※注意
この項目はアニメ版未放送の内容です。
背景情報も含め、呪術廻戦26巻に関する極めて重大なネタバレが含まれます!
原作、本誌未読、及びアニメ派の方はブラウザバックを推奨します。
概要
「南へ」とは、漫画『呪術廻戦』第236話のサブタイトル。
そして、14話に渡った五条悟と両面宿儺の呪い合いの結末が描かれるエピソードである。
前話(235話)までのあらすじ
新宿にて勃発した「現代最強」五条悟と「史上最強」両面宿儺の直接対決。
領域の押し合いによるラウンド1、互いに領域が使用不可になってからは術式を交えた肉弾戦によるラウンド2と、これまでの既存情報と技を駆使した長きに渡る死闘も、いよいよ終わりの時を迎えようとしていた。
闘いの中で計四度の黒閃を決めた事で五条のボルテージが上昇し、消耗で落ちていた呪力出力を取り戻す。
その気迫は、歴戦の猛者たる宿儺に千年ぶりの緊張を走らせるほどだった。
幾重もの攻防の末、五条は自分諸共宿儺を巻添えにする形で無制限の虚式「茈」を発動させる。
決着は相打ちかと思われたが、食らったのが自らの呪力だったためか五条のダメージは最小限に抑えられ、対する宿儺は無下限の不可侵突破に必須な式神・魔虚羅を喪い、領域展延による徒手空拳も、反転術式の回復もままならないほどの重傷を負った。
最早、両者の力の差は歴然。
その戦いをモニター越しに見守っていた誰もが、確信した。
五条悟の勝利を。
空港にて(本編あらすじ)
夏油「や」
「うっわ」
エピソード冒頭、突如場面は空港のターミナルへと転換する。
そこにいたのは、学生時代の容姿をした五条悟と、その親友・夏油傑だった。
目の前に現れた在りし日の親友の姿を前に、自らの身に起こった事態を即座に飲み込んだ五条。
そして以前生徒に語った言葉を思い返し、その言葉と矛盾する今の状況に「頼むから俺の妄想であってくれ」と悪態をつく。
そんな五条に夏油は「呪いの王はどうだった?」と尋ねる。五条は自身では敵わなかったと宿儺の強さを認めつつ、彼に対する「申し訳なさ」を吐露した。
教師として、強く聡い生徒たちを育て上げる日々。
だが、彼はその中でも満たされなさを感じていた。
心のどこかで感じていた他者との「生き物としての線引き」。
最強ゆえに己と対等の強者を見つけ出せない「孤高の侘しさ」。
五条は決して寂しかった訳ではない。現に仲間たちのことは「みんな大好きさ」と言っており、彼なりに愛情を注いでいた。
しかし一方で、心の奥底では己の力を発露する相手に飢えてもいたのである。
だがここにきて、ようやくその相手──宿儺に巡り合えた。
鍛えた肉体。
身につけた技術。
磨き上げたセンス。
場当たりの発想、瞬発力。
彼は己の全力を出し切り、その全てを宿儺にぶつけることができた。
「…………楽しかったな」
だからこそ、彼は宿儺に対し「申し訳なさ」を抱いていた。
「宿儺は僕に全てをぶつけることができなかった」と。
五条の「強者ゆえの孤独」を満たした宿儺に嫉妬しながらも、「君が満足したならそれで良かったよ」と言う夏油。
五条は「背中を叩いた中にお前がいたら満足だったかもな」と返した。そんな五条の本心を受けて、夏油は俯く。彼の目尻からは僅かに涙が溢れていた。
何にせよ、自分を殺すのが時間や病ではなく自分より強い奴でよかったという五条の言葉に、背後のベンチからストレートな言葉が返ってきた。
「どこの武将ですか」
「到底現代人とは思えない思考だ 気色悪い」
声の主は渋谷事変で命を散らした五条の後輩・七海建人であった。
その隣には高専時代の任務中に死亡した、同じく後輩の灰原雄も座っていた。
七海は五条に対し「ただひたすら自分を満足させるために呪術を行使していた変態」と辛辣な評価を下しながらも、「あなたらしい最期だった」と同情を示した。
歯に衣着せぬ物言いに「オマエ(の最期)はどうだったんだよ」と七海に問う五条。
すると隣の灰原が「僕が出しゃばってしまって…」と申し訳無さげに話すが、それに反し七海は「呪いが人を生かす事もある」と返した。
生前、七海は1級術師・冥冥に移住先について助言を求めたことがあった。
それに対し、彼女はこのように答えた。
「新しい自分になりたいなら北へ」
「昔の自分に戻りたいなら南へ行きなさい」
その助言を受け、彼は迷わず南国を選んだ。
心のどこかで「昔の自分」への未練を捨てきれずにいた七海。
だが、そんな後ろ向きな彼も最後の最後に未来に賭けることが出来た。
彼はそんな自身の最期を「悪くない最期でしたよ 灰原にも感謝してる」と語り、死の間際に介入した灰原にも感謝の意を示すのであった。
五条は悟った。
自身も七海も、悔いのない最期を迎えることができたのだと。
この事実を前に、五条はその場に居合わせた夜蛾正道に揚げ足をとるように呼びかけるのであった。
「学長ー!! 呪術師に悔いのない死なんてないんじゃなかったんですかあ!?」
心からの笑顔を浮かべる五条と夏油、七海と灰原。
そして、生前同様の仲睦まじさを見せる天内理子と黒井美里。その後ろで佇む伏黒甚爾の背中。
生前の予想に反し、大勢に囲まれて“ソレ”を迎え入れる五条はこう零すのであった…。
「これが僕の妄想じゃないことを祈るよ」
そして。
死闘、その結末
場面は現世、瓦礫の山ばかりと化した新宿に戻る。
そこに映し出されたのは、既に胴体を真っ二つにされ息絶えた現代最強の呪術師の亡骸であった。
五条悟は敗北した。
敗因
勝負の明暗を分けたのは、今しがた虚式「茈」によって破壊されたはずの式神「魔虚羅」の能力であった。
「あらゆる事象に適応する」能力を持つ最強の式神、魔虚羅。だがその能力には更なる秘密があった。
魔虚羅の適応は一度だけで完結しない。一度適応した呪術も解析を続けていく事で、二度目、三度目とより相応しい適応方法へと変化させていく。
宿儺はその性質を利用した。
最初から、適応を繰り返した魔虚羅に無下限の不可侵を破りうる技を習得させて自らの「手本」とする事が目的だった。
宿儺は魔虚羅のサポートに徹しつつ時間を稼ぎ、適応を加速させ続けた。
一度目の適応で魔虚羅は、領域展延のように無下限を中和するよう自身の呪力を変質させた。だが、固有の呪力特性を変えるなど、宿儺ほどの術師でも不可能なこと。
だから待った。己で再現可能な手段を魔虚羅が習得するまで。
そして、二度目の適応で魔虚羅は遂に宿儺の期待に応えた。
羂索による呪物の成り方や五条の反転術式による領域展開後の術式の治癒を模倣し体得した持ち前のセンスと学習能力を遺憾なく発揮し、魔虚羅が無下限の防御がある五条悟の右腕を切断する際に放った斬撃を己の術式で再現。
緻密な呪力操作で空間を支配する術式、無下限呪術。その呪術により具現化した「無限」はあらゆるものを阻むため、いかなる攻撃も五条には届かない。
だが、五条が存在する空間・世界・次元もろとも切り裂いてしまえば、無限だろうと関係ない。
事実、さらなる解析の末に魔虚羅が辿り着いた二度目の適応直後に見せた斬撃で、五条は右腕を斬り飛ばされた。
そして、魔虚羅がその斬撃を魅せた時点で、五条の敗北は確定した。
至難の業ではあったが、宿儺はこれを手本として「御廚子」の斬撃の術式対象を拡張する事により──
魔虚羅の一撃を見よう見まねで再現した「世界を断つ斬撃」を以て、五条を一刀両断したのであった。
ただ、結果的に負けてしまった五条も確かな強者だった。現に死闘の末勝利した宿儺は、五条が炸裂させた「茈」によって重傷を負っている。
故に、呪いの王たる彼は、どこか晴れやかな表情を浮かべていた。
「天晴れだ 五条悟」
「生涯 貴様を忘れることはないだろう」
戦闘中に凡夫だと嘲っていた五条に心の底からの賞賛を向ける宿儺。
その言葉を受けた五条の亡骸もまた、それに応えるかのように口元に笑みを浮かべるのだった。
現代最強の呪術師・五条悟の死。
だが、その死を悼む間もなく、新たな戦力が死地へ投入される。
「今は機嫌がいい 頼むから興を削ぐなよ」
その名は雷神・鹿紫雲一。
この項目でも236話とその後の展開についての読者の意見が記載されていますが、不特定多数に渡る編集が行われるピクシブ百科事典の仕様上から、当記事を閲覧する利用者へ精度の高い情報をお届けするために削除しました。
考察や反響に関しては各利用者様でpixivで投稿されている作品や、各種SNSや他サイトのブログなどからお探しください。
余談
反響
今回のエピソードが公開されたその週ではちょうどアニメでも五条が獄門疆で退場させられる回でもあった為国内外から絶大な人気を誇る五条悟のファンたちから作者とアニメ公式の「五条、封印」という号外新聞を配布するなど狙ってやったとしか思えない退場回に「推しの死」としてTwitterのトレンドにのるほどの話題となり、「芥見先生は人の心とかないんか?」「五条先生、お疲れ様でした。」「先生もうゆっくり休んで幸せになってくれ」など大きすぎる反響を呼んだ。
また、このエピソードが理由で1ヶ月も休載した漫画もあった。
「主人公を差し置いてラスボスと一騎打ち」という死亡フラグの典型例から始まった宿儺との決戦であるが、「主人公の虎杖が活躍するために、五条先生は負けなければならない」とメタ読み・「渋谷事変で容赦無く人気キャラの退場者・死亡者を続出させた作者ならやりかねない」と諦観する読者もいれば、「最強の五条先生なら流石に死ななそう」、「良くて負傷して撤退」という「人気キャラ・最強の五条悟」への予防線を貼った展開予想をする読者も見られた。
また話が少し逸れるが236話掲載のジャンプ発売の5日前辺りからフライングでTikTokやYouTubeなどで盛大に早バレする動画が多く挙げられる。
この重大なネタバレを食らったファンたちから転載動画を上げた投稿者やジャンプのセキリュティ管理の甘さ、SNSの杜撰な著作権判定に非難が集まる。
その後、SNSの著作権侵害で多くの転載動画が削除されている。
批評
<否定的意見>
特に言及されているのが宿儺に対する態度で「残してきた生徒達への心配や期待より、教え子の一人の体を好き勝手にしている敵の宿儺への申し訳なさが出てくるのは一体どういう了見なのか」という意見が寄せられた。
勘違いしている(あるいは理解した上で悪意を持って言っている)人も多いが本当に生徒たちが花に見えているのではなく、あくまでたとえ話である。この話に関連するように作者が意図していたかは不明だが、東京校1年生の名前にはそれぞれ植物が含まれている。
<肯定的意見>
死後の姿が高専時代である事や、共に青春時代を過ごした夏油達故人との再会の描写から「五条悟という最強の呪術師も一人の人間だった」という評価が見られた。
宿儺との戦いが「楽しかった」と言った五条だが、実は彼は初期の漏瑚襲撃時に「楽しくなってきた」と発言したり、過去編にて自身を倒し天内を殺した伏黒甚爾に対して特に怒りもせず、むしろ一人の強者として受け入れたりしている節があるなど、最初から自身に届きうる強者を求めていたと解釈できるような描写が存在する。
だからこそ、ほぼ全ての力を取り戻した宿儺との戦いは、五条の全てを発揮できる最初で最後の機会であり、実際にそれが出来たから「楽しかった」という感想を抱いたともいえる。
伏黒に関しては、200%の「茈」をぶつけた後で「恵の事はオマエを殺した後で考えればいい」と言っているので、あくまでも五条は宿儺との1対1に拘っていたとも考えられる(虎杖や乙骨の救出作戦を信じていた・呪いの王を相手に出し惜しみをしている場合ではない、といった教師・術師としての判断という見方もできる)
海外の反応
この衝撃は国内だけに留まらず、海外のファンにも及び、駅前の巨大な五条悟のポスター一面にファンたちから悲しみとお別れの意を汲んで大量の追悼の手紙や花束が添えられたりするなど大きく話題になっている。
※原作最新話のネタバレ注意‼︎ |
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このように良くも悪くも国内外で五条復活のコラ画像をSNSで大量にアップされたり、このエピソードで五条生存説を唱える者、深読みして考察する者など五条死亡を受け入れられない読者が大量に出るほど反響が大きなものとなった。
しかし、後の展開で五条の再登場や復活を望む読者たちの願いを斜め上の形で叶えたことで話題になった。
関連イラスト(ネタバレ注意)
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