相手の頭部を貫通させて死に至らしめたことがある。
ホークアイの射撃(弓矢)に匹敵するため、ノーマン・オズボーンが結成したダークアベンジャーズでは偽ホークアイを務めた(後に宿敵であるデアデビルの偽物になった事も)。
なおこれがスーパーパワーなのか技能なのかは不明で、その中間「フリンジ・パワー(fringe:周辺)」と呼ばれることがある。
後にアダマンチウム鋼を自身の骨格に移植され強化。その骨は破壊不可能となった。そのため、高層ビルからの落下やトラックに撥ねられるといった即死レベルの負傷でもことごとく生き延びるように。
ただし、ウルヴァリンのような回復能力は無いため、肉体は傷ついても負傷は簡単には治らない。
投擲以外には、オリンピック選手レベルのアスリート級身体能力を持ち、特にアクロバットや、スタミナと腕力を活かしたボクシングやカンフーなどの格闘技に精通している。
来歴
オリジン
出生に関しては謎が多く、レスター(Lester)と呼ばれることはあったがそれが本名かも不明。そもそもブルズアイは精神を病んでおり、自身が語った過去のどれが事実なのか、あるいはすべてが嘘なのか、それらは不明のままである。
最初は「自分を虐待していた父を殺し、ここからヴィランになった」と語っていたが、この後に医療刑務所に押し入った際、そこで会った入所者を「パパ」と呼んでいる。
逮捕され、国家安全保障局(NSA)から受けた尋問では、「元野球選手であり、メジャーリーグの初試合でノーヒットノーラン達成寸前、退屈しマウンドから降りようとしたところを相手打者に嘲笑されたため、彼の頭にボールを当て殺害。業界を追放され、その後NSAのエージェントを経てフリーの殺し屋になった」。
他にも、「CIAの仕事を手伝い、反政府組織の訓練を行ったことがある」などと支離滅裂な言動を見せている。
活躍
初登場時にニューヨーク市民全員を人質に取り脅迫する事件を起こすが、これをデアデビルに阻止され、ここから彼との因縁が始まった。
キングピンに雇われた後、デアデビルの正体が弁護士マット・マードックだと付きとめ、マットの元恋人で女暗殺者のエレクトラを殺害。これに激怒したデアデビルにより、打ちのめされてビルの屋上から突き落とされてしまった。
全身の骨が砕けて再起不能に陥ったが、ダークウィンドというヴィランによって全身の骨にアダマンチウムを移植、復活する。
この後、デアデビルの恋人を狙い、カレン・ペイジを殺害。その後にマットが交際を始めたミラ・ドノヴァンも手に掛けようとしたため、デアデビルに捕えられ、その額に標的マークの傷を刻み付けられた。
ノーマン・オズボーンの元で「サンダーボルツ」「ダークアベンジャーズ」にも、ヒーローを装う事で参加。ダークアベンジャーズでは、偽ホークアイとなっていた。
この後、デアデビルと再戦。しかしまたも敗北し、全身麻痺が残るほど叩きのめされる。
身動きが取れなくなっても、自身で傭兵部隊を雇い、デアデビルを襲わせるなどしている。
実写版
映画『デアデビル』
2003年公開。
コスチュームを着けず、頭に的の入れ墨を入れただけのビジュアルになっている。しかし劇中では「オレもコスチュームが欲しい」とわめくシーンがあった。
驚異的な投擲能力は健在で、この映画でもエレクトラを殺害した。
演者のファレルは後に映画『ザ・バットマン』でペンギンも演じたため、MARVELとDCコミックのヴィランを両方演じた俳優となった。
また吹き替えの村治も、MCUでフィル・コールソン(演:クラーク・グレッグ)を担当している。
活躍
当初からキングピンに雇われた殺し屋として登場。
キングピンの指示でニコラス・ナチオスと娘のエレクトラを殺害し、自身の攻撃を回避された私怨でデアデビルも始末しようとしたが、トドメを刺そうとしたところを運悪くS.W.A.T.が遠くから放ったライフルが両手を貫通して負傷。直後にデアデビルの反撃で原作と同様にビルから投げ落とされて敗北(ちなみに当のS.W.A.T.はデアデビルとブルズアイ両方の狙撃を指示されていたが、レーダーセンスでS.W.A.T.の動きを探知したデアデビルが咄嗟の機転でブルズアイにだけライフルの弾が当たるように誘導していた)。
その後、病院送りとなって退場した。
MCU版
演:ウィルソン・ビーサル、日本語吹替:宮本淳
スピンオフドラマ『デアデビル』のシーズン3に登場。
本名:ベンジャミン・“デックス”・ポインデクスター(Benjamin "Dex" Poindexter)。
元陸軍のFBI捜査官で、射撃の名手。
投擲能力は健在で、標的までの間に障害物があっても、壁などで反射させて命中させることができる。
表向きは普通の社会人として振舞っているが、少し気に入らないことがあると物を壊したりする衝動的な性格。
なおかつ、命に対する価値観が軽く、人殺しもいとわない。自殺防止センターでは、相談者に自殺するよう誘導したこともある。
活躍
いつも怒鳴る両親からはマトモな善悪を教えられず、両親が事故で死亡した後は孤児院で育った。
最初の殺人は、所属していた少年野球チームのコーチに対し、「最後までマウンドに立たせてくれなかった(完全試合をやれば両親が戻ってきてくれると信じていた)」という理由で、投げた野球ボールを柱に跳ねさせて彼の頭にヒットさせるという、精密な投擲能力を生かしたやり方だった。
周囲は事故だと思い、カウンセラーのマーサーのカウンセリングを受けさせた。彼女はデックスが起こした殺人について聞き出したが2人だけの秘密にした。それからマーサーは10年近い年月をかけて彼の心を真っ当にするために尽力しデックスにもある程度の成果が出てきたが道半ばで癌を発症した。本当に深く悲しんでいるデックスに彼女から今までのカウセリングの録音を渡し、新しいカウンセラーの連絡先を渡そうとしたが彼は激昂した。死の間際にある彼女に「最後まで一緒にいてくれると言ったのに」と、制御できない怒りで彼女を殺そうとした。しかし、常に死が勝つという最後のレッスンを始める。
自分1人では何をするか不安だと告げるデックスにマーサーは「心のコンパスを導いてくれる北極星(善良な人間)を探しなさい」と伝えた。
マーサーの死後、彼女の教えに従い、陸軍、自殺防止センターを経てFBIの捜査官となる。自殺防止センターで、職員のジュリーに一目惚れし、彼女をストーキングしていた。
シーズン3冒頭、FBIでの取引で刑務所から所外のセーフハウスに移送されるウィルソン・フィスク / キングピンの護衛を担当。フィスクを狙ったアルバニア人を倒したことから一時英雄視されるも、カレン・ペイジが所属するブレティン社の報道でフィスク救出に関する疑惑が報じられ、休職を余儀なくされる。おまけに、不用意な発言でストーキングのことをジュリー本人に知られてしまう。
フィスクは、そんなデックスを子飼いの部下にしようとし、マットにヒーロースーツを作ったメルヴィンにもう一着のデアデビルスーツを作らせ、デックスを偽デアデビルに仕立て上げる。
偽デアデビルとなったデックスは、フィスクに不利な証言をしようとした元囚人と彼をかくまったブレティン社の社員たち、カレンをかくまったクリントン教会のラントム神父や信者たち、そしてFBIの同僚であるレイ・ナディーム捜査官を次々と殺害し、フィスクへの忠誠を自分のよりどころにしようとしていた。
しかし、フィスクがデックスを冷酷な殺人マシーンにするためにジュリー(ブレティン事件後、彼は彼女に正直に謝り関係は改善されていた)を殺したことを知り、フィスクとヴァネッサの結婚式に乱入。駆け付けたマットを加えて三つ巴の戦いになるも、フィスクに背中から壁に叩きつけられて脊髄損傷となり戦線離脱する。
マットに敗北したフィスクが再び投獄された後、背中の手術を受ける。
意識があるかないかわからないが、手術中に目を見開き、瞳にブルズアイのシンボルである「的(まと)」のマークが浮かび上がった。
(ちなみに少年時代にかぶっていた野球帽にも、同じマークがあしらわれていた)
再登場を示唆するシーンであるが、Netflix制作の『デアデビル』はシーズン3をもって終了。
今後の去就は不明なままである。