ジオン自治共和国国防軍士官学校に入学する青年。サイド5、ルウム出身。ロジェの息子のシャアとルウムのハイスクール時代に友人だった。そのため、シャアの素性に疑いを抱き、その正体を調べていく。シャアと共に「暁の蜂起」に参戦する。
(公式サイトより)
CV:前野智昭
概要
機動戦士ガンダムTHEORIGIN劇場版第三弾「暁の蜂起」に登場する劇場版オリジナルのキャラクター。
エドワウに謀殺された本物のシャア・アズナブルの友人であり、シャアと共にジオン自治共和国国防軍士官学校に入学し、入学式でシャアと再会。同室になる。だが、この時のシャアはキャスバルであり、佇まいや青い目の色、学科、実技共にトップを走るシャアになりすましたキャスバルに徐々に違和感を抱いていく。
(本物のシャアは目の色が鳶色。キャスバルはこのことをリノに聞かれた時、「宇宙線にやられた」と言い、常にバイザーを着用している理由にもしている)
そして最終模擬戦にて、「シャア、思い出すな。ハイスクールでやったルナボールの決勝さ。あの時も、お前が先頭を走ってた」とシャアにかまをかけ、(本当はそんな試合はない)それに同意したシャアの姿で、今のシャアは自分の知るシャアと別人であると確信を抱く。
その後独自で調査した結果、キャスバル=今のシャアという真実にたどり着き、蜂起前にシャアを問い詰め、「帰ってきてくれたんだね、キャスバル!」と喜び、後のシャアのシンボルとなるマスク(ルナボールで使うヘッドギアを改造したもの。遮光バイザー付き)を渡す。
そしてガルマ・ザビ主導(最もシャアに扇動された面もあるが)の元で行われた士官学校生徒による連邦軍ガーディアンバンチ襲撃、通称「暁の蜂起」に参加した際、シャアに敵の61式戦車を奪ってこいと命じられ、言われるがまま61式を奪取したが、それはシャアの企み通りであり、リノが61式を奪取して乗っているとシャアに教えられなかった味方により搭乗していた61式もろとも敵と誤認され、無反動砲の一斉射撃により61式が撃破され死亡した。
リノは最後までキャスバルの名を呼んでいたが、シャアは、「僕はキャスバルではない。シャア・アズナブルだ」と過去を捨てた旨の台詞を吐いた。
その後、劇場版第4弾「運命の前夜」冒頭の凱旋パレードにおいて遺影が登場。作中のアナウンスの説明によると、どうやらシャアによる謀殺や味方による誤射は表に出ず、蜂起時の戦死者として扱われたようである。
人物像
公式サイトによるとラテン系であり、くっきりとした顔立ち。不細工ではないが抜きん出て美形というわけでもない。
性格や人格面については結論から一言で言うなら「切れ者ぶりたい凡人」。校長のドズル・ザビを「あの人はああ見えてまともだぜ」と評し、ギレン・ザビの演説に「総統閣下は相変わらず大仰だ」とほくそ笑むなど己の観察眼をシャアの隣でアピールする様子が描かれているが、そもそもドズルの役職は暴力しか知らない野蛮人に勤められるものではないし、ギレンの立場なら大衆に向けて大なり小なり大袈裟な物言いをするのは当然であることは、凡人でもちょっと考えれば解る事である。「的外れではないが、かといってカンがいいという程でもない」といったところか。精神的にも芯が強い訳ではなく、スコールの中で行われるサバイバル訓練において「ルウムに帰りたい…」とへこたれながら弱音を吐いていた。
シャア・アズナブルがキャスバル・レム・ダイクンであると見抜いたという特筆すべき点についても、公式サイトの指南講座「リノ・フェルナンデス」における彼の詳しい行動(外部リンク)と併せて見ても、実際にはリノ自身の能力によってその真実を見抜いたとは言い難い。列挙すると、
・リノ自身がシャア(本物)の友人であったこと。
他のキャスバルの正体を追う人間達とは明確に異なるアドバンテージであり、そもそもリノがシャア(本物)を知らなかった場合、彼はキャスバルの存在に気付きすらしなかっただろう。
・シャア(キャスバル)に本物のシャアを演じるつもりがまるで無かったこと。
仮に人格や能力面までキャスバルがシャアを真似ていた場合、やはりリノは入れ替わりに気付く事はなかったと思われる。
・実はリノ視点で見ればシャア=エドワウについては推理と呼べるが、エドワウ=キャスバルについてはリノ個人の「そうであって欲しい」という願望でしかなかったこと。
リノがエドワウをキャスバルと結び付けた根拠は「アズナブル家で見た幼少期のシャアの写真がキャスバルに似ていた気がする」という朧気な記憶と「ジンバ・ラルがダイクンの遺児を連れていたらしい」という根拠薄弱な噂のふたつしかなく、これだけでエドワウとキャスバルが同一人物だという確証とするには早計である。何故その上でこの推理をゴリ押ししたかと言えば、身も蓋も無い言い方をすれば『そうだった方が面白かったから』に他ならないだろう。事実リノはその可能性に気付いた時点でその結論に酔う素振りを見せている。
リノの導き出した結論は偏見と願望がたまたま正鵠を射ていただけだったのである。
三点目に関しては特に顕著で、彼は己がキャスバル(シャア)の協力者になれたとすぐに信じており、正体を知った自身をキャスバルがリノの存在を容認せずに抹殺を図る可能性を考慮していなかった。
加えて「シャア(本物)は同意の上でキャスバルの身代わりになったのか?」「なぜいち士官学校生に過ぎない自分にすら、テキサスコロニーに渡ってからのマス家の動向が精細に、簡単に調べ出せてしまうのか?」等といった、因縁や政争事情に対する疑念も浮かばないなど、そういった面でのカンも極めて鈍いと言わざるを得ない。
シャアにとっては道端で出会った有名人程度の感覚で自分に接しようとしてくるリノの存在を害悪と見なすのは当然である。
彼は結局、『シャア・アズナブルの友人』ではあっても『キャスバル・レム・ダイクンの友人』になれた訳ではない事に気付けなかったのだ。
彼は「暁の蜂起」に便乗してシャアがガルマを謀殺しようとしていると邪推したからこそあのタイミングで名乗り出たのであろうが、その結果自分が謀殺される側になるなど夢にも思わなかったのだろう。
余談
原作ではシャアと同室だったのはムラタという目立たない男であり、シャアにヘルメット(これはフットボールのヘッドギアを改造したもの)を渡したのも彼である。この時ガルマも同席していたが、ヘルメットをつけた友人の姿を見たガルマは微妙な顔をしていた。(「まあまあだね」とコメントしている)
その為、劇場版第三弾が公開されるまで、シャアのマスクを一部のファンは「ムラタ・ヘッド」と呼んだとかなんとか。
その後ムラタ君は連邦との戦いの最中、流れ弾で死亡した。後のパレードでは彼の遺影まで描かれている。
入学式では最初に「ヒロ・フェルナンデス」という人物の名前が呼ばれており、シャアの後に「リノ・オガタ」という名前が呼ばれているため、この二人の名前を合体させたものと思われる。
関連イラスト
ここには載せられないが、何故か彼のイラストは腐向けが多い。何故だ。