概要
大学卒業後、出版社で編集者をしていたが、家業を引き継ぐため北海道に戻り、1965年頃からSF同人誌「CORE」を主催。1970年にSFマガジンに評論『術(クンスト)の小説論』と短編『大いなる正午』を発表しデビューした。
デビュー当初はニューウェーブSFの影響を受けた幻想的な作品や、神と名乗る侵略者との宇宙戦争を描くスペースオペラ『ビッグ・ウォーズ』シリーズを発表していたが、1986年に氏の架空戦記作品の原点ともいえる『ニセコ要塞1986』を執筆。
『ニセコ』より続く『要塞シリーズ』のイラストおよび作中兵器のデザインを、元スタジオぬえの佐藤道明が担当し、続編も次々と刊行された。
自身が幼少期に読んだ戦記小説を、現代の視点で書いたという『要塞シリーズ』は、希望した読者を作中人物として登場させたり、読者考案の兵器や戦略を採用するなどして人気を博した。
また、佐藤がデザインした荒唐無稽ではない洗練された架空兵器群は、ガレージキットとして立体化され裏表紙を飾った。
その後、1990年に発表された『紺碧の艦隊』は、1992年に発表された姉妹編『旭日の艦隊』と共に一大架空戦記ブームを巻き起こした。(自身ではシミュレーション小説と呼び、必ずしも戦争で勝つことを目的としていない)
執筆の際に多くの資料を参考にしていたことで知られ、巻末の「地政学」をはじめとした資料一覧は圧巻である。
一時期、日本SF作家クラブを脱退していたが『富嶽要塞』以降はSF小説に回帰した作品を発表。
2014年以降には、現在では入手困難な初期SF作品をまとめた『定本 荒巻義雄メタSF全集』全7巻+別巻を刊行している。
代表作
- 要塞シリーズ
- ニセコ要塞1986
- 十和田要塞1991
- 阿蘇要塞1995
- 琵琶湖要塞1997 ※漫画:夢野れい
- 富嶽要塞Ver.1
- 要塞シリーズイラストストーリー ※案 画:佐藤道明
- 艦隊シリーズ ※漫画、OVA、ゲーム化
他多数