「大変恐縮なのですが…息の根、止めさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
プロフィール
本名 | ヨル・ブライア→ヨル・フォージャー |
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異名 | いばら姫 |
出身地 | 東国、ニールバーグ東部 |
婚姻歴 | 結婚中(※ただし偽装) |
家族 | 弟(ユーリ)→加えて 夫(ロイド)、娘(アーニャ)、犬(ボンド)(※ただし偽装) |
年齢 | 27歳 |
身長 | 170cm |
一人称 | 私 |
声優 | 早見沙織 |
演 | 唯月ふうか、佐々木美玲(日向坂46) |
概要
バーリント市役所の女子事務員。幼少期に両親を亡くし、7歳下の弟ユーリの姉であり、当時幼かった弟を守るため親代わりを務めつつともに暮らしていた。
かなり浮世離れした天然ボケかつおっとりした性格で、会話時は誰にでも敬語で話すのが特徴(モノローグでも基本的に敬語だが、弟との会話ではたまに女性語になる)。
独身生活が長かったことから、人間関係の問題や素性を怪しまれる(東国では独身女子に秘密警察からスパイ容疑がかけられる傾向にある)ことを回避するために、妻役を探していたロイド(黄昏)と偽装結婚しアーニャの義母となる。黄昏の工作で戸籍上は1年前にロイドと入籍したことにしている。
その特殊な生い立ちから一般的な感性や常識を知識としては知っているものの理解は出来ていない節があり、常人とはズレた反応をする事もあるため市役所でも変人扱いされている(姉の近況を気にして電話してきたユーリからも「姉さん変わってるから心配なんだよ」と言われており、実際のところはユーリの懸念は当たっていた)。
それ故職場での同僚達(カミラ、ミリー、シャロン)との関係は物語開始時はあまり良好とは言い難く(ヨル本人はその自覚は全く無かった)客観的に見れば職場いじめ一歩手前の状態だったがロイドとの入籍以降は面白半分な部分もあるが相談に乗ってもらったり、残業終わりの食事に誘われた末に「話してみると案外おもしろい」「また誘ってみましょうか」と思われる程度には関係が改善されている。
時間割を見ずにその日使わない体操着を忘れ物と勘違いしたり、突飛な妄想癖があるところなどもアーニャと似た者同士といえる。
当然ロイドはおろかアーニャとボンドの正体についても疑う描写はない。
男女関係に関する免疫も無く、他人から気遣われる経験も少なかったようで、ロイドの手馴れた気遣いやアーニャのあざとい演技にいちいち感動し喜ぶ事が多い。
国賊を排除する仕事を選んだだけあって正義感は強く、アーニャに危害を加えようとしたり侮辱したりする人間には時に熱く、時に冷たく、時に鬼の形相で、怒りを見せる。
容姿
本人は酔っ払った際に「ヒオナ(フィオナ)さんみらいにキレイれもないれす…でも前にわらしのこともキレイだって…あれはウソらったんれすか?」と零しているが、同僚のカミラとミリーからは「元がいいんだからオシャレしたら絶対モテると思うんですよー」「今度おすすめのコスメ教えてあげますよー」、アーニャの親友であるベッキーから一方的にロイドを巡っての恋敵と認識されていてるが、「写真よりキレイね!強力なライバルだわ!」と評され、作中でも他者に器量の良さを評価される描写がある。ただし、同僚からの評価に関してはこの回における見下されっぷりを見るに本心かどうか怪しい。
後述の身体能力故か、首や上腕がややがっしりしている他、臨戦態勢を取ると指先が鋭くなる。
長い黒髪をヘアバンドでまとめモミアゲから垂らした独特な髪型をしており、オフの時にはそのまま髪を下ろしている。
瞳の色は赤で、弟であるユーリと非常によく似ている(作者ですら、「ユーリを女にしたらヨルみたいな顔になる」と発言している)。
家では赤いセーターを愛用しているが、肩と背中が大きく露出している中々セクシーな服装である。
コードネーム〈いばら姫〉
その正体は、東国の秘密組織「ガーデン」に所属する凄腕の殺し屋〈いばら姫〉。
幼少期に弟を養うため殺し屋になり、東国に巣くう売国奴を何人も始末してきた。
殺しの仕事ではリトルブラックドレスに黒いサイハイブーツを纏い、柄尻が輪になった杭のような短剣(スティレットの一種)を主に使用するが、体術及び素手での格闘術も超人レベルであり、銃弾をかわし貫手の連打で大男を突き殺すほど。投擲能力もかなり高く、投げたボールが光の矢になって遥か彼方に飛んで行ってしまう程。一方、銃や弓矢を始めとした一般的な飛び道具の扱いは不得手とのこと。毒殺と言った搦め手も苦手らしいが、アーニャに心を読まれた際に自室に毒劇物が保管してある旨が胸中で語られている他、得物に毒を塗ると言った事は行う。
殺し屋になったのは幼くして両親を失い弟を養わねばならないという事情からだったが、今では国の平穏を脅かす存在を「掃除」する自らの仕事に誇りを持って取り組んでいる。
守るべき存在だった弟が独り立ちし、危険な殺しの仕事を続けなくても生きていけるようになった今、自分の戦う意味に迷うこともあったが、たとえ居場所を失うことになろうと、自分が死ぬことになろうとも、この世の理不尽を少しでも減らし大切な人達の他愛ない平穏を守りたいという信念を見出し、これからも戦い続ける決意を固めた。
奇しくもこの信念は、自分と同じ悲しみを背負う子供を生み出さないため自分の人生を捨て平和のための礎として生きることを決意したロイドと、姉の平穏を守るためにあえて国を守る汚れ仕事を選んだユーリの二人の信念を合わせたようなものとなっている。
客船編での出来事を通じて戦い続ける決意を新たにしたヨルであるが、果たしてそんな彼女がフォージャー家を真の居場所とする日は来るのだろうか。展開に注目である。
なお、彼女の稼業から察するに『黄昏』はガーデンにとっては最悪の天敵である筈(実際、東国のスパイ狩りでWISEはかなりの被害を受けた模様)だが、今の所〈いばら姫〉が黄昏に関する情報を口にした事は無く、そもそも黄昏の存在も認知している様子は見られない。
戦闘能力
普段は力を意図的に加減しているため問題なく生活できるが、つい全力を出すと空中のテニスボールをラケットのガットで寸断し、バレーボールのスパイクでコートにクレーターを作り、挙句にはバレーボールが天井をぶち抜いて空高くすっ飛び大気圏を突破しまうほどの怪力の持ち主であり、照れ隠しなど反射的に手を出してしまった場合、間違いなく相手は吹っ飛ぶ(こちらの記事も参照)。
俊敏性もハンパではなく、銃口が読めないドア越しに飛んできた銃弾を避けた他、バスジャック編のラストでは渋滞していたとはいえ車を徒歩で追い抜いている(仮にもこんな俊足な人からアーニャを背中に乗せた上で逃げ切ったボンドは本当にスゴイと言わざるを得ない)。
アニメオリジナル描写ではパルクールのような軽業で町中の建物を飛び跳ね、その光景を見たイーデン校の生徒からは都市伝説の蜘蛛女と勘違いされていたほど。
純粋な戦闘力・身体能力では黄昏をも凌ぐ(ファンブック曰く、ロイドの身体能力を70とした場合ヨルは100である)……どころか、作中最強レベルの実力者と評しても相違ないほどであるが、その天然ボケな性格から突飛(かつ物騒)な妄想に陥ることがある上、嘘が下手など心理的な駆け引きは苦手。
仕事でも基本的には、単独で正面から全員を相手取って全滅させる、暗殺とは言えない力押しの戦術を取り、彼女自身はそんな己を「腕力ばっかの女」と卑下することも(腕力に関しては片手だけで刀をへし折り、成人男性の手をいとも簡単にねじ曲げるなど)。
とはいえ、仕事の成功率はほぼ100%なので、大して問題にはなっていない。そもそも戦闘力が高過ぎるので、小細工を弄する必要が無いのである。
また、組織の処置によるものか毒物への耐性があり、フグ1匹分の致死毒(計算上、常人の致死量の10倍)を飲んでも、多少身体能力が鈍る程度(状態によってはむしろ瞬間的に回復する)という驚異的な特性を持っている。毒ガスを浴びてもケロリとしており、強力なスタンガンを食らっても「痛いです!」(痛いで済むのか……!?)のひと言を発する程度であり、身体の頑丈さも作中随一と言っても過言ではない。ただし、3巻の番外編(及びアニメ版の第26話)では、銃で尻を撃たれてしまい、あまりの苦痛に顔を歪めたことから、もしもライフル銃やショットガンなどの銃弾をまともに受けたら死ぬと思われる(アニメ版では、その顔を見た熊が、余りの恐ろしさに腰を抜かしてしまった)。
その人間離れした強さと百戦錬磨の経験があってか、殺気への察知の速さも凄まじく、敵がその場に身を潜めているだけで気配や動向を瞬時に予測し、感知する。(ヨルがその殺気を感じ取れなかった場合、その相手は彼女ほどではないにしろ、相当な実力者である)たとえ距離が離れたスナイパーだろうが、例外ではない。
自分の気配を消して行動することも得意であり、それは日常においても無意識なのか、しばしば見られる。初対面でロイドと会った際も、ロイドの背後に容易く立ち入り、彼の視線にいち早く気づくなど、身のこなしに隙がない。
ギャグパートにおいてはその身体能力の高さが発揮される度に周囲が( ゚д゚)となるのが半ばお約束(イーデン校面接試験の際に飼育小屋から飛び出した動物の大群のリーダーである牛を無力化した際にはロイドとアーニャのみならず動物達からすらもドン引きされている)。
一方アルコールには弱いようで、かなり酒癖が悪く少量の酒でも前後不覚に陥る。理性を保ったままたしなめるのは、カクテルグラス1杯をチビチビ飲む程度が限界という下戸(ただし、リミッターが外れる為大量に飲酒した場合身体能力はむしろ向上する傾向にある)。
ただ飲酒を嫌っているわけではないらしく、酒癖の悪さを知ったロイドから、弟の前でボロを出さないように自制を促された際は残念がっていた。
家族構成
基本的に家族関係においては全員が自身の本当の顔を隠している為、互いに正体を知らないすれ違いの関係になっているが、義娘であるアーニャと、飼い犬であるボンドはその能力によって家族全員の正体を知っている為、無論ヨルの殺し屋としての顔も知っている。
また、彼女がロイドと結婚することになったのも、娘であるアーニャがその正体を知ったことで、ロイドに彼女と結婚するように仕向けた為。互いの利害の一致からトントン拍子で偽装結婚する事になった。
一方で、偽装結婚と言えども、ロイドに対する信頼や親愛は本物であり、アーニャに対しても不器用ながら母として接しようと日々奮闘している。弟を世話してきた経験からか、ある程度アーニャとの距離感やあやし方も心得ており、回を追う毎に母性も深まりつつある。
アーニャもバイオレンスな内面にドン引きすることはあれど、読心でヨルの善性を感じ取っているためか、自分を全力で守り安心を与えてくれる大好きな母として慕っている。ロイドもヨルのアーニャに対する愛情や、母親としての懸命な振る舞いに信頼を置いている。
ロイドとは男女としては一線を引いた関係を維持しているが、彼の「自分以外の何かのために過酷な仕事に耐え続けることは誇るべきこと」(※ロイドは彼女の素性を知らない)という言葉は彼女にとって大きな支えとなっており、「たとえ殺し屋稼業のためにフォージャー家の生活を失っても、ロイドはきっと認めてくれる、許してくれる」と彼への信頼を抱くに至るなど、時とともにロイドへの想いは強くなっている。
この確信を得る以前より、降って湧いて出たフィオナ・フロストの異質な態度に対して無意識に対抗心を燃やしたこともあり、彼女とのテニス対決を制した際には自分の勝利をロイドへ強調。自覚はないものの徐々に乙女心に火が点いてきたのか、はたまたロイドを異性として意識し始めているのか。二人の今後に注目である。
家事・育児能力
暗殺の後始末に慣れているため掃除は得意だが、それ以外の家事は苦手…というかてんでダメ。ボンドに破かれたぬいぐるみの修繕を行った際には、一層ボロボロになった。あまりの酷い出来上がりにアーニャが「もっとしんだ~!」と泣き出したほどである。アーニャからは彼女がペンギンのぬいぐるみに秘密基地(家の中)を案内するという遊びをした際には「こいつはえーじぇんと〈はは〉。つよいけどあとはだめだ」とバッサリな指摘をされていた。
特に料理は壊滅的で、手料理を食べた者は悶絶する(ボンドに至っては食ったら死ぬと確信した)。なお、幼少期からそれを涙と胃液を流しながら食べてきたユーリは、いつの間にやら耐性がついたせいか現在の強靭な肉体を手に入れるまでになった。(しかし今でも苦しげな声を出しながら食べているため、完全な耐性がついているとも言い難い)そのため、フォージャー家の食事は基本的にロイドが担当する。
両親を早くに亡くしたこともあって、身の回りに料理を教えてくれる人がいなかったことも彼女の料理下手の一因であり、「取り敢えず栄養のありそうな食材を片っ端から詰め込む」という我流の料理法に行き着いてしまったのである。しかし当人は身体のタフさもあり、平気で食べられる模様。
しかし最近ではロイドの美味な料理を食べ続けて舌も肥えて来たのか、ユーリが作った『姉』というオーラが全品から漂っている奇想天外な料理を「腕が落ちたのか?」と認識できる程度には味音痴も改善されている。
(ユーリも料理が上手いとは言い難いが、ヨルの作る料理(という名の毒、人の食べ物とは思えない見た目の物体)と比べればまだ人が食べられる食べ物であるだけ弟のほうが料理の腕はマシではある)
ただし、料理上手な人から指導を受けレシピを遵守するなど、頑張れば一応ちゃんとした料理は作れる。また、既製品のお茶・紅茶・コーヒー(牛乳と砂糖を入れたカフェオレ含む)は問題なく淹れられる。素材に対して自分の発想で調理する要素が入るとアウトのようだ。
調理器具も得手不得手があるようで、ピーラーを使ってじゃがいもの皮むきをしたときはまともに皮をむけなかったうえ手を切っていたが、包丁で肉を切った際には切った肉が糸屑のように細切りにされた上にまな板もバラバラになった。
作中では職場の同僚兼後輩であるカミラから料理特訓を行った結果、亡くなった母がよく作ってくれていた南部シチューだけは完璧に作れるようになった。
一応料理以外の家事については改善も見られており、洗濯、皿洗い、買い物等は問題なくこなせるようになっており、ロイドから家事を任されることも増えている。
育児に関しては意欲的で、夫の勝手な振る舞い(この場合はロイドがスパイとしての重要案件を課せられ、2人の元を離れざるを得ない状況)にも嫌な顔をせず、「お医者様は忙しい」と察して気遣う。
アーニャへの接し方は、ロイドが鞭ならヨルは飴といった具合で、仕事の一部として何かと厳しく躾けることが多いロイドと比べて、「優しく諭して、本人の意思を尊重しのびのびとやらせる」「アーニャの悪さや駄々にロイドが頭を抱える事態にもさりげなくフォローを加える」というのを基本的なスタンスとしている。
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余談
初期プロット
公式ファンブックによれば当初の設定では「夫が大好きで養女に厳しい継母」という物騒な案もあったらしい(どちらかと言うとフィオナ・フロストの設定に近いか)。暗殺=掃除=消毒のイメージから看護婦の案もあったとのこと。
担当声優について
ヨル役の早見沙織は、フォージャー家のメンバーの中では最年少である。
ヨル役のオーディションは、当初種﨑敦美も受ける予定だったことが2人へのインタビュー記事で明かされている。ところが、種﨑は原作を読みながら「ヨルさんは早見さんしかいない」と感じていたため、急きょアーニャ役を受けて合格した、という経緯がある。
関連タグ
ロイド・フォージャー:契約上の夫。正体は西国のスパイ。
アーニャ・フォージャー:表面上の義娘。正体は秘密研究所によって生み出された超能力者。
ボンド・フォージャー:偽装家族の一員であるペット。正体は未来予知能力者。
メリンダ・デズモンド:ママ友(?)
ニールバーグ:出身地。