古の昔、力こそがすべてであり、
鋼の教えと闇を司る魔が支配する
ゼテギネアと呼ばれる時代があった…
概要
オウガバトルシリーズの2作目にあたり、クォータービュー方式のシミュレーションRPGとしては草分け的存在。
貿易の中継点として栄えた島を舞台に、三つの民族間で繰り広げられる民族紛争を描く。
Lルート、Nルート、Cルートと3つのルートがあり、マルチストーリー・マルチエンディング方式を採用している他、物語はユーゴスラビア紛争などの現実に起きた数々の民族紛争をモデルとしている。
複数の機種に移植され、現在ではWiiのバーチャルコンソールでも配信されている。
オリジナル版のサブタイトルは、“Let Us Cling Together”(手をとりあって)。
発売から15年後、当時のオリジナルスタッフが再集結し、2010年11月11日にスクウェア・エニックスからPlayStation Portable用ソフトとしてリメイクされた。タイトルは、“タクティクスオウガ 運命の輪”。
2022年8月4日、運命の輪をベースにしたリマスターかつ再リメイクとも言うべき"タクティクスオウガ リボーン"が発表、同年11月11日(Steam版は12日)発売予定。
対応ハードはPlayStation 4・PlayStation 5・Nintendo Switch・PC(Steam)。
プロローグ
オベロ海に浮かぶヴァレリア島・・・。
古来より海洋貿易の中継地として栄えたこの島では、その覇権を巡り民族間で紛争が絶えなかった。そうした永い戦いに終止符を打った男がいた。後に覇王と呼ばれたドルガルアである。多民族からなるこの地を統一したドルガルア王は他民族間の婚姻を奨励し、国教を1つとすることでこうした対立を取り除こうとした。その統治は半世紀に渡り、ヴァレリアは栄えた。
しかし、紛争の火種が消えたわけではなかった・・・。
王の死後、司祭ブランタは支配者階級の大半を占めるバクラム人を扇動し、王都ハイムの独立を宣言。さらに北の大国・ローディス教国と密約を結び、その庇護の下バクラム・ヴァレリア国を建国した。司祭ブランタは島全土を手に入れることを主張したが、ローディスから派遣された暗黒騎士団団長のランスロット・タルタロスは戦力の損失を恐れ拒否。ブランタも渋々それを受け入れ、進軍は停止した。
島の南半分に残された2つの民族主義陣営のうち、人口の7割を占めるガルガスタン系民族主義勢力は指導者バルバトス枢機卿のもと、南半分の覇権を手にするためウォルスタ系住民に宣戦を布告。民族の根絶を目的とした虐殺を展開した。一方、ウォルスタ人はロンウェー公爵を旗頭として抗戦したが、戦力の差によりわずか半年で敗北した。
バルバトス枢機卿はガルガスタン王国の建国と内乱の終結を宣言したが、ウォルスタ人に対する弾圧は、なおも執拗に続いた。残されたウォルスタ人の多くは抵抗を続けたが、指導者ロンウェー公爵が捕囚の身となってからはそれも次第に下火となり、ガルガスタンの用意した猫の額ほどの広さの自治区に足を運ぶ者が増加した。
こうしてヴァレリアの内乱は鎮静化した。
しかし、それが、つかの間の静寂であることを知らぬ者はいなかった・・・。
主な登場人物
CVはセガサターン / リボーンでの配役。記載が一人だけの場合はリボーン版の配役。
メインキャラ
主人公。少数民族ウォルスタ人の復権と父親の敵討ちを果たすべく、幼なじみのヴァイス、姉のカチュアらと共にゲリラ活動を開始する。
デニムの姉。ゴリアテの町で僧侶を務めている。デニムとの姉弟の絆に強い執着を持つ。本作品をプレイした人々にはいろいろとめんどくさい人として、その名を広く知られる。
デニムの親友。デニム同様、ウォルスタ人の復権を求めて戦いに身を投じ行動力に富む男。シナリオルートごとにまったく異なる役割で登場する。
ウォルスタ人
元アルモリカ城の城主。ウォルスタ解放軍の指導者。
内戦突入後、全人口の1割に満たない少数派民族であるウォルスタ人の指導者として、ガルガスタン系民族に抵抗してきた。半年間にわたって果敢に戦闘を続けたが、戦力差を埋めることはできず、敗北する。
現在はアルモリカ城にて虜囚の身であり、処刑が近いと噂されていた。
長らく虜囚の屈辱を受けていたが、ゲリラの手により救出。解放軍の指導者に返り咲いた。
バルマムッサの大虐殺を実質的に命令を下した人物。
劇中、冷酷非情な絶対悪として映るが彼がこうなったのには勿論理由がある。
物語開始前に「私の何よりも大切な至宝」と呼ぶ一人娘と孫娘がアルモリカ城に戦乱を逃れるために避難していたのだが、ロンウェー自身は民を守るべくガルガスタンに応戦しに遠征に出ていた。その隙を付かれ、城を襲われた上、一人娘と孫娘を処刑されてしまう。
彼個人としては娘を何よりも誰よりも大切に思っている。それこそ民よりも孫娘よりも。
そのために娘が生まれた時に記念樹が城の中央に植えられたトネリコの木である。
彼女と孫娘を失い虜囚となった彼は、自らが守った民とガルガスタンを深く恨み報復を心に誓ったという。周囲からは作戦と見えただろうが同胞を殺す事すら彼の復讐であったのだ。
こうなる以前は清廉潔白な1人の軍人であったと言う。
ただレオナールが彼を神聖視するのとは対照的に、娘が死ぬ前も仕事に忙殺されあまり娘をやや省みなかった。今も娘を城に残した事を深く悔いるなど娘への愛情は彼女が死んでより強くなっている。ちなみに父娘家庭であり妻は早くに亡くしている。
(タクティクスオウガ公式ノベルより)
ウォルスタ解放軍の指導者ロンウェー侯爵の側近。解放軍の要として辣腕を振るう。
彼が公爵に従っているのは公爵の身に起こった事と以前の彼を知っているから。
いつか彼が清廉潔白な元の公爵に戻る事を彼は信じているが内心、もうそんな日は来ないであろう事も内心は理解している。もう半分の理由は公爵に対する同情も大きいと思われる。
彼の主君はあくまでも公爵であり「騎士は2君に仕えず」という言葉を愚直に守っている。
ウォルスタ人の弓使い(アーチャー)。オリジナル版では雷神の弓を持たせると最強のアタッカーとなる。
ローディス人
CV:東地宏樹
「剣聖」と呼ばれる盲目の剣士。技の冴えを魔法に利用し、あらゆる者を石と化す「恐怖・石化男(ペトロクラウダー)」。
ガルガスタン人
CV:宮本充
「不死の実現」を理想に掲げ、血で血を洗う凄惨なヴァレリア島内紛の戦没者を利用して屍術研究に勤しむ悲劇の賢者。ある意味、作中における狂気と愛に支配されてしまった男。彼にとって妻以外は全てどうでも良い事でありロンウェーと同じく狂った愛に取り付かれている悲劇の賢者。傍目には極悪人に映るかも知れないが彼もまたデニムが言う所の「哀れな戦争の犠牲者」と言える。
ゼノビア人
祖国を追われた騎士。傭兵としての仕事を求めて仲間と共にヴァレリア島を訪れる。
聖騎士ランスロットの仲間の一人。古代有翼人の末裔。デニム達に協力を申し出る。
聖騎士ランスロットの仲間の一人。老年の魔法使い。ゲームの内に外にと活躍する指南役。
カボチャ大好きボディコン魔女。カノープスやウォーレンの戦友だが、現在はなぜか雑貨屋を営んでいる。
終盤、ある条件を満たすと仲間に加えられるが、隠し要素を満たすとさらに強力な状態で仲間にできる。
フォリナー四姉妹
フォリナー四姉妹の長女。バクラムの武装過激派ゲリラ『ヴァレリア解放戦線』の指導者。
フォリナー四姉妹の三女。姉・セリエとともにヴァレリア解放戦線でゲリラ活動をしている。
フォリナー四姉妹の末娘。フィラーハ教団の僧侶。父である大神官モルーバとともに布教活動に従事する。
フォリナー四姉妹の次女。以前はオリビアらとともに教団に所属していたが、ある出来事をきっかけに父の下を去り、バクラム軍に参加。その後、司祭ブランタ直属の配下となり、特殊任務に就く。
暗黒騎士団ロスローリアン
大国ローディスから派遣された騎士団ロスローリアンの団長。隻眼。デニムの父・プランシーを拉致した人物。
ロスローリアンのナンバー2。
幅広い人脈を持ち、ロスローリアンが独立しているのも彼がいてこそである。
CV:小松史法
ロスローリアンのテンプルコマンド。
狡猾な性格で品位を欠く物言いをするが、その実力は本物である。
CV:安元洋貴
ロスローリアンの脳筋。
鎧を着たまま城壁から飛び降りる、銃を暴発させて部下を殺害するなどの危険人物。
CV:園崎未恵
オズの姉。スーパーファミコン版ではただの「おっかない姐さん」だったが、『運命の輪』において新たにイベントが追加され、ルートによっては仲間に加える事も可能となった。
CV:森久保祥太郎
オズマの弟。サディスティックな男。話のわかる上司として部下達から慕われている。
オズ 「よおし、この女はお前たちにくれてやるッ。好きにしろッ!」
暗黒騎士「さっすが~、オズ様は話がわかるッ!」
『運命の輪』追加キャラクター
CV:深見梨加
ウォルスタ解放軍の騎士。『ファイナルファンタジータクティクス』に登場した某女騎士に似た容姿から人気を博す。
CV:足立由夏
ガルガスタン人の屍術士。屍霊術を「死者の無念を晴らし、彼らの願いを叶える術」であるとする独自の考えを持っている。胸元の大きく開いた衣装が特徴的。
CV:東山奈央
カノープスの妹。
ゼノビアでは有名な歌姫で、女性では稀有な有翼人でもある。
CV:川島得愛
ガルガスタン人。ディダーロ家の騎士。
デニムがどう歩んだかによって人物像が大きく変わる人物。
………他、多数の人物が登場する。
一部のキャラクターは物語が進むと人種が変わる(本来の人種が明かされる)者がいる。
ゲームシステム
※特徴的なものを取り上げる。
ウェイトターン(WT)とアタックターン(AT)
ウェイトターンは、ユニット自体の素早さに装備品の重量その他の条件を加味した数値。戦闘フィールド内では敵味方関係なく、その戦闘に参加している全ユニットが、この数値の少ない順に行動する。行動の順番が回ってきたユニットはアタックターンとなり、移動と行動をそれぞれ選択できる。この際に待機を絡めた行動(何もせずに待機、移動・行動後に待機)をとることでウェイトターンの増加を抑えられるので、アタックターンの順番を意図して変えることができる。
戦闘フィールド
各フィールドは、ひし形の地形パネルが一つ一つ組み合わされる事で構成されている。パネルの種類は、むき出しの固い地面を始めとして草地や砂地、湿地、水面、人工物と多岐に渡っており、それぞれに細かく地形効果が設定されている。
また、地形には高低差の概念があり、移動と攻撃にそれぞれ影響を及ぼす。例えば弓などの投射武器ならばより高い場所のほうが射程距離が伸び、低い位置から高所の相手への攻撃は届きづらくなる。
これら要素を読み解きつつ、より有効な戦術を組み立てることで戦闘を有利に進める事ができる。
トレーニング
自軍を2チームに分けて、滞在するマップ上で戦わせるというもの。実戦同様に経験値を得られるので、ノーリスクで自軍を強化できるがゲームバランスを壊す恐れもある。
※『運命の輪』では使えなくなっているが、クリア後特典によっていくらでもシナリオを遡れるため、トレーニングの必要性が実質なくなる。
コミカライズ(漫画版)
松葉博によるコミカライズ版(全4巻)がスクウェア・エニックスより刊行されている。
全編血塗れの極めてハードな漫画である。やり過ぎなくらい首がポンポン飛ぶ。
ストーリーは1章終盤からLルート2章終了まで。
打ち切りエンド気味だが、4巻あとがきによれば当初からの予定との事。
他、DNAメディアミックスから4コマコミックスとアンソロジーコミックスが各1冊ずつ発売された。
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