SHOGUN将軍
しょうぐん
ジェームズ・クラヴェルが1975年に手掛けた小説『将軍』(Shōgun)を原作とした、日本を舞台とするアメリカ合衆国の時代劇リミテッドシリーズドラマ。
本作は1980年にも『将軍 SHŌGUN』のタイトルでドラマ放送されており、2度目の実写ドラマ化となる。
FX製作、Huluなどで配信され、日本では2024年2月27日からDisney+で独占配信が開始された。
また、エミー賞受賞を記念して、2024年11月16日〜23日の8日間限定で1〜2話が日本国内の映画館で上映された。
時は1600年、イギリス人航海士のジョン・ブラックソーン(後の按針)は、江戸時代初期の日本へと流れ着き、強大な権力を持ち狡猾な大名である吉井虎永と出会い、深く交流し彼の下に仕えることとなる。
ジョンは故郷とは全く違う日本の社会制度や生活習慣に驚きながらも、異文化に触れていく中で次第に自己を見つめ直していき、脅威となる権力と対立する虎永と共に政治的な激動に関わっていく。
人物名 | モデル | 演者 |
---|---|---|
吉井虎永 | 徳川家康 | 真田広之 |
ジョン・ブラックソーン/按針 | ウィリアム・アダムス/三浦按針 | コスモ・ジャーヴィス |
戸田鞠子 | 細川ガラシャ | アンナ・サワイ |
樫木藪重 | 本多正信 | 浅野忠信 |
樫木央海 | 本多正純 | 金井浩人 |
石堂和成 | 石田三成 | 平岳大 |
宇佐見藤 | 穂志もえか | |
戸田文太郎広勝 | 細川忠興 | 阿部進之介 |
戸田広松 | 細川藤孝 | 西岡徳馬 |
村次/殿本顕直 | 竹嶋康成 | |
吉井長門 | 松平忠吉 | 倉悠貴 |
落葉の方 | 淀殿 | 二階堂ふみ |
桐の方 | 阿茶局 | 洞口依子 |
ロドリゲス司祭 | ネスター・カーボネル | |
マルティン・アルヴィト司祭 | ジョアン・ロドリゲス | トミー・バストウ |
中村八重千代 | 豊臣秀頼 | セン・マーズ |
中村秀俊(太閤) | 豊臣秀吉 | 螢雪次朗 |
大蓉院 | 高台院 | AKO |
大野晴信 | 大谷吉継 | 黒川武 |
杉山如水 | トシ・トダ | |
伊藤輝鈍 | 宇喜多秀家 | 篠井英介 |
明智仁斎 | 明智光秀 | ユタカ・タケウチ |
黒田信久 | 織田信長 | 尾崎英二郎 |
主演は日本を代表するアクション俳優として知られる真田広之が務め、更に同氏は本作のプロデュースも行っている。そのため、当時の日本と伝統的な日本文化を細部に至るまで忠実に再現するため、かなりの時代考証が重ねられている。
彼は自身の原点とも言える数多の時代劇の名作を生み出した京都の東映太秦映画村と東映京都撮影所から、旧知の着物スペシャリストをはじめ、美術・衣装・メイク・所作など時代劇のあらゆる分野の専門家を日本から招集し、日本流の時代劇作りに情熱を注いだ。
そのこだわりは半端ではなく、海外のスタッフや出演者らには日本を正しく理解してもらうために作成した、日本の歴史や文化をまとめた約900ページにも及ぶマニュアルを配布しており、更に撮影セットの畳は土足厳禁、ケータリングは日本食を用意、衣装は家紋の位置から草鞋の履き方まで徹底し、兵が持つ銃や槍は全員に右手で持たせ、城に農民を入れないようにするなど、細かいところまで徹底的に指導し妥協を許さなかった。
また、真田は自身が出演しない日も撮影現場を訪れて日本文化が正しく描かれるよう指導し、不自然な描写を正すために編集作業にも加わって1年半をかけて全ての編集・レコーディング・VFXを自身で確認していたという。
こうした真田をはじめとしたスタッフたちの努力により、それまでハリウッドやその他の海外における映画やドラマにありがちだった勘違い日本ではなく、日本人が見てもおかしく感じない極めてリアルな戦国日本が描かれており、本作はこれまでの海外における誤った日本のイメージを払拭し、軌道修正して日本を描く際のハードルを大きく上げたと評された。
こうした非常に高い作り込みから、本作はアメリカのみならず世界中で話題を呼んで人気を博し、初回エピソードの世界配信開始から6日間で900万回の再生回数を記録した。
これは世界配信されたドラマシリーズの再生回数としては歴代1位である。
真田は製作に伴って「日本人が見てもおかしくない日本を描こう」という原則に拘り、「誤解された日本を描く時代を終わらせたかった」と語っている。
また、後述するエミー賞の受賞時には以下のように語った。
「こだわったのはauthentic(オーセンティック、“本物”の意)。私が演じた役は、歴史上実在する家康という戦国の世を終わらせた人物です。皆さんが思うSAMURAI(ハリウッドがこれまで描いてきたSAMURAI)とは違います。今回はオーセンティックにこだわりました」
「今回の作品は東(東洋)と西(西洋)が壁を越えて互いを尊重する夢のようなプロジェクトだった。世界と本当に通じ合う日本の時代劇を作り、うれしく思う」
とは言え、ヨーロッパ人の登場人物同士がポルトガル語で会話している(例えば、西洋人の通訳が「ポルトガル語の通訳」だと台詞で説明されている、ポルトガル人同士での会話、など)、という体(てい)のシーンなのに(しかも、別に吹替版でもないのに)聞こえてくるのは英語の台詞というのは御愛嬌である(ある意味で英語圏の作品の御約束)。
なので、「イギリス出身でポルトガル語も多少はしゃべれる」という設定の按針が「今、英語とポルトガル語のどちらでしゃべっていると解釈すれば良いのか?」が、やや判りにくくなっている。
本作は、アメリカのテレビ界における最高の栄誉であり、“テレビ界のアカデミー賞”とも称されるエミー賞(第76回)において、本年度最多である25部門にノミネートされ、過去最多となる11人の日本人がノミネートされた。
その後に行われた授賞式では、作品賞や主演男優賞・主演女優賞をはじめとした主要部門を総なめにし、エミー賞の史上最多となる18部門を受賞するという歴史的快挙を打ち立てた。
日本人の受賞者も史上最多であり、9名が受賞されることとなった。
ドラマの製作・技術の面においても、携わった人々に贈られるクリエイティブ・アーツ・エミー賞に、日本人7名を含む最多14部門が受賞されている。
仁王(ゲーム):同時期の日本を舞台としたコーエーテクモゲームスのアクションRPG。
ゲーム・オブ・スローンズ:世界観やストーリーは異なるが内容が似通っており、そのため本作は「日本版ゲーム・オブ・スローンズ」と評されることもある。