概要
1990年代以降、コンピュータの進化、コンピュータの使用によるコスト低下、富士フイルムのセル画用セルの生産中止、セル専用塗料(アニメカラー)の調達問題などが重なり、それまでのセルアニメからデジタルアニメへの移行が急速に進展した。
日本では1997年から2002年の5年間に、セル画からデジタル彩色へと移行していった。
テレビアニメでは、1997年4月の『ゲゲゲの鬼太郎 (第4シリーズ)』(第64話以降)や『超特急ヒカリアン』等で本格的にデジタル彩色の導入を開始したが、それ以前の作品にも部分的にデジタル彩色が使用された事がある。
ただ、アニメ制作会社毎に機材導入の時期が異なり、『ロスト・ユニバース』など過渡期の一部作品ではCGとセル画のパートをそれぞれ用意して編集して一本の作品に仕上げる手法も取られた。
このうち、東映アニメーション作品はTVシリーズは『金田一少年の事件簿』第69話、劇場作品は2000年公開の『ONEPIECE』を最後にセル画制作を打ち切り、デジタル彩色に移行。他社作品に関しても、1999年に『ちびまる子ちゃん』、2002年に『ドラえもん』と2000年代前半までにほぼデジタル彩色による製作へ変更された。セル画による作画を継続していたのは『サザエさん』である。製作会社のエイケンは雰囲気を出すために、あえてアナログな作り方にこだわる姿勢を見せていた。だが、セル画はハイビジョン放送との相性が悪く、視聴者からも映像が汚いなどの不満が寄せられるようになり、サザエさんもオープニングおよびエンディング、特番については、セル画からデジタル彩色へ一部移行されていた。2013年10月6日の放送分より本編を含めて完全デジタル彩色へ移行。なお、同社初のデジタル制作作品は2001年の『ゴーゴー五つ子ら・ん・ど』である。
1998年、GONZO制作のOVA作品『青の6号』は当時珍しかった3DCGを多用したことでも注目され、OVA初のフルデジタルアニメとして宣伝された。
アナログ時代にはフィルムで撮影されていたが、デジタルアニメではコンピュータから直接ビデオへ出力するため、フィルム撮影が不要となりコストダウンがされている。フィルムとビデオでは映像の質感が異なり、アナログのフィルムは柔らかい質感、ビデオはクリアな映像が特徴である。当初ビデオ映像のデジタルアニメはは従来のフィルムアニメより、クリアで明るすぎる発色に違和感があったりするといわれていたが、2007年以降はデジタルテレビの普及もあってセルアニメを凌ぐ美しさを持つ作品もみられる。
色数の制限が無くなってほぼ無限のバリエーションが使えるようになり、グラデーションなどが、これまで以上の表現が可能になった。
制作中にデジタルへ移行したアニメ
- ゲゲゲの鬼太郎 第4シリーズ(1997年。第64話から)
- 旭日の艦隊(1998年)
- 金田一少年の事件簿(1998年)
- 紺碧の艦隊(1998年)
- しましまとらのしまじろう(1998年)
- 頭文字D(1999年)
- 地獄先生ぬ〜べ〜(1999年。OVAから)
- 逮捕しちゃうぞ(1999年。EDはそれ以前から)
- ちびまる子ちゃん(1999年)
- 超速スピナー(1999年)
- こちら葛飾区亀有公園前派出所(2000年)
- サイボーグクロちゃん(2000年)
- それいけ!アンパンマン(TVシリーズは2000年、劇場版は2003年から)
- へろへろくん(2000年)
- メダロット魂(2000年。OPの一部カット、サブタイトルカット、アイキャッチ、EDはそれ以前から)
- 六門天外モンコレナイト(2000年)
- アルジェントソーマ(2001年)
- GEAR戦士電童(2001年)
- 忍たま乱太郎(2001年)
- PROJECT ARMS(2001年)
- ルパン三世(2001年のTVスペシャルから)
- ギャラクシーエンジェル(2002年。第2期から)
- クレヨンしんちゃん(2002年。OPは2000年から)
- 天使な小生意気(2002年)
- ドラえもん(テレビアニメ第2作第1期)(2002年。特番などはそれ以前から)
- ポケットモンスター(2002年。OP/EDや一部コーナーはそれ以前から)
- まほろまてぃっく(2002年)
- 名探偵コナン(2002年。OPの一部カットや一部のスペシャル回はそれ以前から)
- 勇者王ガオガイガーFINAL(2002年)
- 犬夜叉(2003年)
- THEビッグオー(2003年。2nd Seasonから)
- はじめの一歩(2003年。OPは2001年秋から)
- HUNTER×HUNTER(日本アニメーション版)(2003年。2作目のOVAから)
- マジンカイザー(2003年。続編のみ)
- 親子クラブ(2004年)
- サザエさん(2013年。OP/EDや特番などはそれ以前から)
セル画と併用したアニメ
- 子鹿物語(1983年。OP/EDと第2話のみ)
- 幽遊白書(1994年。103話〜111話EDのみ)
- 天空のエスカフローネ(1996年。本編の一部カット)
- 爆走兄弟レッツ&ゴー!!(1996年。一部のEDのみ)
- みどりのマキバオー(1996年。EDのみ)
- 少女革命ウテナ(1997年。一部のEDのみ)
- 新・天地無用!(1997年。EDのみ)
- マクロスダイナマイト7(1997年。OP/EDのみ)
- もののけ姫(1997年)
- るろうに剣心 (1997年。一部のOP/EDおよび本編の一部)
- 烈火の炎(1997年。本編の一部カット)
- アリスSOS(1998年。OP/EDのみ)
- EAT-MAN98(1998年。OP/EDのみ)
- 異次元の世界エルハザード(1998年。ED)
- 浦安鉄筋家族(1998年。OPと一部本編)
- カウボーイビバップ(1998年。第20話、第23話)
- ガサラキ(1998年。本編の一部カットのみ)
- 彼氏彼女の事情(1998年。OP、本編の一部カット)
- 劇場版 機動戦艦ナデシコ(1998年)
- クイーン・エメラルダス(1998年。OP、本編の一部カット)
- サイレントメビウス(1998年。OP、本編の一部カット)
- 時空探偵ゲンシクン(1998年。OP/一部ED、アイキャッチ、本編の一部)
- serialexperimentslain(1998年)
- DTエイトロン(1998年、OP/ED、本編の一部)
- 超機動伝説ダイナギガ(1998年。OP、本編の一部カット)
- ビーストウォーズⅡ超生命体トランスフォーマー(1998年。OPの一部)
- 新世紀GPXサイバーフォーミュラ SIN(1998年。ED、本編の一部)
- 南海奇皇(1998年、EDのみ)
- ロスト・ユニバース(1998年。ED、アイキャッチ、本編の一部)
- エデンズボゥイ(1999年。OP/ED、アイキャッチ、本編の一部)
- GTO(1999年)
- 星方天使エンジェルリンクス(1999年。ED、本編の一部)
- 仙界伝封神演義(1999年)
- D4プリンセス(1999年。OP/ED)
- デュアル!ぱられルンルン物語(1999年。OP、本編の一部)
- ベターマン(1999年。ED、本編の一部)
- 無限のリヴァイアス(1999年。OPの一部カット、本編の一部)
- レレレの天才バカボン(1999年)
- アストロボーイ・鉄腕アトム(2003年)
- ドラゴンボール改(2009年。OP/ED、アイキャッチ)