打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間
空間は歪み
呪力は黒く光る
概要
『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み』を指す。
衝突の際はその名の通り、黒く光った呪力が稲妻の如く迸り、平均で通常時の2.5乗の威力という驚異的な攻撃を叩き込む。
黒閃を経験した者とそうでない者とでは、呪力の核心との距離に天と地ほどの差があるとされる。
4回という連続記録保持者である七海健人曰く、黒閃を発生させると、その呪術師はスポーツにおける『ゾーン』に入った状態になるという。一時的にではあるが、普段意識的に行っている呪力の操作が呼吸するかのように自然と行われ、圧倒的な全能感を味わうのだとか。
そのため2回以上の黒閃を繰り出すとしたら、連続で発動させるか、その日のうちに発生させなければ難しいとのこと。1回目はまぐれでも実力でも構わないらしい。
勘違いされやすいが、黒閃は『現象』であって『技』ではない。
ドラクエに例えると、まじん斬りのような特技ではなく、稀に起きる会心の一撃というシステムである。
さらに作中の描写を見るに、決めの必殺技というよりは反撃開始・起死回生のバフ技というような扱われ方をされている。
上述の説明通り、重要な部分は威力ではなくポテンシャルの解放なのだろう。
そして黒閃を狙って出せる術師は存在しない。
例として、正拳に呪力を籠めて打撃を繰り出すと、そこに籠められた呪力は、
- 拳を強化する呪力
- 相手にぶつける呪力
- その両方を担う呪力
に分けられ、ミート(接触)のタイミングだけでなく、これらのブレンドも黒閃の発生に影響する。そしてこのブレンド加減も、その時の環境(相手の呪力、自分の肉体のコンディションなど)によって変化する。
また、五条悟は「(条件がタイミングとブレンド具合だけなら)六眼で再現できるはずなのに実際は出来ない(つまり条件は呪力だけでは無い)」「黒閃には空間が大きく関わるため、気温や湿度も関係する」と考えている。
要するに黒閃の発生条件には正解がなく、よく呪術師の指標や例外として挙げられる五条ですら、黒閃という現象は術式が絡むと「運次第」なのである(絡まなければ多少狙えるのかと言う疑問はあるが)。
黒閃経験者
以下、単行本最新26巻未収録のネタバレ注意!!
「彼は 黒い火花に 愛されている」
京都姉妹校交流会時、対花御戦にて、初めて黒閃を決める事に成功する。
その後も壊相戦や真人戦などで、ここぞという場面で黒閃を成功させている。
人外魔境新宿決戦では宿儺にも黒閃を決め、生得術式の解放等覚醒を遂げる。
宿儺戦以前は虎杖と七海が4回連続で同率最高記録であったが、虎杖が宿儺戦で連続7回と言う驚異的な数字に塗り替えている。(合計で言うなら9回とさらに多い)
"まじん斬りではなく会心の一撃"の例えに則るなら、虎杖は武闘家…つまり呪力という世界の摂理(システム)に於いて特殊で特別な立ち位置にあるのかもしれない。
「二度の黒閃 五条悟のボルテージが上がる」
京都姉妹校交流会において黒閃経験者である事が示唆されており、公式ファンブックで正式に黒閃経験者である事が判明した。
いつどのように黒閃を決めたのかは不明。実際に黒閃を決めたシーンが描かれたのは本編第232話と235話で合計4回。そもそも五条のような強者の場合、戦闘が長引く事は基本ないため、必然的に黒閃を発生させる機会が少ない。
しかし、成功数で言えば七海より多い(ただし虎杖に更新される)とのこと。
「その先で爆ぜる 100万分の1の火花」
八十八橋編時、対血塗戦にて、虎杖と共に初めて黒閃を決める事に成功。
その後は「ゾーン」に入った状態になり、壊相に大ダメージを与えている。
その後もこの時の感覚を生かして真人戦でも活躍している。
「黒閃連続発生記録保持者 七海建人は語る」
上述の虎杖が同様に4回連続で決めるまで唯一の黒閃連続発生記録を保持していた。ファンブックによると、京都・百鬼夜行で1級呪霊数体に対して決めたらしい。七海は術式上、打撃の際に集中力が必須となるため必然的に黒閃も出やすくなるらしい。
あくまで裏設定に過ぎなかったのだが、劇場版『呪術廻戦0』で実際に黒閃を連続で出している瞬間が映像化された。
「再び虎杖(ブラザー)を 独りにする気か?! 東堂葵!!」
虎杖に黒閃を伝授した事から黒閃経験者である事は示唆されていたが、実際に披露したのは渋谷事変。
なお、アニメでは某ジャンプ作品のあのシーンを彷彿とさせるようなド派手演出ともはや訳の分からない存在しない記憶と共に繰り出された。「読者の脳内に多大な情報量を流し込みつつも、(あまりのカオスさに)脳内でそれらの情報が一切完結しない」という共通点から、ファンからは「簡易版無量空処」とまで呼ばれている。ちなみに、アニメ版では発動中のシーンに一瞬だけ東堂の顔が現れる。Youtube上のショートで探すと見つけやすい。
「黒い火花は 微笑む相手を選ばない」
渋谷事変時、2回目の対虎杖戦にて、初めて黒閃を決める事に成功する。
現状判明している黒閃経験者の中では唯一の呪霊。
その後は、東堂の位置換えをも無視する全方位範囲攻撃となるほどの『多重魂 撥体』や0.2秒の領域展開、もう一度黒閃を決めた事による覚醒『遍殺即霊体』を成功させている。
以下、劇場版『呪術廻戦0』のネタバレ注意!!
「オマエは殺さなきゃいけないんだ」
百鬼夜行における夏油傑との決戦時に、呪力を込め過ぎた事が原因で得物を破損させてしまい、代わりに放った呪力を纏った拳による黒閃で夏油を殴り飛ばした。
直撃の寸前にタコ型呪霊による最低限のガードがあったとはいえ、それでもなお決定打とはなりえなかった事から、夏油のタフネスさが窺える。
なお、この黒閃は劇場版『呪術廻戦0』のオリジナルのシーン。原作0巻では、ただ呪力を籠めた拳で夏油を殴り倒している(当時はまだ黒閃の設定が無かったのだと思われる)。
以下、本誌のネタバレ注意!!
「初めてだ 俺に使命を背負わせた奴は」
原作253話にて初披露。
呪力を完全に捨て去り、驚異的な力を手にした人間の究極形たる存在である禪院真希との戦いに高揚し、ボルテージが最大限まで高まった状態で発生させた。
天与呪縛によって肉体が強化されている真希を、一時的に戦闘不能に追い込んだ。
その後、ミゲルと共に参戦したラルゥに二度目、復活した真希に三度目、脹相に四度目と、黒閃を三連続で決める。その後さらに虎杖悠仁に五度目、東堂葵に六度目、七度目と黒閃を決め、領域展開と反転術式の出力を取り戻した。
余談
黒閃の威力は2.5乗とされているが、この設定は読者から盛大に突っ込まれている。
数字だけ二乗にすると、1の二乗は1(実際に編集につっこまれていたことが明かされている)になる上に威力が1より低いとダメージが下がってしまう。
(なお単行本6巻の話の間に挟まるおまけマンガの中では、「1の二乗は1ですよ」と突っ込まれ、最終的に「呪力は2(?)から!」などの記載がある)
もし威力を仮に100J(ジュール)としても、これの2乗は100の二乗(1万)ジュールではなく100ジュールの二乗になってしまう(数学的に単位まで含めて二乗にせねばならず、ジュールの二乗という単位は存在しない)から。
数学では長さの二乗が面積になるように本質的な単位が変わってしまう。
この矛盾を解消する方法として、『呪力強化率』を2.5乗にするという考察がある(参考文献)。
興味がある方、2.5乗に疑問がある方は読んでみてほしい。
『呪力強化率』とは、『呪力なしの(素の打撃の)威力』×N=『呪力ありの(打撃の)威力』のNの部分のこと。
実際は『呪力なしの威力(フィジカル)』+『呪力の威力(呪力出力)』=『呪力ありの威力』つまりフィジカルに対する『足し算』である可能性が高い。
なぜかというと、乙骨が、自身は非力と言っていたのに呪力出力が高いのが理由で強くなっていたから。
もし呪力がドラクエのバイキルトのようなもので、フィジカルに対する『1より大きい数字の掛け算(もし1より小さい数字だと呪力を使ったのに弱くなってしまうため。)』ならフィジカルをマイナス10すると実際の減衰威力が10より大きくなってしまうし、素が弱い?乙骨は掛け算と相性が悪い(1×9より5×5の方が強い)。
乙骨の発言を見るに素のフィジカルがあまり無さそうな乙骨が最強クラスになっているから掛け算の可能性は薄い。
ここで普通の打撃を100、呪力出力を100、黒閃威力を2.5乗とする。
この場合、強化倍率Nは100×N=(100+100)で2となる。括弧内は打撃威力と呪力出力。
黒閃はこれを2.5乗にするので強化倍率は5.65………となり200ダメージに比べて565ダメージ程度となる。
この方法を用いると威力が弱くならない。
この計算式ではフィジカルと呪力の合計威力を同じとした時に呪力の占める割合が大きい方が黒閃の威力が大きくなってしまうが、そもそも黒閃とは呪力の現象なので呪力が大きい方が威力が高くなってもなんら不自然ではない。
『呪術廻戦0』公開後に、他作品の様々なキャラクターに黒閃を発動させるパロディ動画が大量発生。特に、某スパイ家族のこの2人が犠牲になってしまっている。
また、作中ではその絶大な威力から必殺技のように扱われており、実際黒閃を受けた相手はいずれも致命的なダメージを受けている。
強力であることは間違いないのだが、今のところ本編において黒閃で相手を倒したケースは殆ど無い(本編以外なら前日譚である劇場版『呪術廻戦0』にて上述の通り七海が黒閃で1級呪霊数体を祓っている)。
一方で(2.5乗云々はともかく)格下が格上を打倒する、または満身創痍の人物がまだ余力を残している相手を倒す、というバトル漫画において一つのお約束になっている展開に、十分な説得力を持たせられる良い設定として評価を受けている。