「次の任務で私の有能さを示し証明してみせる」
「黄昏(あなた)の妻にふさわしいのはこの私以外いないと…!!」
概要
『SPY×FAMILY』に登場する女スパイ。西国の諜報機関「WISE(ワイズ)」に所属しており、表向きはバーリント総合病院で事務員「フィオナ・フロスト」として働き、東国に潜入中。
暗号名(コードネーム)は〈夜帷〉。暗号名〈黄昏〉は彼女の先輩に当たる。
プロフィール
人物
容姿
肩まで切り揃えられた銀髪に、すらっとした体型。この漫画の成人女性キャラ全般に言える事だがかなり背が高くスタイルも抜群。
間近で見たヨルがまじまじと見つめてしまうほどには、美しい容姿の持ち主。
だが、鉄のように硬いポーカーフェイスと、非常に冷静かつ淡々とした性格により、同じくスパイの同僚からは「毒婦」だの「冷血」だの「鉄面皮」だのと気味悪がられている。
フランキーからは「キレーな顔してエゲツねーぜ」と評された。
執着
オペレーション〈梟〉への執着が激しく、自分こそが任務に相応しい存在だという主張が強い。意識的な無表情も相まってその様相はどこか不気味。それを見たWISEの同僚に「出世のためなら黄昏さんの手柄も横取りしようってか?」「味方の背中も刺しかねん奴だな…」と遠巻きにされている。
本性
「すき」
「すぅ」
「きぃ――――――――♡♡♡」
普段こそ表には出さないものの、黄昏に対して心底ベタ惚れしており、アーニャが彼女の心を読んだ時も頭の中は黄昏への恋心で埋め尽くされるほど。その超重量ぶりは6巻カバー裏が顕著であり、明朝体でデカデカと「す」の一文字が紙面にはみ出すレベルで表現されている(5巻カバー裏のユーリの数々の思いとは対照的である)。
また彼女が持つ野望とは同僚が想定しているような組織内での出世ではなく『黄昏のお嫁さんになること』(原作では「彼女の野望」に「しょうらいのゆめ」とルビが振られている)。オペレーション〈梟〉に(黄昏の奥さん役としての)参加を希望するのも、自身の有能さを(任務の面でも家庭の面でも)証明することで黄昏に自分を受け入れてもらいたいから。任務を通してゆくゆくは本物の夫婦になれればとも夢想している。そのため黄昏のことは(盲信スレスレのレベルで)信じ抜き、危機が迫れば全力で守り抜く。
一方で、黄昏をスパイとしても非常に尊敬しているため、自身の想いは今は任務の邪魔になると苦渋ながらも理解し、東西の冷戦が終わるまでは想いは告げないと決めている。
黄昏の奥さん役を現在こなしているヨルには敵意にも近い対抗心を抱いており、隙あらば妻の座を乗っ取ろうとまで考えを巡らす。
なお、心が読めるアーニャにはそんな彼女の内心は見透かされており、もしも母親になったらロイドの比ではないスパルタ教育を施すということで非常に警戒されている。とはいえ心底嫌われているわけではなく、内面を読んだアーニャに「賑やか」「愉快」と評されたりもしている。
また、上司である管理官には黄昏への思慕を見抜かれており、指摘されると赤面し狼狽えるなど年頃の女性らしい反応も見られる。
他にもヨルのイメージシーンでは「え、いいんすか。じゃあ今度お宅に伺います」と言った感じにやたらと軽い口調で登場しており、アニメ版ではその時の声のトーンも高くなっている。
能力
全体的な能力
WISE所属のスパイだけあって、頭脳や身体能力は諜報員としてはかなり優秀であり、事実としてロイド(黄昏)を間近で補佐する役を担っている。
黄昏との共同作戦では、彼に遅れや引けを取ることもなく、敵の仕掛けに気付いたり、協力して目的物のすり替えに成功するといった場面が見られた。また、ベテランの上司でも気づけなかった敵スパイを動向で察知し、特定するなど、ロイドには及ばないにせよスパイとしての実力は確かなもの。
単純な身体能力だけとっても呼吸を10分ほど止めておけたり、筋肉が大きく膨れ上がるようなドーピングをした選手をテニスで圧倒したり、果ては音速を超え地面を抉る衝撃波を放つショット(柳田理科雄氏によるとマッハ1.51)を眼前まで迫ってから打ち返したりと、常人では比較にもならない。
しかし、さすがに作中きっての身体能力の持ち主であるヨルには及ばず、運動能力を見るという名目で彼女とテニスで勝負した際には、上記の超音速ショットでガットを木端微塵にされ、アイデンティティである無表情が崩れるほどの決定的敗北を味わうこととなった(よくよく考えるとヨルの超音速ショットをラケットが壊れるまでの間だけある程度踏ん張っている辺りやはりフィオナのスペックも大概である)。その後、自身の敗北を認め、巨岩を括りつけたテニスの素振りをわざわざ山に籠って猛練習したりなど、潔さと諦めの悪さを兼ね備えている。
公式ガイドブックによれば全体的な戦闘力はロイド未満、ユーリと五分五分。
夜帷の無表情(ポーカーフェイス)は「スパイたるものどんな時でも感情(ほんね)を表に出すな」「心を殺せ隙を見せるな」という黄昏の教えを愚直なまでに守った結果である(そう訓練生時代に宣言した直後に「流石にそれはちょっと」と黄昏自身に釘は刺された筈なのだが)……のだが、上記のテニスの勝負やヨルとの対戦、その後の猛練習の流れではさまざまな表情を披露している。
ロイドと同様、表向きの職場であるバーリント総合病院の同僚や看護師からの評判は良いようで、ロイドを妬んでいる部長ジェラルドからは密かに目をつけられている。
弱点
黄昏への気持ちが強すぎるばかりに、彼が絡むと途端にいつもの冷静沈着さを崩してしまうのが何よりの弱点。
愛や敬慕一色に思考が染まった際は、ヨルに唐突にテニス勝負を持ち掛けるなど、猪突猛進な一面を見せている。偽造書士が相手の時の巧妙な搦手を使う狡猾さと比べるとその差は歴然である。そもそも忘れ物を届けるという名目でフォージャー家に行ってヨルに接触する事自体が、今のところ上手くいっている「オペレーション〈梟〉」を不安定にさせかねない行為であり、帰ってきたロイドこと黄昏もフィオナが家にいた時は、何を考えているなどと怒りの表情を見せていた。
しかし、その愛の力ゆえに、黄昏が絶体絶命のピンチの際にブチ切れ、自身の肉体的なリミッターを解除、満身創痍で敵をボコボコにし、黄昏を救った。
自身も身体の何ヶ所かを骨折をするなど怪我を負うが、ヨルとのテニス対決で敗北(?)した悔しさで、巨岩を括りつけたラケットの素振りを山に籠って身体を鍛えていたおかげか、比較的軽傷で済んだ。(本人はこれを歯がゆく、皮肉に思っているようだが)
彼女の重すぎる愛がゆえに暴走という、欠点と思われた部分が、初めてプラスとなって動いた出来事となった。愛する人が関わると理性が飛ぶところは誰かさんにとても似ている。
果たして彼女の恋の行く末はいかに…。
関連イラスト
余談
- 妻役になれない理由
もともと彼女が妻役になれなかったのは、オペレーション〈梟〉始動時点では別任務に就いていた為。それ以来何度も妻役の交代を提言しているものの、バツイチやもめ設定のロイドの妻が何度も変わるとイーデン校側に怪しまれてしまうという理由で、ハンドラーには却下されている。
ちなみに黄昏は「仮に彼女に母親を頼んだとしてあの人に育児のスキルはないですよ(スパルタスキルはすごいだろうけど)」と断言している。
実際、彼女は良く黄昏と結婚した自身の生活を妄想しそれを心で独白するが、そこに「自分達の子」という要素は一切語られたことがない。
以上から「妻」が出来ても「母」が出来ないことがヨルとの最大の違いといえる。
- ノットレディ
テニス大会の控室で黄昏に迫られたと彼女が勘違いした際、表情こそ大きく崩れなかったものの内心では大きく動揺して『先輩私まだノットレディ(テニス用語で、準備できていない相手にサーブを打つ行為)です』などの珍発言をしていた。
- タグ
黄昏とセットでタグを付ける際はテニス大会での実況で使われた“フォニー夫妻”や“フォニーペア”、ナレーションで使われた“スパイコンビ”などが良いかもしれない。なお前述したように黄昏と夜帷は先輩後輩の間柄なため、そこを活かした名称も作れるかも。
- デザインコンセプト
単行本6巻のおまけページによると、ヨルの「黒髪ロング」というコンセプトの対になるように「白髪ショート」というコンセプトになったとのこと。
- 声優
テレビアニメMISSION:20で遂に登場し、声優は佐倉綾音に決まりこの回では名前ではなく『〈WISE〉工作員』名義でクレジット表記されている。根暗な主人公、奉仕部の部長に加え、サッカー部マネージャーと同じ声優が出演し、SPY×FAMILYはどこかの青春ラブコメになりつつある。
- アニオリ回
アニメ版Season2のMISSION:36のBパートでは「夜帷の日常」というタイトルのアニメオリジナルエピソードが描かれた。フォージャー家がクルーズ旅行に行っている間の出来事として自らの任務と兼任する形でロイドがこなす予定だった任務に奮闘する姿が描かれている。最後はロイドからお土産を貰って誰も見てないところでスキップをするほど上機嫌になっていた。
ちなみにこの回はベッキーメインのエピソードとで2本立てであり、現状本編では関わりがない2人がED映像でセットで登場していたのはこの構成を示唆してのものだと思われる。
- 劇場版「CODE:White」
基本的にフォージャー家が主体となっていた中で比較的出番と活躍シーンに恵まれており影の功労者と言ってもいい役割になっていた。
- 演者
SPY×FAMILYの登場人物の中で唯一、アニメよりも舞台演者が先に公開された。
- 元ネタ
上述した心の中のセリフである「すぅ――――――きぃ――――――――♡」は、日向坂46の1期生メンバー・齊藤京子が「日向坂で会いましょう」の企画内で発した「すぅきぃ♡」が元ネタ。作者である遠藤達哉先生が日向坂46の大ファンであるため、こちらも本作の至る所に散りばめられている小ネタの一つと思われる。