「優れた術式を優れた器に。それこそがあるべき姿であり、美しき芸術ということです。」
(この記事は「呪術廻戦 ファントムパレード」のメインストーリー「福岡分校編」のネタバレを過度に含みます)
概要
スマホゲーム「呪術廻戦ファントムパレード」のゲームオリジナルキャラであり、ファンパレオリジナルストーリー「福岡分校編」に登場する特級呪霊である。「呪術廻戦」の原作及びアニメには登場しない。
プロフィール
容姿・性格
痩せ細った人間に近い姿をしている。体色がピンク色で指先が鋭く、特に左腕は肥大化している。
呪霊とは思えないほど知能が高く、言葉遣いが丁寧。呪霊組と同等のコミュニケーション能力を有している。なお、予想外の事態に陥ってしまうと口調が荒々しくなる。
無駄なことは避けたがる慎重な性格。そして自身の理想に対するこだわりが深い。
能力
術式特化型で、東堂葵曰く「タフネスは花御より遥かに低い」とのこと。
特級呪霊の中でも規格外の呪力を有しており、緻密な呪力操作に長けている。
- 死んだフリ
意識を保ったまま、自らを呪力にまで『分解』する技術。術師の攻撃を受けた後に姿を消すことで「祓った」と思わせ、術師が勝ちを確信したタイミングで不意を突くことができる。
しかしこれは、物事を“魂”で捉えている真人には無意味である。
- 手駒の召喚
自身の呪力を基に「量産型呪霊」または「器」を複数体同時に召喚することが可能。朧絶が本気の際は大量の量産型呪霊をノータイムで召喚できる。
手駒たち一体ごとに多少の知能を有しており、前述の「死んだフリ」は量産型呪霊も使用可能。
生得術式「奸骨奪胎」(かんこつだったい)
「美しき芸術を生み出す、至高の術式ですよ。」
「優れた術式は、優れた器に収めてこそ真価を発揮する。」
対象の術式を再現する術式。あくまで「術式の再現」であり、術式を“奪う”モノではない。
再現する術式は「器」に付与して運用する。術式を付与された「器」は、術式を再現するのに最適な肉体構造へ変質する。
そして「奸骨奪胎」を受けた術師は、術式が付与された「器」を破壊しない限り延々と呪力を奪われ続ける。
そして意味がないため普段は行わないが、虎杖悠仁のような術式を持たない相手でも「奸骨奪胎」は使用可能である。
術式の発動条件
「奸骨奪胎」による術式の再現には3つの条件…つまり「縛り」がある。
- 術師の肉体に直接触れる
- 術師の呪力と血液を採取する
- 再現する術式を朧絶が実際に体感する
普段から術式に使用されている術師の『呪力』と、術式が刻まれた肉体の情報を持つ『血液』、そこに朧絶が自ら体感した術式の『情報』を合わせて「器」に注ぐことで、擬似的に同じ効果の術式を行使することができる。
再現された術式への対抗手段
「奸骨奪胎」で再現された術式を無効化する方法は以下の2つがある。
- 術式を付与された「器」を破壊する
術者から呪力を吸い続ける「器」を破壊することで、それまで術者が「器」に奪われていた呪力も元に戻る。
- 「奸骨奪胎」を受けた術者が死亡する
「奸骨奪胎」で再現される術式は元の術者の呪力を根源としているため、術者が死ねば、「器」に付与された術式はその機能を失う。
領域展開「渇候賽掻」(かっこうさいそう)
福岡分校編にて、伏黒恵の術式「十種影法術」を再現するために、伏黒を巻き込んで領域を展開した。領域の名称は福岡分校編の最終章で判明する。
領域の必中効果として、領域内に入った人間は自動的に呪力と血を奪われる。つまり、目当ての術師を領域に引き入れるだけで「奸骨奪胎」の条件を満たすことができる。
ゲームのシステム面での効果としては、領域に入った時点で味方キャラクターの呪力が「40」減少し、領域展開中はターン毎の呪力回復量が「10」から「5」に低下する。
また、「宿儺の指を取り込んだ呪霊」を吸収したことで宿儺が扱う「斬撃」の術式を使用可能になっていると考えられる。実際にゲーム内では、朧絶が領域を展開した時に“全体攻撃の斬撃”を浴びせられる。
手駒たち
前述した通り、朧絶は呪力を消費して精度の高い呪霊を作り出せる。
- 量産型呪霊
朧絶の手駒たち。体色はピンク色で目玉がなく、量産型と言うだけあって見た目に大きな特徴はない。
「ケケケ・・・!!!」と不気味に笑い、術師との戦闘において「死んだフリ」が出来るほど知能が高い。
- 器
量産型呪霊よりも知能が高く、人語を話せる。見た目も朧絶に近しい。
「奸骨奪胎」で術式を付与するために生み出された呪霊で、呪力量だけなら特級相当である。
- 影法術呪霊
伏黒恵の術式「十種影法術」を付与された器。十種影法術の式神「玉犬」「鵺」を召喚できる。術式のモチーフが「影」なので体色がピンク色から黒色に変化している。
伏黒の影法術は(一部例外を除いて)同じ式神を複数召喚することはできないが、影法術呪霊は「鵺」を2体以上同時に召喚可能。
- 不義遊戯呪霊
東堂葵の術式「不義遊戯」を付与された器。体色がピンク色から赤色に変化し、東堂葵と同様に筋骨隆々な体つきである。
術式発動のトリガーである「手を叩く」を効率よく行うために腕が6本生えている。
なおIQ53万(※自称)の東堂よりも頭が足りなかったため、虎杖と東堂に祓われた。
- 宿儺呪霊
虎杖悠仁の血液と宿儺の呪力を付与した器に、特級呪物「宿儺の指」を2本取り込ませることで生み出された呪霊。宿儺同様に目が4つあり、我の強い性格となっている。宿儺の術式も使用可能。
しかし我の強さ故に朧絶の命令を聞かないため、これといった活躍なく朧絶に吸収されてしまう…。
- 量産型呪霊・刻呪体
量産型呪霊が宿儺呪霊の呪力を帯びて強化された姿。
肉体に紋様が現れ、右腕が肥大化している。呪力の質も元より段違いである。
- 影法術呪霊・刻呪体
影法術呪霊が宿儺呪霊の呪力を帯びて強化された姿。量産型呪霊と同様に宿儺呪霊の呪力で強化されており、右腕と左手が肥大化している。
術式の性能も向上しており、「鵺」を10体以上召喚することが可能。
しかし、影法術呪霊の生み出す「鵺」の構造を理解した伏黒が10体以上の「鵺」を乗っ取ったことで形勢逆転、自らが生み出した大量の「鵺」に押し負けて呆気なく祓われた。
- 結界呪霊
九州大結界の中心部にそびえ立つ巨大な「礎石」。結界の展開に最適な形として“アンテナ”のように伸びており、その姿はまるで一本の大樹である。
朧絶の計画のキーマンである結木海斗が自害しないよう、中に結木を取り込んでいる。
- 結界守の呪霊
結界呪霊の中に入った侵入者を倒すために、朧絶が事前に生み出していた呪霊。
圧倒的な力と硬さを誇るが、釘崎野薔薇と竜胆サキの連携によって祓われた。
目的
「人間は術式を選別するための私の家畜と成り下がり、最強の術式を作り出す探求の旅が始まるッ!」
「楽しみですねぇ、あぁ・・・・・・実に楽しみだ!人間から全てを奪い、我が物とするその時がッ!」
最強の術式
「最強の術式」を作り出すことが朧絶の最終目標である。
最強の術式の作り方は福岡分校編の最終章で判明するが、なんと九州の”非術師たち”を交配させて、“最強の術式を持つ人間”が産まれるまで何世代に及んででも交配させ続けるというなんとも胸糞悪い方法である。(非術師の親から術式持ちの子が産まれることもあるため、交配させるのは非術師で構わないとのこと)
九州大結界と「祈陣呪法」
朧絶は九州の人間を「家畜」のように飼育するための最悪の箱庭「九州大結界」の展開を宿願としている。
九州大結界の原型は26年前から構築していたのだが、九州全土を覆うほどの結界で人間を使役するためには「祈陣呪法」という術式が必要になる。
朧絶は26年前、夜蛾正道の同期である・香月沙良の「祈陣呪法」を再現しており、一度は九州大結界の展開目前まで進んだ。
しかし、朧絶は術式を再現するだけして、肝心の香月を野放しにしていたために、朧絶の知らぬ間に香月は秘匿死刑でこの世を去ってしまう。(秘匿死刑は香月の意志によるもの)
朧絶の扱う「祈陣呪法」は香月の呪力を動力源としていたため、香月が死んだことで朧絶の「祈陣呪法」は機能を失い、夜蛾を含めた術師たちの総攻撃により朧絶は祓われた。
…と思われたが、呪力操作による「死んだフリ」を使って朧絶はその場をやり過ごしていた。
「祈陣呪法」の再取得
「祈陣呪法」を持つ術師がいなくなってしまったために、九州大結界の展開は一度見送りとなってしまう。
そこから長い時が経ち、朧絶はかつて交戦した術師・奈木野健介の前に顔を出す。
夜蛾と同期であり、幼馴染の香月とは恋仲にあった奈木野。最愛の人を失ってからは八つ当たりで呪霊を殺し続ける空虚な日々を送っていた奈木野に「とあるモノ」を見せたことで、朧絶は奈木野を手駒にすることに成功する。
「奸骨奪胎」の性質上、術師たちの情報収集をする方法があると便利だった朧絶は、内側から呪術界の動向を探る「内通者」の役割を奈木野に貸していた…… ある「縛り」を結んで。
時は現代、新たに「祈陣呪法」を持つ術師・結木海斗が現れたことで、九州大結界の展開を再び目論む。
宿儺の呪力を持つ呪霊の誕生
九州大結界は展開後も長期的に機能する必要があるため、結界が破壊されるなどあってはならない。そのため朧絶は結界の強度を高めることに重点を置く。そして強度を高めるための呪力には「宿儺の呪力」が最適だと朧絶は考えた。
(仮にも協力してくれるはずがない)とはいえ、宿儺本人を結界内の「玉座」に座らせる必要はない。要は「宿儺の呪力を持つ呪霊」さえいれば事足りるため、朧絶は「宿儺の器」の存在を利用する。
「奸骨奪胎」によって虎杖悠仁の呪力と血液を付与された「器」に「宿儺の指」を2本取り込ませることで、「虎杖の肉体と性質が近い器」に指を受肉させることに成功。擬似的に「呪いの王」を生み出したのである。
偽夏油との関与
前述の「宿儺呪霊の生成」に使った宿儺の指2本だが、それは偽夏油が貸し出したものだと判明している。
『呪術廻戦』本編の黒幕ポジションでお馴染みの偽夏油は「渋谷事変」のために「嘱託式の“帳”」の最終調整をしており、その参考にしようと「九州大結界」のデータ収集をしに来ていた。(「嘱託式の“帳”」の調整については「宵祭り」等のエピソードでも描かれている)
そして朧絶の計画では「宿儺呪霊」の存在が必須だったため、偽夏油は朧絶に大事な指を2本貸し出して宿儺呪霊の生成に手を貸した。
ちなみに偽夏油は内心、朧絶のことを「地方でお山の大将をしている呪霊ごときがどこまでやれるか」と、完全に見下している。
あだ名
ファンパレのプレイヤーから朧絶はこう呼ばれている。
アニオリ呪霊
「アニオリ」とはアニメオリジナルの略称。TVアニメやアニメ映画にて描かれる原作にない要素を「アニメオリジナル要素」として扱う。朧絶はいわゆるゲームオリジナル呪霊なのでアニオリというのは不適切である。
アニオリ太郎くん
福岡分校編が終盤に差し掛かったところで、朧絶が偽夏油に九州大結界のこだわりポイントを語るシーンがある。
そこで朧絶は「九州大結界の硬度」について、自身の技術と長年蓄えた呪力に「祈陣呪法」と宿儺の呪力があれば「最強の術師(五条悟)すら破れない強固な結界に仕上がるはず」と述べて、これには偽夏油も興味を示す。
だがその後に朧絶が、
「欲をかいてアレと真っ向からぶつかることになれば、私ではすり潰される」
「結界の中で五条悟が天寿を全うするまで全力でやり過ごす、それは私が望む世界を作るための絶対条件です」
などと言ったため、偽夏油に「ククッ・・・・・・ははははははっ!!」と嘲笑われてしまう。
このシーンを見たプレイヤーは朧絶を「アニオリ太郎くん」と、見下し可愛がるようなあだ名で呼ぶようになる。
余談
- 術式名の元ネタは四字熟語の「換骨奪胎」だと思われる。
他人の詩文の語句や構想をうまく利用し、その着想・形式をまねながら、自分の作としても(独自の)価値があるものに作ることという意味の四字熟語であり、正に彼の思想に合っている術式名である。
- 乙骨憂太の術式との違い
「術式模倣」でお馴染みの乙骨憂太。彼の術式と「奸骨奪胎」には所々違いがある。
乙骨の術式模倣は一年前(祈本里香の解呪前)だと無条件で行えたが、「リカ」を使役している現在は術者の肉体の一部を「リカ」に取り込ませる必要がある。その上、模倣した術式には回数制限がある。
逆に、奸骨奪胎は術式そのものをコピーするわけではなく、術者の「血液」と「呪力」、それと朧絶が体感した術式の「情報」を基に擬似的に同じ効果の術式を行使する。しかし、奸骨奪胎で再現した術式は元の術者の呪力が絶えない限り延々と使い続けることが可能。
偽夏油曰く、奸骨奪胎は「インパクトこそあれど所詮は大道芸みたいなもの」らしい。
- 元人間?
一部プレイヤーからは、朧絶は元呪術師の呪霊なのではないかと考察されている。
理由としては
・流暢に人語を喋り、人間とコミュニケーションが可能
・下手をすれば真人以上に人間の真理や心の隙を利用するのに長けている
・他者の術式への造形が深いのは、呪術師同士の交流や戦いを経験したからではないか
・死んだフリが得意なのは、かつて祓う側として呪霊の消滅を見続けたからではないか
・これ程の実力者なのにも関わらず、何の恐れや畏怖から生まれたのかが一切不明
という点が挙げられる
結末(ネタバレ注意!)
以下、福岡分校編最終章の内容を含みます。ネタバレ注意!!!
「ク、ソォォォォォ!!! 虎杖悠仁ィ!!!」
「何故貴様は私の邪魔をするんだァァ!!!」
「何故も何もねえよ。オマエが呪霊で────」
「俺が呪術師だからだ。」
虎杖と朧絶のラストバトル。九州大結界の力で強化された虎杖の拳は黒い火花を散らす。続けて3回、併せて4連続の黒閃を放つ。
大ダメージを負った朧絶、その肉体は虎杖の眼前で消えていく。そして朧絶の消滅に続き、“九州大結界”の中心にそびえ立つ結界呪霊も崩壊。虎杖は死闘を制し、朧絶を祓ったのだ────。
…と、思われていたが。
26年前から幾度となく危機を脱してきた「死んだフリ」によって、虎杖の前から逃げ果せていたのだ…それも『宿儺の指』を持ち出して。
偽夏油から借りた2本の指、これさえあれば次こそは宿願を果たせる…
そう考える朧絶の前に────
「おつかれ。」
「いやあ、派手に負けたね。」
偽夏油と一緒に九州に来ていた真人が現れる。
“真人が助けに来てくれた、運が味方してくれているのだ”と思い込む朧絶だが…
「あー、違う違う。別にオマエを助けに来たわけじゃないから。」
「俺はただ・・・・・・『宿儺の指』を回収しに来ただけだよ。」
真人、そして偽夏油が自身を切り捨てるつもりだと知った朧絶は焦る。
借り物とはいえ、折角手に入れた指を失えば立て直しが困難になる。指を返す気など毛頭ない朧絶はお得意の「肉体の分解」によって真人の前から姿を消した。
「お。消えちゃった。でもさ、俺には関係ないんだよね。」
「俺は物事を『魂』で捉えてるから。」
「はい、捕まえた。」
気づけば朧絶は真人の腕の中。自身の得意技が真人には無意味だったのだ。
「それじゃあ、貰っていくから。『宿儺の指』と────」
「君の命。」
「あ、ぎ、ィッ────!?」
抵抗する間もなく、朧絶は改造されてしまった…。