打ち上げ式戦闘機
Ba349ナッター(Natter:蛇)は、第二次世界大戦末期のドイツで高高度を飛行する連合軍爆撃機迎撃を目的に開発されていた垂直打ち上げ式のロケット戦闘機。
当時最速クラスのアメリカ製レシプロ戦闘機P-51D型が最高速度700km/hのところ、Ba349は1,000km/hという驚異的な高速力を発揮。
搭載武装の対空ロケット弾×24発は命中精度こそ低かったが、至近弾でもB-17のような強靭な重爆撃機を一撃で爆散させることが可能だった。
ただし、ロケットエンジンの劣悪な燃費のため稼働時間はA型で3分程度、B型で5分以下と極めて短かったほか、1分間で10,000mもの上昇を可能とする凶悪な出力重量比は殺人的な加速をもたらし、試験飛行ではテストパイロットが強烈な重力加速度で気絶、そのまま墜落するという悲惨な事故も起きている。
加えて、極端に簡略化された設計ゆえ飛行安定性も不足していたという。
なお、燃料が切れた後の機体はそのまま放棄されるがパイロットはパラシュートで脱出、ロケットエンジンも分離されてパラシュート降下し、再利用することが想定されていた。
欧州大戦終結の直前となる1945年4月に実戦配備はされたものの、実戦投入はされなかった模様。