概要
いわゆる架空戦記ブームを引き起こした作品で、世界観を共有した旭日の艦隊と共に架空戦記小説の金字塔とされており、今なお根強いファンが多くいる。 物語のテーマは「太平洋戦争で日本はどう戦えば良かったのか」が主題となっている。
コミック版は居村眞二が手掛けたが、居村の逝去により『新・紺碧の艦隊』の最終4巻は刊行されることは無かった。
OVA版は全32巻で、後半は旭日の艦隊のOVA版も合流している。タイトルバックに居村がデザインした紺碧会のエンブレムが登場し、ストーリー構成もコミック版に近く原作にはないコミック版オリジナルエピソードも一部取り入れられている。
1994年発売の1巻から1997年発売の12巻まではVHS形式で販売もされていたが、以後はレンタルのみになり2000年から改めてDVD版が発売された。2005年には『旭日の艦隊』を含めた全巻セット「COMPLETE DVD-BOX」が発売され、2011年にはBD版も発売された。
あらすじ
昭和18年4月18日、ブーゲンビル島上空で戦死した連合艦隊司令長官山本五十六は、38年前の後世世界に高野五十六として転生する。
元の「前世」と微妙に異なる「後世」にて、前世と同じ悲劇を繰り返させないため、高野は同じ後世転生者を集め、精鋭集団「紺碧会」を結成する。同じく、前世より転生した陸軍中将大高弥三郎率いる青風会と共にクーデターを起こすが、戦争への流れは変えられず、“照和”16年12月8日午前0時。運命の開戦を迎えてしまう。高野らが前世の記憶を元に開発した「紺碧艦隊」は、日本を、世界を救えるのだろうか・・・。
主な登場人物
主要な登場人物は明治維新前後の志士の名前、ゲストキャラクターは読者の名前をもじったものになっている。単行本巻末の読者コーナーでは名前の由来となった読者に作中での肩書を併記するのがお約束となっていた。
日本
高野五十六
声:屋良有作
海軍軍令部総長。大日本帝国海軍連合艦隊司令長官・山本五十六が“後世”世界に転生して「紺碧会」を結成、大高弥三郎と共にクーデターを起こした。前世の記憶を生かして「紺碧艦隊」「旭日艦隊」を組織し、後世日本を“より良き負け”へと導こうとする。
本来主人公のはずだった人物であり、メディアミックスでは名実ともに主人公になっている。
コミック版・OVA版ともに前世で失った指を再び失う場面が描写されている。
大高弥三郎
声:藤本譲
大日本帝国陸軍中将。やはり転生者である。高野五十六らと共にクーデターを起こし、新政府を樹立、自ら内閣総理大臣となった。稀代の戦略家であり、前世の記憶を元に緻密かつ大胆な作戦を展開し、多くの戦いに勝利する。“より良き負け”を得て、世界の恒久平和を実現するために……。
コミック版とOVA版では容姿が大幅に異なり、コミック版では短髪、OVA版では白髪の老紳士。
原作の途中から事実上の主人公となるが、会議に赴く途中に思索(大部分が作者による地政学講義か原作当時の時事ネタ)にふけっていたら話が終わっていた回も多い。
声:田中秀幸
海軍少将。照和16年12月のハワイ奇襲攻撃において戦死したとされているが、実は秘匿潜水艦隊・紺碧艦隊を率い、司令官として縦横無尽の活躍をしている。彼の生存自体が軍事機密であり、一部の人間にしか知られていない。
名前の由来は前原一誠。
高杉英作
声:銀河万丈
海軍中将。航空機動艦隊司令長官。前世ミッドウェー海戦で赤城に乗り組んでいた。
名前の由来は高杉晋作だが、原作の途中から山口多聞を彷彿とさせるエピソードが追加されている。
坂元良馬
海軍中将。本土防衛や主力艦隊の援護を担当する支援艦隊を指揮する。
名前の由来は坂本龍馬で、原作初版ではそのまま「坂本龍馬」表記だった。
厳田新吾
声:新田三士郎
海軍中佐→空軍中将。高野の側近のような立場だったが、戦略空軍創設に際し戦略空軍司令長官となる。
前世における源田実で、高野を除いて唯一作中に登場した「前世と同じ立場に立った日本海軍軍人」である。
日向昭了
声:中博史
海軍少佐→中佐。高野の副官を務める。
同姓同名の軍用車両研究家がモデルで、NPO法人「防衛技術博物館を創る会」の公式サイトでも言及されている。本作の読者でもあり読者の名前を由来とするゲストキャラクター第1号となった。
アメリカ
ヘンリー・ルーズベルト
声:徳丸完
アメリカ合衆国大統領。前世のフランクリン・ルーズベルト同様に対日開戦を決断するが、後世日本海軍の活躍により敗戦が続きついに原爆の使用を決断する。
しかし弦月作戦により研究所が爆破され、脳溢血で憤死してしまう。
原作・OVA版での出番はそこまでだが、コミック版では新・紺碧になってからそっくりな「海の目」の最高幹部が登場。時々入れ替わっていたらしく、本人が公務中に死んだため入れ替われなかったことを惜しむ発言をしている。(「海の目」総帥に大統領の本物か影武者か問われた際回答を濁しているので、実はこちらがルーズベルト本人という可能性もある)
ビル・トルーマン
声:掛川裕彦
アメリカ合衆国副大統領。ルーズベルトの死に伴い大統領に就任したが、「海の目」に反発したことから命を狙われる。
前世のハリー・S・トルーマンに相当。
ハリエット・アイゼンハワー
声:西村知道
アメリカ合衆国陸軍元帥で北大西洋戦域司令官。トルーマン政権で国防長官に就任し、マッカーサー、リーガンと共謀しクーデターを挙行する。
前世のドワイト・D・アイゼンハワーに相当。
実はメディアごとにファーストネームが異なり、コミック版では「ロバート・アイゼンハワー」になっている。OVA版では双方の名前が使われており混乱が生じている。
ちなみにコミック版ではハリエットはアイゼンハワーの弟の名前になっている。
ルイス・マッカーサー
声:菅原淳一
アメリカ合衆国陸軍元帥で北西太平洋戦域司令官。ニューギニアでの作戦失敗を機に職務を解かれオーストラリアに左遷されるが、アイゼンハワー、リーガンと共謀してクーデターを挙行、インド方面軍司令官として前線に復帰した。
前世のダグラス・マッカーサーに相当。
ゲーム版などでは開始時点ではフィリピン・マニラに駐留していることが多い。
キンメル
声:沢木郁也
開戦当時の太平洋艦隊司令長官。前世におけるハズバンド・E・キンメル。
扱いはもちろん噛ませ犬。
ハルゼー
声:佐藤正治
航空母艦「エンタープライズ」に座乗して指揮を執っていたが、紺碧艦隊に艦を強襲され戦死した。
前世におけるウィリアム・F・ハルゼー。
ドナルド・ダック・リーガン
声:池田勝
北太平洋艦隊司令官。最新鋭空母「スペリオル」を擁する艦隊を率いていたが高杉艦隊に敗北し投降。以後は高杉と親友のような間柄になり、日米和睦推進派の筆頭となる。
前世におけるロナルド・レーガンに相当するが、史実のレーガンは視力が弱かったため第1映画部隊に配属され戦地には赴いていない。
ウィリアム・モルガン
声:大滝進矢
第7艦隊司令官でハルゼーの後任であるらしいことが描写されている。オーストラリア防衛を担っていたが艦隊を壊滅させられ戦死。
アーノルド・フレッチャー
声:千葉一伸
アメリカ合衆国海軍中将。第7艦隊と共にオーストラリア防衛に当たっていたが、トレス海峡で航空母艦「ヨークタウン」以下指揮下の艦隊を紺碧艦隊によって壊滅させられた。その後の消息は不明。
前世におけるフランク・J・フレッチャー。
登場兵器(日本)
潜水艦
紺碧艦隊
前世における潜特型潜水艦を、大和型戦艦の建造予算を流用して前倒し建造した極秘潜水艦隊。
特潜伊601 富嶽号
紺碧艦隊初代旗艦。前述のように初登場時は潜特型潜水艦に酷似した外観をしていたが、照和20年の大規模改装に伴い涙滴型船体になった。
鶴翼陣形の「艦隊殲滅雷撃」を行う際は、扇の要に当たる位置に陣取り、僚艦へは音通を持って連係攻撃を指揮する。
OVA版での外観はほぼ「サブマリン707」。
潜伊3001 亀天号
紺碧艦隊2代目旗艦。トリウム融塩炉・電磁推進の実験艦。水中最高時速70ktの超高速潜水艦。
富嶽号と違い、攻撃よりも情報収集に特化した艦である。
OVA版では本艦就役後は紺碧艦隊はほぼ本艦の独壇場だった。
超潜伊10001 須佐之男号
紺碧艦隊3代目旗艦。「新・紺碧の艦隊」から登場する。
核融合炉・電磁推進を活かして最大速度100kt(巡航60kt)の高速を誇る。後の第3次大戦でその真価を最大限に発揮した。
コミック版と小説挿絵ではかなりデザインが異なり、さらにコミック版完結編では作家の交代によりさらにデザインが変更されることとなったためメタ発言で乗り切っている。
OVA版でも建造中の姿がわずかに登場している。
潜伊500型
紺碧艦隊の主力潜水艦。純粋な潜特型潜水艦の後世バージョン。
水上戦闘爆撃機「春嵐」3機を搭載。建造艦は伊501水神号、伊502快竜号、伊503爽海号の3隻。
外観は富嶽号とほぼ同型で、OVA版でのビジュアルがサブマリン707なのも同じ。
OVA12巻ではカタパルトを旋回させて噴式春嵐を発艦させるオリジナルの描写があったが、その後は同じOVA内でも描写されなかった。
潜補伊700型
紺碧艦隊付補給潜水艦。電子水上偵察機「星電改」2機を搭載。
同型艦は浦島号、竜宮号の2隻でいずれも「新・紺碧の艦隊」で追加建造された。
コミック版では建造当初は艦隊で最も大きい潜水艦で、第一次改装時に富嶽号が本艦より大型化している。そのため作中で外観が変化しなかった唯一の潜水艦となった。
潜揚大伊900型
兵士500人を搭載できる輸送潜水艦。サモア・マダガスカル攻略戦で活躍した。
船体は富嶽号と同型だが機関の大きさが違うため速度では劣っている。
また当初より25mm三連装機銃4基を備え、第一次改装で噴進弾垂直発射機や対空噴進砲を追加装備するなど対空能力が優れており、紺碧艦隊でも900型が対空警戒をすることが多い。
補給艦能力も持ち、揚陸作戦などがない時は輸送の任務についている。同型艦は9隻。
紺碧艦隊の支援艦ではあったが日英同盟締結後は機密指定が解除されたようで、一般の港湾にも出入りする描写がある。
OVA版では対空戦闘も富嶽号が担っているため前述の対空火器の出番はなかった。
潜補伊1000型
紺碧艦隊及び水上機用補給潜水艦。長距離行動を行う水上機・飛行艇の洋上補給を行う。
モルガン艦隊を強襲する水上攻撃機部隊の洋上補給を行った。
司令塔が艦尾にあるため、甲板はB-32を乗せられるほど広い。
その他
海中要塞 鳴門
12隻の潜水艦が連結する海中移動基地。無艦橋型呂号潜の支援を行う。
艦内では大規模な手術ができるほか風呂など支援潜乗組員のためのレクリエーション設備がある。
原作では12隻全て同じ形状だが、OVA版のみうち4隻が水上機格納庫を有し、二式水上戦闘機を運用していた。
武装は主に防御用の対空噴進弾や対潜短魚雷などしかないため護衛があることが多い。
もともとはアメリカに睨みを利かせるために建造したものだが、予想より早く日米和睦が実現したためあまり出番はなかった。
潜水艦「伊101」
OVA版に登場。モルガン艦隊の偵察中に発見され、撃沈される。
無艦橋型特呂号潜
鳴門が支援する小型潜水艦。主な使い方は諜報活動、輸送艦攻撃。4000番台が与えられており、作中では「呂4051」という艦名が確認できる。
原作・コミック版では艦底に海底匍匐装置(無限軌道)を装備しているがOVA版ではその描写はない。
OVA版では1隻がUX-99の反撃を受け撃沈されたと思われる描写がある。
巡洋潜水艦呂200型
大戦初期、豪州封鎖戦より使用された巡洋潜水艦。後世艦籍種別『潜高中』の中規模高速潜、前世「潜中型」と「潜高型」の折衷型艦種である。
主機ワルター機関によるポンプジェット推進器一基を艦尾に持つ。船首と船尾に魚雷発射管を持ち、対潜攻撃や通商破壊作戦に従事した。
紺碧艦隊旗下に連絡潜として201〜5までの5艦が先行配備された。
伊号第一八潜水艦
巡潜丙型2番艦だった前世同名艦と異なり、改高型(前世『巡潜乙型』相当。前世「巡潜特型」や「巡潜改甲型」に相当する後世「海大型」と「呂号潜」などの「海高型」の折衷タイプ)潜水艦であり、偵察任務などに就いていた。
劇中では艦型は登場しないが艦載機を使ってダッチハーバーに潜伏していたリーガン艦隊を発見している。
この際に使用した艦載機は原作およびコミックでは「星電改」だったがOVA版では「春嵐」であった。
因みに前世「艦載機搭載潜水艦」として「巡潜甲型」が計画、建造されている。
航空母艦
高杉艦隊
史実の第一航空艦隊に相当。高杉英作が率いる主力艦隊。対独戦に移行するあたりから頻繁に編成替えが行われている。
戦略空母「建御雷」(たけみかづち)
印度戦線から投入された帝国海軍最新鋭の大型航空母艦。
前世「信濃」の生まれ変わりであるが、艦の能力はそれを凌いでいる。終盤でドイツ軍の飽和攻撃により大破炎上するが戦後まで生き残り、第三次世界大戦にも参加する。
OVA版終盤で「比叡」と共に沈没したかのような描写があったが、最終話の終盤で生き残った姿が確認できる。
OVA版では「建御名方」(たけみなかた)という2番艦も建造されている。
航空母艦「加賀」
クリスマス島攻略作戦時に米超重爆撃機B-32のロケット弾攻撃を受け、撃沈される。高杉艦隊の空母としては初の損失となった。
航空母艦「赤城」
天元作戦で米軍の急降下爆撃機により被弾するが、前世でのミッドウェーの反省から艦爆と艦攻を降ろしていたため、甲板が損傷しただけで済んだ。弦月作戦に参加したのを最後に退役する。
航空母艦「飛龍」
高杉艦隊所属。終盤に撃沈される。
航空母艦「蒼龍」
高杉艦隊所属。終盤に撃沈される。
航空母艦「隼鷹」
商船改装の軽空母。同型艦は「飛鷹」がある。
航空母艦「翔鶴」
高杉艦隊所属。同型艦は「瑞鶴」。終盤に両艦とも撃沈される。
航空母艦「大鳳」
インド戦線時に登場。
坂元艦隊
坂元良馬が率いる戦艦を主体とした支援艦隊。基本的には本土防衛の後詰めのため前線に出る機会は少なく、高杉艦隊に戦力を召し上げられることも多かった。
航空母艦「瑞鷹」
坂元艦隊に所属する航空母艦。姉妹艦に「雲鶴」がある。
紅玉艦隊
川崎弘が率いる、鹵獲したアメリカ戦艦を主体とした特殊艦隊。
インド洋作戦で主戦力の大部分を喪失したことから、高杉艦隊に編入される形で解散した。
航空母艦「紅鶴」(べにつる)
紅玉艦隊に所属する支援空母。翔鶴型航空母艦の準同型艦で対空火器を強化している。姉妹艦に「白鶴」がある。
「白鶴」はインド洋作戦で撃沈されたが、「紅鶴」は生存する。
戦艦
高杉艦隊
戦艦「比叡」
高杉艦隊旗艦。前世とは違い電子・対空装備が充実しており建御雷登場まで日本水上部隊の主役として活躍した。物語終盤で撃沈される。
OVA版では高角砲に全周防盾が装備され、終盤では煙突が現代風になっている。
戦艦「霧島」
高杉艦隊に所属する戦艦。別動隊として戦うことが多い。終盤に撃沈される。
坂元艦隊
戦艦「金剛」
坂元艦隊所属艦。開戦初期は旗艦であった。終戦まで生き残り、戦後は主砲撤去、後部甲板アングルドデッキ化などの改装を受け、高杉艦隊の旗艦となる。
戦艦「長門」
坂元艦隊所属。OVA版では当初から旗艦だった。
当初は前世と変わらない外観だったが、後の改修で前部甲板に対空噴進弾の垂直発射筒を8基装備。
マダガスカル島攻略戦の時は旗艦を務め、空中投下型V1で攻撃を行ったヨルムンガンドを撃破し窮地を脱している。
後に退役したが琵琶州大震災時には被災者を艦内に宿泊させていた。
戦艦「陸奥」
坂元艦隊所属。後世では爆発事故は起こすことなく生存した。
ちなみに前世における戦艦陸奥は原作の地の文で爆発事故という結果論だけで「無駄」と断じられてしまっている。
戦艦「扶桑」
坂元艦隊所属。ハワイ攻略作戦時に登場するが後半では出番がない。
戦艦「日向」
坂元艦隊所属。中盤から退役して虎狼型及び信玄型航空戦艦の試験艦として後部をV字型飛行甲板に改装され、戦後は練習航空戦艦となったことが「新・紺碧の艦隊」で明らかになる。
紅玉艦隊
航空爆撃戦艦「米利蘭土」(メリーランド)
紅玉艦隊旗艦。ハワイ海戦で拿捕した米戦艦を大改装したもの。改装後の速力は29ノットに上がった。同型艦は軽掘尼亜(カリフォルニア)、西処女阿(ウエストヴァージニア)、手音使(テネシー)。前部主砲及び後部3番主砲を外し、艦橋を改造して格納庫を設け「爆龍」・「鮫龍」をカタパルトで発艦させる。他にも水防に新しいシステムを取り入れたり、後部に魚雷艇を搭載したりと実験艦としての要素もある。カタパルトは対地攻撃用ン式噴進弾3発を発射可能。
「軽掘尼亜」が戦没し、残りの3隻は老朽化で退役した。
航空特殊戦艦「筆汁芭斤」(ペンシルヴァニア)
米利蘭土と同じくハワイ海戦で拿捕した米戦艦を大改装した艦で同型艦は根婆太(ネヴァダ)。この2艦は思ったより速力が伸びず(筆汁芭斤26.5ノット、根婆太25.5ノット)、燃料タンクを増やして油槽艦能力を付加し春嵐を搭載した航空特殊戦艦になった。双方とも戦没。
なお前世の真珠湾攻撃で沈没した「アリゾナ」と「オクラホマ」は後世でもハワイ海戦で紺碧艦隊に撃沈されている。
巡洋艦
高杉艦隊
重巡洋艦「利根」
クリスマス島攻略作戦時に米超重爆撃機B-32ロケット弾攻撃と触雷により大破炎上。姉妹艦「筑摩」とともに戦没する。
その後2代目が建造され旭日艦隊に配属された。
重巡洋艦「鳥海」
高雄型重巡洋艦。大破炎上した「利根」「筑摩」の乗員を救助する。
軽巡洋艦「長良」
高杉艦隊所属艦。「利根」、「筑摩」に随伴していた。
軽巡洋艦「球磨」
高杉艦隊所属艦。「利根」、「筑摩」戦没後、「長良」と共にその穴を埋めた。
後に老朽化で退役する。
対潜水雷艇母艦「洋鯨」(ようげい)
艦尾に捕鯨母艦のような「大型開口スリップウェー」を持つ特務母艦。小型水雷艇の発進・収容や補給などを行う。
米ロスアラモス原子爆弾研究所攻撃を主目的とした『弦月』作戦において、高杉艦隊パナマ運河攻撃隊に随伴し、水雷艇部隊と共に敵航空機部隊を誘う欺瞞行動に活躍した。
駆逐艦
雪嵐型駆逐艦
ガダルカナル島長駆夜襲攻撃で登場した公称戦速37ノットを誇る駆逐艦。前世陽炎型の近代改修型という設定か、艦型も同等であり、戦速は同吹雪型並みにまでなっている。
レーダー照準式5インチ連装砲3基・4連装九九式魚雷(音響追尾式)発射管2基、電探連装機銃などを装備。高速凌波性能を持って約1,000kmを長駆、ルンガ・ツラギ両泊地で米駐留艦隊相手に暴れ回った。
同型艦は「稲妻」、「雨風」、「時雨」、「白雪」、「潮風」。
「白雪」と「時雨」は前世に同名艦、「稲妻」は前世に同じ読みの「電」が就役していたがそれぞれの消息は不明である。
前世と同じく対空艦として建造され、各艦隊に配属されている。
初期に登場したものと旭日艦隊に配属されたものでは仕様が異なり、途中から砲を一基降ろし対空墳進弾を装備した艦も存在する。
終盤のドイツ軍の反撃により、大半が戦没している。
同型艦は「照月」、「涼月」、「初月」、「夏月」、「冬月」、「赤月」、「森月」、「銅月」、「紅月」、「紺月」、「碧月」、「玄月」、「紫月」、「長月」、「菊月」、「朝月」、「夕月」、「神月」。作中で生存が明言されたのは「菊月」のみ。
初期のころは「しょうげつ」、「りょうげつ」、「しょづき」など前世の同名艦と異なる読み仮名が振られていた。
コミック版ではなぜか陽炎型の姿で描かれていた。
前世と違い後世世界では対空駆逐艦として建造された。紅玉艦隊所属の「春雨」が雷撃されるなど被害を重ね、大半が戦没したものと思われる。
紅玉艦隊に6隻が配備されている。
「白雪」や「初雪」など、同名の艦も多数登場することから、戦没艦も多く出ていると思われる。
高杉艦隊に多数配備されている。
紅玉艦隊に6隻が配備されている。神風型や雪嵐型のベースとなった艦である。
駆逐艦「太刀風」
紅玉艦隊所属。前世の同名艦は峯風型駆逐艦であったが後世では神風型対潜駆逐艦(前世の同名艦とは異なる架空の艦型)。
Uボートの雷撃から旗艦を守るために盾となり、爆発沈没した。
駆逐艦「松波」
神風型対潜駆逐艦。Uボートからの雷撃を受け沈没した。
駆逐艦「高波」
神風型対潜駆逐艦。前世「高波」は夕雲型であったが後世世界では夕雲型は建造されず、神風型として就役した。朝日島設営隊を守るためUボートと激しい戦闘をする。
護衛艦「初雪」
高杉艦隊の前衛艦として登場、特型駆逐艦の改装か新規建造なのか不明。単装砲や対潜ロケットランチャーを備える。同型艦に「吹雪」、「白雪」、「残雪」がある。
後世世界でも建造された模様。「檜」が登場した以外は出番はない。
黒潮型軍用貨物船
自衛用の対潜・対空装備を施した高速輸送船兼海洋土木工作艦。軍艦のように艦体は細く、巡速20ノット、戦速30ノットを誇る高速艦。
港湾工事用のアースドリルを装備し、印度領ラカディブ諸島内の紺碧艦隊インド洋支援基地「朝日島」建設に同型艦5隻が投入された。
コミック・OVA版では前世の一等輸送艦と同様の外観であった。
航空機
戦闘機
シリーズで最も早く登場した架空戦闘機。
その外観からわかる通り震電の後世版として開発された機体。主武装は57mm機関砲2門。デビュー戦となった米B-30爆撃機の襲来においても帝都に一切の被害を与えずに全機撃墜するという戦果を挙げた。
派生形式として搭載エンジンを排気タービン過給型レシプロエンジンからジェットエンジンに換装した「蒼莱改/噴式蒼莱」がある。
OVA版では「蒼莱開発物語」というスピンオフまで製作されたほか、DVDの特典イラストにはブルーインパルスを思わせる曲技飛行隊仕様まで登場している。
またOVA版における噴式蒼莱は艦載機としても運用可能なほか、搭載武装が機関砲4門になっている。
零戦に代わる新型艦上戦闘機として開発された、前世における紫電改と烈風の中間のような特性の機体である。
ターボプロップエンジンを採用し高い性能を誇るが、高空での迎撃性能は蒼莱に劣るとされている。
しかし蒼莱は前述の通りレシプロエンジンを採用している。本来ならターボプロップエンジンの方が高空性能に勝っていることから設定の矛盾が指摘されている。
このことからコミック版では改良型のIV型からターボプロップエンジンが採用されたという設定に変更されている。
OVA版では中島飛行機が開発したという設定になり、搭載エンジンは泰山航空工業が改良した「誉」に変更された。III型からはターボプロップエンジンに換装されている。
木零戦
零戦をベースに主部材を木製化した機体。従来型よりも速度が速いとされている。
OVA版では「もくれいせん」と呼称されていた(OVA版では通常の零戦も「れいせん」あるいは「れいしきせん」と呼称されていた)。
史実におけるキ106の海軍版という触れ込みになっているが、キ106は既存の機体を木製化したことで当初から木製として設計された機体よりも性能が低下したという点が一切指摘されておらず、いわゆるにわか仕込みではないかと指摘されることがある。
もっとも同時に合板製造技術の向上により軽量かつ耐久力に優れる木製航空機が製造できるようになったとも説明されており、一応のフォローになっている。
紫式水戦
モルガン艦隊殲滅作戦に投入された水上戦闘機。飛燕を水上機化したような外観をしている。
噴式零戦/嶺花
電征に次いで開発された艦上戦闘機。「噴式零戦」とあるが零戦とは似ても似つかず、F-86に似た外観になっている。
このことは「作者は『零戦』が海軍公式の愛称だと思っているのではないのか?」と作者の軍事知識の不足を指摘する声もあった。
そのためかコミック版からは「零=レイ」をもじってか「嶺花」という正式名称が設定され、機体デザインを零戦をジェット化したようなオリジナルデザイン(MiG-15にも似ている)に変更、「外見が零戦に似ていることから噴式零戦と呼ばれるようになった」という設定が追加された。
OVA版では嶺花という正式名称はそのままに原作通りF-86風のデザインになっているが、今度は噴式零戦という通称が消滅した。
外観こそ前世の特攻機に酷似しているが、その実態はBa349のような迎撃戦闘機。カタパルトで射出され、傾斜式40mm機関砲で敵機を迎撃、スキーで着陸する。
原作では背負い式のジェットエンジンを有する武骨な機体だったが、コミック版・OVA版ではジェットエンジンは内蔵式になり機首に機関砲を構えた造形になった。
閃電改
OVA版のみ登場する前世の同名機とは特に関係のない艦上戦闘機。インド洋作戦から後半まで活躍したOVA版の後期における主力戦闘爆撃機。
外観は米F9F戦闘機に酷似している。
攻撃機
富嶽号に搭載される水上攻撃機。胴体に魚雷あるいはクラスター爆弾を搭載できる。
屠龍を水上機化したような外観が特徴。
伊500型に搭載される水上攻撃機。フロートを引き込み式にして空気抵抗の低下を図り、晴嵐とは違い戦闘機としても運用可能となっている。
紅玉艦隊には主武装を20mm機関砲に強化した春嵐改が配備された。
初期は「はるあらし」とルビが振られていたが、同じ場面で晴嵐にも「はるあらし」とルビが振られていたためミスと思われる。
前世における天山に相当。天山一二型甲とほぼ同様である。
前世における流星に相当。
緑電改
モルガン艦隊殲滅作戦に投入された水上攻撃機。一〇〇式司令部偵察機を飛行艇化したような外観になっている。
原作・コミック版では魚雷を胴体に格納しているが、コミック版では片翼に吊るしている。
噴式春嵐
春嵐の後継機。外観は春嵐と全く異なり、原作では双ブーム式でエンテ型というかなり奇抜な外観をしている。
コミック版・OVA版ではXF2Y-1に似た外観に改められ、水上スキー方式とした。
OVA版のキービジュアル(1巻パッケージ)には原作の姿のままで描かれている。
爆撃機
前世における彗星に相当。彗星一二型甲とほぼ同様である。
改良型としてターボプロップエンジンを搭載し機首に30mm機関砲を装備した「泰皇」がある。
紅玉艦隊の戦艦に搭載される特殊爆撃機。胴体下部に無線誘導式のレシプロ式子機爆弾を搭載し、敵重要施設のピンポイント攻撃を狙う。
バスラ攻略戦で全滅した爆龍の代わりに導入された特殊爆撃機。米利蘭土型の格納庫に搭載するため可変翼が特徴。
2機が製造されインド作戦でロンメルの司令部を強襲したが1機を喪失し、残った1機もその後一切登場しなかった。
吼星/海王
双発の噴式艦上爆撃機。原作では「海王」、OVA版では「吼星」という機体名で登場し細部の設定も異なっているが、概ね陸上爆撃機「銀河」を噴式(ジェット)化したような機体である。
「吼星」は発艦時に外装のロケットブースターを点火する。
殲鬼
逆ガル翼が特徴的な噴式艦上爆撃機。外観は九九式襲撃機の改良型キ71を噴式化したような姿をしている。
35mm機関砲を装備しインド洋作戦で活躍した。
OVA版では前述の閃電改に出番を譲り未登場。
世界を半周できるほどの航続距離を持つ双胴の巨大飛行艇。空中戦艦の異名を持つ。
ターボプロップ式ワルター機関を装備し、伊1000型の支援があれば世界中のどこへでも攻撃できる。
富嶽の後世版がコンセプトで、名前の由来も富士山から。
偵察機
本作で最初に登場した架空兵器。艦上電子偵察機で敵艦隊の位置を特定するなど大活躍を見せた。派生型として水上機型の「星電改」がある。
原作では九九式双発軽爆撃機をベースにした機体と設定されているが、コミック版では単胴双ブーム式、OVA版では一〇〇式司令部偵察機にレドーム三基を付けたような外観になっていた。
仙空
二式大艇をベースにした対潜哨戒機。翼端にワ式推進器、尾部に磁気探知機を装備している。
原作およびコミック版では二式大艇そのものだったが、OVA版での外観はPS-1だった。
飛鴎
対潜攻撃能力を持つ哨戒機。
原作では水上機だが、コミック版では四式重爆撃機「飛龍」にレーダーと八木アンテナを取り付けた電子作戦機である。
星鵬
インド作戦から導入された艦上電子作戦機。コミック版では「飛鴎」の後継機で機体下部の八木アンテナの代わりにレドームが付いた形態。
OVA版ではE-2の機体下部にレドームが付いた形態になった。
雲電/雲流
コミック版では「雲電」、OVA版では「雲流」として登場。双発ターボプロップ式艦上偵察機。
仙狩の就役後は対潜哨戒機としての任を解かれ弾着観測に用いられた。
OVA版の「雲流」の外観はジェットエンジンを外したP-2Vそのもの。
仙狩
「東光」の艦載機として運用された対潜哨戒機。艦載機だが飛行艇として着水も可能で、インド作戦でUボート相手に活躍した。
改良型として艦上専用型となった「飛狩改」があり、旭日艦隊に配備された。
爆龍改
爆龍を改造した対潜哨戒機。コミック版・OVA版のみ登場。
インド洋作戦のころには原作初期に活躍した機体は軒並みフェードアウトしてしまい、爆龍も「バスラ攻略戦で全滅した」とのみ触れられるが、コミック版・OVA版では原作では描写が少ない紅玉艦隊を補完するために生き残った機体が対潜哨戒機に改造されたとの設定が追加された。
とはいえ設計当初の用途には反する運用であり、急ごしらえの機体だったこともあってあまり役に立てなかったとされている。
登場兵器(アメリカ)
航空機
爆撃機
B-30
前世の同名機とは異なりB-29の航続距離を増大させた改良型。作戦行動半径は3000km。
中国大陸から日本本土を強襲するが、蒼莱によって全機撃墜された。
原作では日本に戦略空軍が創設された際にB-29が供与されたが、OVA版では本機に統一されている。
B-32 フライングデビル
前世のB-32とは異なりB-36の補助ジェットエンジンを取り外したような形態をしている(前世B-32は「新・紺碧の艦隊」に登場している)。
通常の爆撃機型のほかに爆弾層に多連装ロケットランチャーを装備した対艦掃討機型があり、高杉艦隊の空母「加賀」、巡洋艦「利根」、「筑摩」を撃沈するなどの大打撃を与えた。
B-36 フライングバトルシップ
コミック版およびOVA版でB-32の後継機として開発されているとの描写があり、大戦末期に実戦投入されたとの描写があるが詳細は不明。
ゲーム
OVA版の発売に前後してゲーム版が発売された。
SFC版「紺碧の艦隊」
1995年にエンジェル(1997年まで存在したバンダイ系の会社)から発売されたSFC版ゲームは戦術級ウォー・シミュレーションゲーム。四角形のマスに沿って艦艇・航空機を動かす。
戦略要素もありインターミッションで技術投資・東方エルサレム共和国への投資などを行うと新兵器が開発できるようになり、また米報道機関へのアピールをすることで敵の戦力強化を防ぐことが出来る。
OVA版と同時進行で製作されていたようで、キャラクターデザインはOVA版に準拠しているが、OVA版には登場しない第十二潜水隊が紺碧艦隊と共闘する、ハルゼー艦隊攻撃の際に第十二潜水隊に前原が乗り組んでいる描写がある、噴式春嵐(本作ではなぜか嶺花に代わって空母艦載機という扱いになっている)のデザインが原作準拠になっているなどの相違点がある。
ストーリーは弦月作戦までで、エンディングでは思わせぶりにヒトラーが登場するが続編が発売されることは無かった。
PC-9801/Windows95「紺碧の艦隊」シリーズ
恐らくある方面ではもっとも有名な「紺碧の艦隊」のゲーム。
PC-9801の初代「紺碧の艦隊」は描画性能の低さもあって原作・コミック版要素が強かったが、「紺碧の艦隊2」ではオリジナル要素が強くなり、原作とは異なりドイツとの同盟を破棄せずに進行することも可能。同盟を結んでいると頼りになるがもちろん原作では悪役ということもあって破棄しないとバッドエンドになってしまう。
ドイツとの同盟を続けていると原作には登場しない前世の兵器(=実在兵器)が開発されるほか、同盟破棄後もドイツはたびたび同盟復帰を要望してくるため闇落ちも可能。
グッドエンドへの分岐点として重要となる日米和睦イベントはほぼ原作通りに進行しないと発生しないと言われるほど発生させるのが難しい。
最大の要素はオリジナルの艦船の設計が可能であるという所。ドイツとの同盟を続けているとドイツから設計の依頼が来ることもある。
この設計システム「HLG55」は後にマイクロキャビンが開発した「鋼鉄の咆哮」シリーズに継承されており、初期の「鋼鉄の咆哮」シリーズには一部超兵器の命名(日本製超兵器が日本神話由来、ドイツ製超兵器が北欧神話由来)など本作の影響がうかがえる部分がある。
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