蒼莱
そうらい
荒巻義雄原作の架空戦記小説『紺碧の艦隊』に登場する架空の局地戦闘機。本作で最も早く登場した架空戦闘機である。
原作において正式な表記は「蒼萊」であるが「萊」が機種依存文字のため一部媒体では「蒼莱」と表記される。
前世大戦末期に行われた米軍の戦略爆撃対策として、軍令部総長高野五十六は前世大戦末期に開発された局地戦闘機「震電」に着目。泰山航空工業を中心とした開発チームが編成され、前世において震電を開発していた鶴野正敬大尉の転生者を起用することが検討された。
当初は大分の海軍航空隊に所属していた鶴田正敬こそが転生者であると考えられたが、正敬は優秀なパイロットである一方航空工学においては全くの素人であった。
しかし正敬の紹介により帝国大学で航空工学の研究をしていた兄・正親が着任。ふたりの尽力によって照和17年に試作機が初飛行した。
外観上の最大の特徴は八葉の二重反転プロペラである。おそらく震電で問題視されたカウンタートルクの相殺を目的に採用したものと思われるがいずれのメディアミックスでも明言はされていない。
機首には57mm機関砲のほか邀撃用のレーダーも搭載されている。
全長 | 10.56m |
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全幅 | 11.20m |
自重 | 3,725kg |
最大速度 | 760km/h(高度8,700m) |
実用上昇限度 | 13,000m以上 |
航続距離 | 1,200km |
エンジン | 東式梅型発動機(排気タービン過給型レシプロエンジン) |
武装 | 57mm機関砲2門 |
照和17年4月時点で先行量産機16機が土浦航空基地に新設された首都防空飛行団に配備されていた。それから間もない4月18日に米B-30爆撃機13機が中国・麗水飛行場より本土に襲来。土浦より直ちに発進し帝都上空で交戦、高度13,000mからの逆落とし奇襲攻撃で全滅させることに成功。
この戦果を受けて正式に大量生産が決定され、当初は全国の海軍航空隊に配備される構想だったが、大量生産には適さない機体だったことから主要な基地にのみ配備され、その他の基地にはカタパルトから発進するジェット戦闘機「桜花」が配備されることとなった。
前世においては具体的な計画が何も進んでいなかった「震電」ジェット機化計画をもとにした、ジェットエンジン搭載型の蒼萊。推力の増加に合わせて設計強度も見直しており、最大速度は時速1137km。
武装は57mm機関砲のほか空雷(空中機雷)の搭載が可能。
照和20年時点で量産化に成功しており、佐渡島航空基地を始めとする主要な基地に配備されていた。
原作では「蒼萊改」、コミック・OVA版では「噴式蒼萊」という呼称が用いられている。
照和20年12月の独ヨルムンガンド爆撃機の本土襲来の折、佐渡島航空基地所属の機体が新潟上空で迎撃。これを殲滅した。
原作では北海道防空部隊所属機が桜花と共に迎撃に参加している。
アイスランド沖海戦ではイーサ泊地所属機が独重爆部隊を迎撃している。
OVA版では空雷の使用描写がない(代わりに光武が空雷を使用している)他、搭載武装が機関砲4門に変更されている。
またコミック版では艦載機としても運用されている。
OVA版で制作されたスピンオフ作品。VHS版は単品でレンタルされていたが、DVD以降はコンプリートボックスの特典としてのみ収録されている。Amazonプライムでは本編と共に配信されている。
あらすじ
前世大戦末期に行われた米軍の戦略爆撃対策のため、大高弥三郎と高野五十六は前世大戦末期に開発された「震電」に着目。前世において「震電」を開発した鶴野正敬の転生者を探す。
調査の結果大分の海軍航空隊に所属する鶴田正敬が転生者と特定したが、彼は航空工学の素人だった。
しかし高野は正敬から帝国大学で航空工学を研究している兄・正親を紹介される。鶴野正敬は航空工学技術を持つ兄と操縦技術を持つ弟の2人兄弟として転生していた。