概要
主人公であるデニム・パウエルと同じウォルスタ人でありながら、思想の対立から反勢力を率いて対峙する弓使い。
アルモリカ地方領家当主のジュダ・ロンウェー率いる軍事組織『ウォルスタ解放軍』参謀として辣腕を振るうレオナール・レシ・リモンとは深い恋愛関係にある。
人物
炎竜の月1日(5月2日)生まれ。19歳。アルモリカ地方の辺境に位置する臨海地区クリザロー出身。
ヴァレリア島南域を掌握したバルバトス枢機卿率いるガルガスタン王国急進派による弾圧政策『民族浄化』で両親を失い、ガルガスタン軍の暴虐に対抗するべく兄と共にゲリラ組織に身を投じ、天賦の才を持つ弓の技量を遺憾無く発揮する。しかし、優れた戦士として組織幹部の地位にあった兄が足を負傷してバルマムッサの町で療養していた折、ガルガスタン軍との武力拮抗を画策したロンウェーの奸計『バルマムッサの虐殺』(=真実を歪曲したスケープゴート)に遭って兄をも失い、天涯孤独の身となる。
その後の展開は、進行中に分岐するルート選択で以下のように変化する。
L(ロウ)ルート
ガルガスタン軍と徹底抗戦するために敢えて虐殺の道を選んだデニム、ロンウェーの名代としてそれを指揮するレオナール両名を見限ったヴァイス・ボゼッグが、ガルガスタン軍およびウォルスタ解放軍からの支配脱却「民による民のための自治」を呼び掛けて結成した過激派組織『ネオ・ウォルスタ解放同盟』に参加し、バルマムッサで起こった虐殺事件の真相を世間に公表すると共に解放軍の旗手となりつつあるデニムの命を付け狙う。
『運命の輪』(PSPリメイク版)では、規定条件を満たす事で加入可能となった。
C(カオス)ルート
ロンウェーの計略を愚策と喝破して真っ向から反発し、何としても武力蜂起の大義名分を得たいレオナールと身の丈に合わぬ野心に魅入られたヴァイス両名に追われ、遂には虐殺事件の首謀者に仕立て上げられたデニム率いる義勇軍『神竜騎士団』を追討する解放軍幹部として刃を交える。善戦するも一矢報いるには至らず捕虜となったが、その後に知った事件の真相に憤慨して自らの意志で神竜騎士団に参加する。
解放軍に拉致されたカチュア・パウエル救出のためにアルモリカ城に侵攻した折、ローディス教国から派遣された『ロスローリアン』(暗黒騎士団)と手を結ぶブランタ・モウン率いるバクラム・ヴァレリア国軍が古都ライムを急襲し、駐留中のランスロット・ハミルトン率いる解放軍精鋭部隊の応戦虚しく陥落した速報を受けたレオナールがデニムとヴァイスの仲裁に入るが、提案を断って解放軍と袂を分けたデニムに従って真の平和を求める道を歩む。
運命の輪でも、しばらくNPCとして戦闘に参加した後に自らの意志で加入を申し出る。原版と同じく、よほど忠誠度やカオスフレーム(民族好感度)管理を疎かにして三行半を叩き付けられない限りは長期同伴可能。
「…私は兄の仇を討つッ。たとえそれがレオナール、あなたでもッ。」
N(ニュートラル)ルート
アルモリカ城侵攻の際にレオナールから突き付けられた火急の提案を「今は争っている場合ではない」として飲み、迫り来るバクラム軍を押し返すために解放軍に復帰したデニムの思想に信用を失い、これを承服しかねて解放軍を離反したヴァイスを追うように神竜騎士団を脱退する。
運命の輪では、デニムの解放軍復帰イベント後でも一応は残留する設定に書き換えられた。ただし、デニムに対する信頼を大きく損なって忠誠度が一気に離反寸前まで落ち込むため、継続運用には多少のテクニックを要する。
「私には私の考えがある。押し付けないで。」
特徴
「同族殺しの被害者」というキャラクター設定上、選択肢によって参入、離反、敵対の明暗が如実に表れる固有ユニットの1人。
外見こそ一般クラスのアーチャーと変わらないが、個別の顔グラフィックを持つ固有ユニット独自の恩恵「英雄ボーナス」が付与されているために同レベルのアーチャーよりも1Lv分高い初期ステータスとDEX(器用さ)+2、LUK(幸運)+3が上乗せされており、任意の強化手段を持たないAGI(素早さ)上昇値を吟味して常に最大値を稼ぐようにしつつ唯一の弱点であるSTR(力)を補強すれば女性ユニット屈指のアタッカーに成長する。
さらに、加入時期の早さも手伝って序盤からアタックチームの要として活躍し、移動補助手段の併用によって高台に陣を構えられるようになるとカノープス・ウォルフ以上の射手に変貌する素質を持つ。
これには確たる理由があり、
- アーチャーの得意武器は弓(カノープスの得意武器はハンマー)
- アーチャーはクラス天気抵抗が強、アロセールのアラインメントも天気の影響がないN(カノープスはクラス天気抵抗が弱、アラインメントも悪天候に弱いL)
- クラス天気抵抗とは、名前とは裏腹に天気に関係なく加算される補正値
から成る2点の優位のため。これらは割合上昇のためパラメータが成長した終盤ほど顕著に表れる。
ただしカノープスには移動補助手段無しでも飛行可、さらに移動力6という長所もある。
この事実から、よほどカノープスの育成吟味を意識しない限り、数々の秘宝と未知の強敵がひしめく100連戦エリア『死者の宮殿』へ挑戦する頃には風属性の長弓『雷神の弓』の所有者をアロセールに切り替えるプレイヤーが増える運びとなった。
最強の女
「AGI以外の能力値は補強が容易」「固有ユニットでありながらクラスチェンジ可能」という2つの利点が大きく働くために運用の幅が広く、中でもウィッチに転職してアーチャーで培ったAGIとDEXの高さを存分に活かし、痛烈な投射武器攻撃と確実な状態異常系補助魔法の二刀流で戦場を戦慄せしめる「ペトロクラウダー」をハボリム・ヴァンダム以外で襲名するに足る魅力を秘めている事もあって、プレイヤーの間ではプリンセス(魔法56種の全てを使いこなしアマゾネス並の戦闘能力も兼ね備える高位魔法戦士)となったカチュアすらも退けて『最強の女』の異名を冠する。
ただし、原版では先述の通りルート次第で絶対的対立、絶対的離反が避けられないキャラクターである以上、これらの運用法が実質的に通用するのはCルートのみであり、LルートおよびNルートでは半固有ユニットのサラ、あるいは一般ユニットのアーチャーにその役割を委ねる事となる。一方、様々な改変や追加要素が加わったリメイク版では全てのルートで仲間に参入するようになったものの、LルートおよびNルートでは細やかな忠誠度管理を迫られるほど忠誠度が低いため、対立するに至った同族との交戦、あるいは敗残兵処理などに深い注意を払う必要がある。
また、リメイクに際してゲームバランスの調整措置や新解釈を多分に含んだ改訂シナリオで、「アロセール=雷神の弓」の通念が浸透したオールドファンへのサービスとして「『雷神アロセール』の通り名を持つ」という設定が追加された。無論、原版に引き続き「アロセール+雷神の弓」の組み合わせは強力であり、特に弓などの投射武器が優位に働くリメイク版では専用武器に等しい抜群の相性を誇る。