「猿の時代に幕を下ろし 呪術師の楽園を築こう」
※この項目は単行本未収録のネタバレ情報を含む場合があります。 |
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概要
日本に4人しかいない特級呪術師の1人であり、百人を超える一般人を大量に呪殺して呪術高専を追放された最悪の呪詛師。
同じく特級呪術師の五条悟とは高専時代の同級生にして親友である。
前日譚の『東京都立呪術高等専門学校』では呪霊達による大規模虐殺「百鬼夜行」を画策する。
『呪術廻戦』本編では既に死亡しているが、何者かに死体を乗っ取られて呪霊の集団と結託し、密かに活動している。
プロフィール
年齢 | 27 |
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誕生日 | 2月3日 |
身長 | 185cm〜(184cmの七海より高いとされる真人より少し高い設定のため) |
等級 | 特級呪術師 |
高専入学方式 | スカウト |
生得術式 | 呪霊操術 |
使用した主な呪霊 | 特級仮想怨霊「化身玉藻前」、虹龍、口裂け女、他 |
技 | 極ノ番「うずまき」 |
趣味・特技 | 格闘技 |
好きな食べ物 | 蕎麦(ざる) |
苦手な食べ物 | 無し |
ストレス | 呪霊を取り込む事 |
一人称 | 「私」 |
イメージソング |
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CV | 櫻井孝宏 |
演 | 藤田玲(舞台)、村田凪(ファンタ学園 超人先生) |
人物
常に朗らかな笑顔や不敵な笑み等を浮かべており、五条と同様に飄々として掴み所がない性格。一見すると丁寧な青年だが時折相手を挑発する様な慇懃無礼な言動をとる。
学生時代の経験から「非術師を殲滅して呪術師だけの世界を作ること」を目標に掲げており、非術師を「猿」と呼んで蛇蝎の如く忌み嫌っている。
その言動の通り非術師の事は同じ人間とすら思っておらず、利用していた者でも用済みと判断すれば躊躇無く呪殺する等態度は極めて冷淡。
その一方で同じ呪術師には基本友好的で、仲間の呪詛師達からは厚く慕われる等非常に高いカリスマ性を有する。
又、若い呪術師同士がお互いを守り合う姿を見て「自身の理想の光景」として戦闘中でも涙を流して感動する一面も見せる等、呪術師への想いは本物。特に自身が呪詛師となる決定打となった美々子と菜々子には命の恩人ということもあり私生活も共にする程心酔されていた。
容姿
黒髪の長髪に特徴的な前髪、大きめの耳に大きなピアスを付けているのが特徴。普段は黒の僧衣と袈裟を着ているが、これは宗教団体のトップや呪術師である事をアピールするための衣装である(曰くハッタリ)。また、髙羽史彦が彼の容姿を「塩顔のイケメン」と内心で語るシーンがあるなど、公式美形として描かれている模様。
また、『呪術廻戦』の本編では額に謎の大きな縫い跡があるのも特徴になっている。
能力
降伏した呪霊を取り込んで自在に操る術式「呪霊操術」の使い手。呪霊による遠距離の物量戦法が主だが、「趣味が格闘技」であり、特級呪霊の祈本里香と里香関係なくブチギレて特級相当に成長した乙骨を捌き切る、呪具の扱いにも長けているなど本人の近接戦闘能力も高い。
術式
呪霊操術(じゅれいそうじゅつ)
降伏した呪霊を取り込み自在に操る術式。掌をかざして呪霊を球体にし、飲み込む事で取り込む。夏油曰く吐瀉物を処理した雑巾の様な味がするらしい。
階級換算で2級以上の差がある呪霊は降伏無しで無条件で取り込むことが可能。
式神使いとは異なり、呪霊を使役するのに媒介等は一切必要とせず、呪霊がもつ術式も呪霊自体の呪力で発動可能。
圧倒的な手数の多さが最大の強みで準1級以上の呪霊を複数使役することで術式(及び領域展開)を複数扱う事が出来る上、術式を持たない低級の呪霊であっても術者の呪力で強化する事が可能。単独で異形の軍隊を持つ事が可能な点が「単独での国家転覆が可能である」特級術師たる所以である。
戦闘においては複数の術式の組み合わせや物量戦、格闘戦での不意打ち、低級呪霊を射出する疑似的な砲撃、肉壁として防御に用いる等戦術の幅は広い。
取り込める呪霊の数に制限はなく、百鬼夜行(0巻)の時点で新宿と京都にそれぞれ1000体、後述の『うずまき』に使用した4461体、実に6400体以上の呪霊を所持していた。さらに本人は新宿と京都の2000体の呪霊を遠隔で操るなど、術式範囲も広い。
学生時代は主従関係のない自然発生した呪いを使役すると言っていたが、実際は他の術師の所持する呪霊であっても持ち主との契約が切れれば取り込む事が出来る(一度は伏黒甚爾との主従関係により取り込めなかった格納呪霊を彼の死後取り込めた事で気付いたと思われる)。
術師本人が死亡した場合は、術師による支配が失われ、取り込んだ呪霊たちが暴走してしまう。
呪霊操術の奥義。取り込んだ呪霊達を1つにまとめて超高密度の呪力を放つ。百鬼夜行では所持していた4461体の呪霊を全てまとめて繰り出した。使用する呪霊の数に制限はなく、少ない数の呪霊で連発する事も可能。絶大な威力を持つが、呪霊操術の強みである圧倒的手数を捨てる事になる欠点がある。
後に準1級以上の呪霊をうずまきに使用した場合、「術式の抽出」が可能という事が判明。うずまきで抽出した術式を複数回扱えるかどうかは不明(作中ではできないと考察されている)。抽出した時点で術式の性能は向上しなくなる。
百鬼夜行において夏油はうずまきと特級呪霊を併用していたが、抽出の効果を知っていたのかは不明。
呪霊操術で保有する呪霊抜粋
※ここでは夏油が保有していた呪霊のみを記載する。
- 特級仮想怨霊・化身玉藻前
登録済みの16体の特級呪霊の内の一体。
妖狐玉藻前への恐怖から生まれた呪霊。
乙骨憂太との最終決戦に使われたが、乙骨が祈本里香の呪力制限を解除した攻撃でうずまきごと吹き飛ばされた。
- 鎧武者風の特級呪霊(名称不明)
百鬼夜行の際に夏油が京都側に投入した特級呪霊。登録済みかは不明。原作でも一応存在は示唆されていたが、劇場版『呪術廻戦0』で登場。
ビルに比肩する程の巨体を持った鎧武者の様な呪霊だったが最終的には術式を駆使した東堂葵によって祓われた。
乙骨と狗巻棘の任務中に投入した呪霊。等級は準1級。手印と「ゾんば」という呪文によって、頭上から光の柱を降らせて対象を潰す術式を持つ。里香の力を試す為に投入され、当時の乙骨と狗巻を追い詰めたが、最終的には2人の連携と”出現位置からあまり動かない”という性質を逆手に取られて里香と対峙する事なく祓われた。
- ワーム型の呪霊(名称不明)
高専2年時点で保有していた呪霊。巨大な白いワームのような外見を持つ。閉所での奇襲や敵の拘束など使い勝手がいいため使用頻度が高かったが、伏黒甚爾によって呪具・釈魂刀で切り裂かれて祓われた。
高専2年時点で保有していた呪霊。伝説上の龍(蛇)への畏怖から生まれた白い東洋龍の様な外見をもつ呪霊。等級は不明。この時点での夏油の手持ち呪霊の中で最高硬度を誇り、旅客機とも並走出来るスピードを誇る。しかし、ワーム呪霊と同様に伏黒甚爾の所有する呪具・釈魂刀で真っ二つにされ祓われた。
CV:きそひろこ
高専2年時点で保有していた仮想怨霊。
妖怪口裂け女への恐怖から生まれた呪霊。逸話通り「わたしきれい?」と質問する事で回答する迄互いに不可侵を強制する簡易領域を展開し、ネガティブな返答をした対象に向けて巨大な糸切鋏による攻撃を繰り出す(ポジティブな返事をした場合にどうなるのかは不明だが、逸話通りならいずれにせよ攻撃されると思われる)。
術式を保有しているので準一級以上の呪霊だったと思われるが、伏黒甚爾が持つ特級呪具・天逆鉾によって糸切鋏の攻撃を防がれ、「趣味じゃねェ」と返されながら呪具・釈魂刀で切り裂かれて祓われた。
- 格納型呪霊(通称)
CV:渋谷彩乃
かつて伏黒甚爾が所有していた低級呪霊。
口で飲み込んだ物を体内の異空間に保管出来る性質を持ち、呪具等を格納出来る。甚爾の死後は夏油が取り込んで使役し、やはり呪具等の格納に利用していたが、最終的には乙骨との戦闘で他の手持ちの呪霊と同様にうずまきに利用されて消滅したと思われる。
- イカ型の呪霊(名称不明)
アニメオリジナル。
イカのような小型呪霊。
鰭を前にして少し大きめの弾丸の様に扱っている。最低でも2桁以上は取り込んでおり、指鉄砲の形から打ち出したり、一度に大量に打ち出し弾幕として用いている。
呪具
- 游雲(ゆううん)
0巻で夏油が使用していた特級呪具。
特級呪具の中で唯一術式効果を持たない純粋な力の塊であり、持ち主の膂力によって威力が左右される。
乙骨と完全顕現した里香を相手に使用し、互角の戦いを見せた。
見た目は赤い三節棍であり、元々はおそらく禪院家が所有していたものである。
甚爾から奪った格納呪霊の中に残っていた物をそのまま所有していた。
夏油死亡後は禪院家が所有権を主張していたが、五条の力により夏油が0巻で瀕死にしたある女生徒に貸し出されて彼女が使用する事になる(本人はその時の経験もあって使うのは「胸糞悪い」と語っている)。
因みに価格は五億円相当との事。
活躍
高専時代(懐玉・玉折)
本編より十年前の呪術高専の生徒だった頃は髪型はお団子状に一つに纏め、制服の上着は五条と同じタイプの物、下はボンタンにカスタムしている。
この時から一人称は「私」だった。
五条悟と家入硝子は同級生で、七海建人と灰原雄は一年下の後輩にあたる(灰原は五条よりも夏油を慕っていた)。
現東京校学長の夜蛾正道は元担任であり、この時点から学長になる事が内定していた。
五条とは実力が伯仲する術師同士として任務を二人でこなす事が多く、共に「俺達は最強」「私達は最強なんだ」と言い合い、それに恥じないだけの数々の実績も残した程の有名な名コンビであった。
お互いを下の名前で呼び合い、時には意見や考え方の相違から喧嘩もしていたが、十年を経ても五条が彼の事を「僕の親友だよ、たった一人のね」という発言している事、夏油も菜々子に対して同様の発言をしていた事から互いに他に得難い無二の親友であった事が察せられる。
また、この当時は「呪術は弱者(非術師)を守るためにある」という現在とは真逆の思想を持っており、非術師への配慮をあまりしない五条にもその事を諭していた。
五条の方もその考えを理想論だと笑いながらも、内心では夏油のその考えや判断を善悪の指針としていたらしい。
しかしある日、順調に呪術師として成長する夏油と五条二人に天元の依代たる星漿体・天内理子の護衛と抹消という任務が下され、最終的には伏黒甚爾が理子を殺害した事で任務は失敗。
殺害を行ったのは、呪力を一切持たない天与呪縛・フィジカルギフテッドにして、自らを「呪力も持たない猿」と自嘲していた甚爾であり、殺害の依頼をしたのは天元と理子の同化を快く思っていない『盤星教(ばんせいきょう)』という非術師の宗教団体だった。
そこで信者の非術師達が理子の遺体を拍手で迎え喜んだ光景を見て、非術師は守るべき者という信念に疑念を抱き始める。
そして九十九由基との会話で「非術師が全て死ねば呪霊もいなくなる」という考えが生まれ、さらに自身を慕う後輩の灰原の死によって、自身が進む道と信念がさらに揺らいでいく。
極めつけは単独任務でとある集落を訪れた際に呪力を持った双子の少女が虐待、監禁され、村人達が原因及び犯人と決めつけて彼女達を罵倒する光景を目にしてしまい、それを見た夏油は遂に「非術師は唾棄すべき猿」「猿は嫌い」という結論に至り、その夜に集落にいた112名を皆殺しにして夏油は高専から脱走、高専から除名され呪詛師として追われる身となる(アニメでは、夏油と任務先の村へ途中まで同行した当時の補助監督が作成した、一連の事件についての報告書が出てきており、一時停止してそれを読む事が出来る)。
そして完全に失踪する直前に非術師である自分の両親すらも「例外にはできない」として殺害している。
その後は新宿で家入と五条に「非術師を皆殺しにし呪術師だけの世界を創る」という大義と別れを告げる。
五条は去り行く夏油に手印を構えるが攻撃出来ず、二人の道は永遠に別たれた。
さらにその後、夏油は代表役員の園田を幹部達の目の前で殺害し、盤星教を乗っ取る。
そして盤星教を母体にして新たに設立した宗教団体を呼び水に十年間に渡って信者から呪いと資金を集め続け、同時に志を同じくする自身の本当の「家族」たる呪術師達を集めていく。
東京都立呪術高等専門学校(呪術廻戦0)
最悪の呪詛師として主人公・乙骨憂太の前に立ち塞がり、東京と京都に1000の呪霊を放った大規模呪術テロ「百鬼夜行」を起こす。
最終的には乙骨と特級過呪怨霊・祈本里香との死闘の末に敗れ、辛うじて生き延びるも、到着した五条によって詰み。
最期に何か言い残す事はあるかと問う五条に対して「誰が何と言おうと非術師(さるども)は嫌いだ。でも、別に高専の連中まで憎かったわけじゃない」「ただこの世界では、私は心の底から笑えなかった」と言い残した。
その後、五条に何らかの言葉(※)を告げられ、それを聞いて「最期くらい呪いの言葉を吐けよ」と笑いながら五条にトドメを刺された。
【※ジャンプGIGA2019 winter vol.3に同封されたキャラクターブックで「0巻の中で既に出ている」と作者が回答している】
本編
本編では既に夏油傑本人は死亡しているが、夏油の身体を乗っ取った人物が2巻から登場する。夏油本人が登場する巻は8巻と9巻の過去編のみ。
漏瑚・花御・陀艮・真人ら未登録の特級呪霊の集団と組んでおり、彼等の「人間を抹殺し、呪霊が人間に取って代わる世界を造る」という目的に協力する形で活動している。
その目的の最たる障害である「五条悟の排除」と「両面宿儺の器(虎杖悠仁)の引き入れ」の為に暗躍しているが、その一方で真人達の事を内心では「呪霊の分際で」と吐き捨てて嗤っており、明らかに別の思惑を持って動いている様子を見せているが、その真意は不明。
そして2018年10月31日の渋谷にて、五条を封印する計画「渋谷事変」を実行。
呪術界のみならず非術師の一般人をも巻き込む大事件を、特級呪霊や多数の呪詛師達と共に引き起こす。
「キッショ。何で分かるんだよ」
獄門疆を開門した際に、始めて夏油の姿で五条の前に現れる。
五条は己の六眼(め)が間違いなく夏油本人だと認識している事も含めて動揺するも、それでも偽りの存在だと感じてその正体を問いただす。
そしてその“何か”は額の縫い目をほどいて頭部の中身の脳を露にし、自身が脳を入れ替えて他人の肉体を乗っ取る術式を持つ事を明かし、自らが一年前に死んだ夏油の死体を乗っ取った事を明らかにした。
夏油傑本人は一年前の百鬼夜行の際に五条の手で確かに死亡していたが、夏油の呪霊操術と五条の心理的隙を突く切り札としての有用性に目を付けた別の術師が夏油の遺体を乗っ取っていたのである(五条が家入に夏油の遺体処理をさせなかった事が原因とその術師から語られている)。
そして自分が殺した筈の親友が目の前に現れた事に動揺した五条の隙をつく形で獄門疆を発動、その封印条件を満たした事で五条の封印を完了。最大の目的を達成する。
さらにその後、反旗を翻した脹相によってその正体が「史上最悪の術師」にして呪胎九相図の制作者である加茂憲倫である事が看破される。
しかし本人曰くそれも「数ある名の一つに過ぎない」との事。
夏油を乗っ取った人物の真の名と目的は⇒ネタバレ注意
余談
ファンブック
- 元々は作者が思想が片寄っているキャラクターを描きたくて誕生したキャラ。
- キャラクターデザインで拘っている所は前髪で理子からは初対面で「前髪が変じゃ」と言われており、五条の高専初対面時の夏油に対しての第一印象も同じく前髪である。
- 夏油に村から助け出された後の美々子と菜々子は夏油が育ててきたらしく、夏油自身も2人を初めとした「家族」達に対しては相当甘く接していた。
- 0巻では乙骨に「女誑しめ」と言っているが、夏油はビジュアルの良さもあって作者から五条よりもモテてると言われており、夏油派に属する菅田真奈美、ラルゥからの第一印象は「あら良い男」であるなど、作中の男性陣の中では一番モテる設定のキャラクターである。
- とある存在によって身体を乗っ取られた後の夏油の意思はなく、作者曰く「首がもげたトンボ程度」らしい。
その他
- 一般的に「闇堕ちした」という位置づけをされがちではあるが、夏油自身は悪に染まったわけではなく、あくまで「自分の中の守るべきもの」の基準が変わっただけである。これを悪とするかは読者次第だが、多数派の民意に潰される少数派を救わんとするキャラとも取れる。
- 特級呪術師は彼を除いて全員が領域展開を使えるが夏油本人が領域展開を使えたかは不明(ちなみに、夏油の身体を使っているこいつは使用可能)。
漫道コバヤシ
- 名前の由来は、岩手県北上市にある夏油高原スキー場から。
- 九十九が会いに来たのは本来五条であったが、同じく特級の夏油と出会った為に夏油と会話をする流れになった。ちなみに夏油との会話をさせたのは作者が任務失敗後の夏油にイマイチ感情移入出来なかったため。
関連イラスト
関連タグ
呪術廻戦 東京都立呪術高等専門学校 呪詛師 夏油一派 偽夏油
4人の特級呪術師:九十九由基・五条悟・夏油傑・乙骨憂太