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蒼海の世紀

そうかいのせいき

蒼海の世紀とは、原作:鈴木貴昭、作画:野上武志による架空海洋戦記漫画。
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概要編集

野上武志氏の個人サークル『Firstspere』で頒布した同名の同人誌に端を発しており、商業用コミックスはCR COMICS(ジャイブ)から全7巻刊行。ジャイブ版のコミックスには「王子と乙女と海援隊」の副題が付いている。

「もし坂本龍馬が暗殺されずに生存していたら?」に端を発する架空戦記。

過激な描写が多く、読むときは注意が必要である。


世界観編集

竜馬暗殺回避編集

蒼海の世紀 ~坂本龍馬と三人の女傑~

史実では大政奉還成立の1ヶ月後に起きた近江屋事件で、坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された。

蒼海の世紀では偶然にも、龍馬がくしゃみしたことにより身を案じた沢村惣之丞が布団を用意させようと部屋を出た際、山田藤吉を殺害し、2階に上がろうとする刺客に遭遇。史実では寺田屋事件で無くした拳銃を無くさずに所持していた龍馬は、拳銃で応戦することで右目を失いながらもこれを撃退した。


龍馬は国内では暗殺の危険があるとして、貿易事業を推進・世界の見聞を広めることとした。

自らの坂本商会が所有する横笛丸、中岡慎太郎の土佐商会が所有する巡海丸に龍馬の妻、おりょう、龍馬の姉、坂本乙女、婚約者で千葉道場の娘、千葉さな子らと海援隊の隊士とその妻女と共に日本を離れた。

この時、乙女とさな子が中心となり、船に乗り込んでいた海援隊士の妻女らに船の警護を目的とした訓練を始めた。

これが作中でメインとなる女子海援隊の始まりである。


ハワイ王国編集

1868年の戊辰戦争で榎本武揚ら旧幕府軍の主戦派は、北海道・東北で抵抗を続けるため、「開陽丸」「回天丸」「蟠龍丸」「千代田形丸」と運送船4隻からなる艦隊を率いて江戸湾から脱走。しかし途中、仙台である女性(おそらく坂本商会の人間)によりもたらされた支倉常長の航海図と称される古地図により、海外に新天地を目指すこととする。あくまでも国内で抗戦を支持する者を降ろし、代わって、新天地を目指す者らの家族を乗せ、榎本艦隊はハワイ王国へ逃亡。

当時、ハワイ王国はアメリカによる併合が危惧されており、榎本艦隊の戦力は独立を維持する上でも必要不可欠だった。

また、徳川慶喜大阪城から逃亡した際に残されたままであった、18万両の大金と刀剣類等の美術品も新政府軍への接収を防ぐため、榎本が艦隊の各艦に載せていたそれがそのままであったため、潤沢な活動資金としても魅力であった。

日本政府は黙認するどころかむしろ積極的に推奨すべく、国内の旧幕府勢力を次々に送り込み、ハワイからアメリカ勢力を追放し、カメハメハ5世を大統領として「ハワイ共和国」を設立。

ハワイ共和国には坂本の尽力もあり、日本から多くの移民が入植している。

ハワイ共和国は後に「ポリネシア連合」を経て「太平洋共和国」となる。


翔天隊・海援隊編集

龍馬によって、食い扶持にあぶれた士族を集め、傭兵組織「翔天隊」が結成され、傭兵として商会の警護の他、不当に植民地化されそうになった太平洋諸国に派遣され、1893年のパークナム事件やフィリピン独立運動に参加。

この際、かのダグラス・マッカーサーの父、アーサー・マッカーサーが史実と違って戦死するといったバタフライ効果も発生している。

一方で、乙女とさな子によって訓練された海援隊士の妻女は、坂本商会の私設海軍「女子海援隊」に発展。

当時のボイラーは石炭焚きであり、砲弾の装填と合わせ、戦闘艦艇の運用に多くの力仕事が求められていたことから、力仕事に不向きな女子のために各種自動化技術が推進されるようになった。


日露戦争編集

日露戦争は、日本が特に陸戦で苦戦し、特に痛み分けに終わった黒溝台会戦の後、朝鮮王高宗ら親露派がロシア軍と内通するという重大事件により、日本軍は朝鮮半島と遼東半島に撤退を強いられる。

この重大事件がきっかけで、日本国内では朝鮮に対し白い目で見るようになる。

日本海海戦は日本海軍の勝利に終わるものの、講和条約では大陸への橋頭保を完全に失い、日本は海洋貿易へ活路を求めるようになる。

この戦争において、武器弾薬、食糧の補給を行った坂本の海援隊、陸援隊の活躍から、日本軍は補給重視の堅実路線を採るようになる。


登場人物編集

李家 鳴海(りのいえ なるみ)編集

主人公。大韓帝国帝室の庶子。日露戦争中に日本に亡命し、学習院を経て、海軍兵学校に入学。

朝鮮王室の人間という事で、日露戦争での裏切り行為から、周囲からいじめられていた。

近海航海訓練として海援隊の戦艦みかさに乗艦するが、海軍には入らずにそのまま海援隊へ入隊する。初登場時は海援隊少尉。

いつもニコニコしており、腕っ節は弱く一見頼りなさげだが、精神が非常に強くて頭が良く、機転が利く。海援隊の女性隊員からは「王子」と呼ばれ親しまれている。


鈴木 穂積(すずき ほづみ)編集

ヒロイン。海援隊の要人警護部。階級は海援隊中尉。「負け負けたり1000年、源平合戦平氏側に始まり、関ヶ原では豊臣側、明治維新では幕府軍に属してきた」という先祖代々、反主流派に与しては敗北するという歴史を重ねてきた、本人いわく『この国の逆賊中の逆賊』。非常に気が強く、喧嘩っ早い。鳴海の護衛役を務めるうちに、鳴海に惹かれるようになって行く。


才谷 美紀(さいたに みき)編集

海援隊大佐。海援隊所属の戦艦みかさ(日本帝国海軍の戦艦三笠が海援隊に移籍された際に改名)の女性艦長。坂本龍馬の実子でもある。

名字の才谷とは、かつて坂本龍馬が偽名として使った「才谷 梅太郎」から取ったと思われる。

日本海海戦では連絡将校として東郷平八郎の補佐を務め、三笠が被弾した際、破片によって父と同じく右目を失っている。幼少時の鳴海と出会っており、このことは鳴海がみかさに憧れる要因となっている。


内田夏美編集

みかさの水兵。李家に好意以上の感情を抱いている。


小林マリコ編集

みかさの古参水兵。艦内の情報通。


吉田チカコ編集

みかさの古参水兵で、腐っており、時折同人誌を手掛けている。


樹崎聖編集

みかさの士官で、鈴木の直属の上司。階級は大尉。

周囲からは「聖様」と呼ばれ、慕われている。


黒河編集

みかさ陸戦隊隊長。階級は兵曹長。格闘戦や接舷強襲戦を得意とする。


マキハラ編集

みかさの主計課古参兵。3巻のみ登場。ギンバイを絶対許さず、行うとするものを必ず撃退する。


武井雪編集

駆逐艦「葛」艦長。日焼けした姉御肌の人物。

才谷とは「独眼竜」「雪ちゃん」と呼び合うほど親しい間柄である。


淡路編集

4巻以降で登場した女医。大酒のみでどこかの船医を彷彿させる。ちなみに専門は産科医。


阿部古子編集

陸援隊騎兵中尉。第6巻に登場。1916年のベルリンオリンピック代表に選ばれるほどの馬術の腕前を持つ。愛馬は「白帝号」と称する名前とは違い真っ黒な名馬。


東郷平八郎編集

海援隊元帥。

日本帝国海軍大将として日本海海戦に勝利した後、予備役編入。その後、海援隊に移籍された戦艦三笠とともに海援隊に移籍する。


乃木希典編集

第6巻に登場。李家が学習院に居た頃に校長を務めており、気さくで親身な人柄から「うちのおやじ」の愛称で親しまれていた。

李家に将校斥候として、西部戦線の調査を命じる。


坂本龍馬編集

海援隊および日本最大の貿易会社である坂本商会の創設者で、幕末から明治にかけての近代日本における最重要人物。現在はハワイで隠棲しているが、年老いてもその影響力は非常に大きい。無類の女好きで記者から「また護衛の女の子に手を出したのは本当ですか?」と言われるほど。


関連タグ編集

架空戦記 野上武志 鈴木貴昭

戦艦三笠

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