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解説

劇場版アニメ『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』のクライマックスにて発せられた、シャア・アズナブルのいろいろな意味でインパクトのある名言/迷言。

この直後にシャアは生死不明(作者は死んだと主張)となっているため、時系列上でのシャアの最期の言葉でもある。

発言の経緯

シャア・アズナブルはニュータイプ論を提唱したジオン・ズム・ダイクンの遺児であり、宇宙世紀屈指の敏腕パイロットであり、そしてその正体を明かしジオン公国の総帥として率いる立場となる、出自も才能も全てに恵まれたような人間であった。

しかし、次第にシャアは自分自身のことよりも「ジオン」という背負う物のために妄執し突き進むエゴの塊となり、ついには逆襲のシャアで地球がダメになるかどうかの瀬戸際の凶行を引き起こしてしまう。

そんなシャアにとって、数少ない本音で語り一人の人間として向き合える相手こそが、かのアムロ・レイ、そしてこの発言にあるララァ・スンであった。

しかし、ララァは一年戦争にてシャアとアムロの間で奇妙な縁を築いた末に、アムロの攻撃からシャアを庇い戦死してしまう。

この後にクワトロ・バジーナを名乗りアムロと再会した際にはこの遺恨は消えているかのように一時は仲間として協力していた。

……のだが、結局は吹っ切れておらずいつまでも引きずっていたことがこの一言で明らかとなる。

このセリフの前段階として、「世直しなど考えていない」等とも発言している。

また、意図的にアムロに技術を提供しガンダムの性能を強化させたり、アムロとの戦いに味方が割り込むと逆上したりと、ジオン総力での決戦のはずなのにアムロとの「決闘」のために舐めプをしているといった問題点も散見される。

結局のところ、父や国のため、地球人類の革新のためといったお題目は本心を隠す建前であり、シャアの本心はララァを喪った時で止まったままであった。

かくして、宇宙世紀を代表する偉大なパイロット・政治家は、宿敵にすら「器量が小さい」とあきれられるほどに情けないその本心を最期に曝け出し、光の中へ消えていったのであった。

母になってくれる女性

この発言の象徴的な点はララァを単純な恋人ではなく「母になってくれる女性」というインパクトのある言い回しをしたことにある。ちなみにララァは当初からシャアより年下であり、命を落としたことでシャアとの年齢差は年々開き続けている。

シャアは幼少期に家庭を巡る謀略により、幼くして自立して生きざるをえず、偽名を使い本心を偽って生きてきていた。

そんな彼にとって、本心で話せる女性、父の理想を感じる優れたニュータイプであるララァは、自分を包み導いてくれる存在であり、それはある種の母性とも表現できる。

そしてこの感情は、逆襲のシャアにて、似た境遇からシャアに父性を求めてきたクェス・パラヤとの関りでシャアにも返ってくるのだが、自らはそれを受け入れず疎ましく感じていたことに、アムロから指摘されるまで気づけずにいた。

即ち、既にいい歳した大人でありながら、自分は子供に向き合えないまま、自分の親のような存在を求め引きずり続けている、大人になりきれていないという側面も有している。

この点は小説版でパラレルワールドにあたる『ベルトーチカ・チルドレン』ではより顕著であり、女性関係が長続きせずいまだに独身のシャアに対し、アムロは籍こそ入れていないものの恋人との間に子供ができており、母を求めるシャアと父になったアムロの対比となっている。

……といった真面目な側面もある考察すれば深いセリフではあるのだが、このセリフの真価は20年以上の時を経て解き放たれることとなる。

2010年代より生じオタク文化を席巻するメジャー性癖と化したバブみの到来である。

要するにシャアはララァママにバブみを感じてオギャりたいのに、ララァママはもう死んでしまっているがために暴走してしまったのである。

このセリフが登場したのは1988年であり、恐ろしく時代を先読みしたクソデカ感情である。

バブみという概念が普及する前は、このセリフは意味不明な内容としてたびたび解説を求められたり、シャアがロリコンマザコンといった扱いを受ける原因となっていた。

しかし、時代がシャアに追いついたことで、今ではこのセリフは意味の伝わる迷言となっている。

そしてララァ・スンの部分を任意のママになってほしいキャラに置き換えた形で使われるスラングとしても活用されている。

関連タグ

機動戦士ガンダム逆襲のシャア バブみ

シャア・アズナブル:全ての元凶

ララァ・スン:ママ

アムロ・レイ:このセリフに対して「お母さん?ララァが?」と困惑していた(ちなみにアムロの最後の言葉は「うわっ」だが、図らずもシャアの情けない発言にドン引きしたように聞こえてしまっている)。

草加雅人:「真理は、俺の母親になってくれたかもしれない女なんだ!俺を救ってくれるかもしれない女なんだ!」と同じ様な発言をネタにされている。

雷は私の母になってくれたかもしれない女性だ:パロディの一例。

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ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ
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