ループ(アンデラ・世界)
るーぷ
ビリーの反乱後、ユニオンの否定者たちはジュイスの口から衝撃の事実を知らされる。
その事実とは、この地球は遥か昔から破壊と再構築を繰り返しているということ。
彼女の言によれば、神の手により地球と生命体は物理的に破壊され、その後新しい地球が作られる。(なお風子が不運で呼び寄せていた隕石は、かつて破壊された地球の欠片である。)
この事実を知るのは、古代遺物・アークを使い次の地球へ移動することのできるジュイスと、不死の能力によって地球が再構築されるまで生き延びることのできるヴィクトルのみである。
この残酷な理(ルール)から逃れる方法は二つ。自分が死ぬか、神を殺すか。
ジュイスはユニオンの仲間たちに真実を伝え、再び命をかけて共に歩んでくれることを願うのだった。
「ループ」とは、「新しくできた地球にワープする、未来行きのみのタイムワープ」。
アークに乗ったジュイスは、人類が生存できる状態になった地球へ強制的にワープさせられるが、不死のヴィクトルは灼熱の原始地球を一から生きることになる。
過去のループの記憶は古代遺物を通して垣間見ることができる。
どのループでも同じ人間が生まれ、たどる運命も似通っているが、ループを乗り越えたジュイスやヴィクトルの介入、またアポカリプスの提示する課題(クエスト)の内容によって運命が変わることもある。
地球の破壊は、101回目の「罰(ペナルティ)・RAGNARØK(ラグナロク」により引き起こされるが、それは神・サンによる地球と全生命体の徹底的な蹂躙である。
ジュイスとヴィクトルは現在までに99回ループを行っており、そのたびにラグナロクによる地球の破壊、そして仲間達の死を目の当たりにしている。
季節を司るUMAを三体倒したことによって世界改変が起き、太陽に向かって進んでいく地球。
もはや神との最終決戦・ラグナロクは避けることが不可能となってしまう。
アンディ含むユニオンのメンバーは現在のループでの勝利を諦め、次のループに全てを賭けることとなる。
神による地球の破壊と再生。
この呪われた運命をどうすれば否定できるのか。
ループを行うことのできる古代遺物・アークの力は既に限界を迎えており、残り一回しかループができない。
ジュイスが最後に地球の命運を託したのは、不運の能力を持つ少女・出雲風子と、その彼女を全力で守る不死の男・アンディだった。
ルインによる妨害などを経て、風子はついにアークへとたどり着く。
アークを使ってループをすることが出来るのは、一回のループにつき一人きり。
ジュイスとヴィクトルはアークの起動に必要なポイントを全て風子に移行し、ユニオンのボスの座を託す。
ラグナロクが開始され、否定者たちはアーク起動までの11分間、死に物狂いで時間を稼ぐことになる。アークのチャージが完了するまでの間、搭乗者は席を立つことを許されない。アンディ、ヴィクトルを始め、ユニオンやUNDERのメンバーたちが、神との戦いで傷つき、命を散らしていく様を、最後まで目を逸らさず心に焼き付ける風子。神の攻撃が目前まで迫る中、仲間たちの命懸けの足止めによって11分間のチャージが完了する。
「みんな…ありがとう」
「いってきます!!」
アークが起動し、月の神・ルナと共に月の上へ転移する。風子は、かつて自分がいた地球が、仲間達と共に粉々に破壊される様を目の当たりにする。
泣き叫び、慟哭する風子。その間に宇宙では1億年が過ぎ、次の地球が構築されていく。
涙を拭い、再びルナの方へ振り返った彼女は、これまでに見たことのない、覚悟のこもった目をしていた。
「ここから 反撃開始です」
「最期(つぎ)のループで私達は」
「神(おまえたち)を絶対に否定する」
自らのために命を捨てて戦ってくれた仲間達、そして今も宇宙空間で孤独と苦痛に耐え忍んでいる相棒の想いを胸に、風子は最後のループに旅立つのだった。
100回目のループにより1800年代にたどり着いた風子は、アークの副作用により老いない体になったことを利用し、仲間が現れるまでの170年間を古代遺物の収集や資金の調達、様々な技術の修得などに費やす。
「今まで以上に強い仲間が居る」
「仲間割れなんて許されない」
「だからその元となる悲劇を防ぐ!!」
全ての否定者達と手を取り合い最強の組織を作り上げ、神との最期の戦いに挑むために。
そして今、自分以上に頑張っているであろう、大事な相棒と再会するために。
風子の長い戦いが幕を開ける。