「オマエ達 ちと鈍すぎるな」
プロフィール
概要
呪術界御三家・禪院家の26代目当主にして、「炳」所属の特別1級呪術師。
禪院扇の兄で、禪院直哉の父親。禪院真希・禪院真依・伏黒甚爾のおじにあたる。
白髪に口髭が特徴的な老人。服装は和服。
大の酒好きであり、任務で赴いた渋谷でも実際に酒を飲んでサボる姿や酒を切らしておかわりを所望する姿が描かれた。しかしその一見だらしない言動とは裏腹に、禪院家当主に相応しい実力を誇り、老体ながら身体も見事に鍛え上げている。
自身の持つ生得術式の性質から人知を超えた動きで戦うことが可能であり、五条悟という例外を除いた上でだが「最速の術師」であると言われている。
禪院の人間らしく五条(家)が嫌い。呪術の使えない一般人にも関心が薄い。
アニメ好きという一面もあり、昨今の解像度やフレームレート(コマ数)を上げたがる風潮は不粋であると指摘している。
呪力のない禪院真希を「落ちこぼれ」として蔑んでおり、当人の「当主を目指す」という決意を笑い飛ばし、真希が禪院家を出ようとした際には「相応の試練を与える」と話しており、真希が4級術師から昇級できない一因になっていると思われる。
その一方で、渋谷にて真希らと行動を共にした際にはその身を案じ、庇うような一面も見せている。躯倶留隊には基本無関心である(躯倶留隊の方も気後れしてしまうので結果的にちょうど良い距離感となっている)。
活躍
渋谷事変に際し、特別1級術師として参戦。当初は禪院真希、釘崎野薔薇と共に禪院班として行動。程なく釘崎と入れ替わる形で七海建人が合流し、移動中に特級呪霊の陀艮と遭遇。七海が先制攻撃を仕掛けようとするも、直毘人はそれより先に術式を発動し、手痛い一発を加えた。
呪胎であった陀艮が呪霊に変態を遂げた後も優位に戦いを進めるが、追い詰められた陀艮は領域展開「蕩蘊平線」を発動。直毘人は真希、七海とともに領域内に閉じ込められた。必中の式神は秘伝「落花の情」(詳細は後述)で防ぐも、術式解放「死累累湧軍」によって際限なく湧き出る式神全てを受けきることはできず、右腕をほぼ完全に抉られる重傷を負う。その後は領域内に侵入してきた伏黒恵と七海の策で領域外への脱出を試みるも、結界に空いた穴から禪院甚爾が乱入。なお、領域内にいた者の中で唯一、直毘人のみが甚爾と面識があった。甚爾はその圧倒的な身体能力で陀艮を祓い領域は解け、直毘人たちも解放された。
しかしその直後に同じく特級呪霊の漏瑚が現れ、七海、続いて真希を一瞬の内に火だるまに。直毘人は唯一動きに反応し背後を取るが、片腕を失った彼にもはや「最速の術師」たるスピードはなく、壁面に出現した2つの火山から発せられた火柱をまともに受けてしまい瀕死の重傷を負う。
その後の症状は不明だが、渋谷事変終結後に禪院家にて行われた一族会議の最中に、使用人のフルダテの口からたった今死亡した事が明かされた。
能力
術式
投射呪法(とうしゃじゅほう)
禪院家相伝の術式。
詳細は当該リンク先を参照。
領域対策
秘伝「落花の情」(ひでん らっかのじょう)
御三家に伝わる領域対策の術。自身の周囲に呪力を漂わせ、必中術式が命中する瞬間に呪力を放出して身を守るカウンター技。「触れたものを自動で呪力で弾く呪力プログラム」とも形容される。
必中術式への対策という点では簡易領域と似ているが、その原理は領域の中和ではなく、術式による攻撃そのものを迎撃するという違いがある。
読者評
本格的に登場・活躍したのは渋谷事変編のみだが、読者からの評価がそれ以後に上がり続けているキャラクター。
最初に登場したのは、交流戦編における禪院真希の回想。
真希からの「当主になる」という宣言に対して、「試練として妨害を行う」と言い返しながらも豪快に笑って受け入れていた。この時点で真希との仲は然程悪くないかのような描写となっている。
但し、真希の宣言に対して真依までもその試練に巻き込んだこともあって、この時点での読者評価は賛否両論に分かれていた。作者としては嫌なキャラとして描いたようだが…
その後の渋谷事変で本格登場。
特級呪霊との戦闘に際して、登場当時の直毘人は酒を飲みながら任務にあたる不真面目さに加え、呪力の無い一般人が命の危機に陥っている場面の中でも彼らの命に対してなんとも思わない酷薄さを見せる。
しかしその一方で任務の中で真希と会った際には上記の通りその身を案じ、彼女を庇い護る一面も見せ、そんな直毘人に対して真希自身も気安い態度で接していた。
また、渋谷事変ではイタコの術式によって現世に復活した伏黒甚爾の回想にも登場しており、甚爾から「自身の息子に術式が発現した場合は禪院家に身柄を売る」という取引を持ち掛けられている。この際「相伝ならば8、それ以外でも7で売る」という甚爾に対し、「相伝ならば10」と更に良い条件で快諾しており、人格者とは言えないまでも器の大きな人物として描写された。
(ここでいう数字が遺産相続の割合なのか、単純に億レベルの金額なのかは不明。因みに恵は相伝持ちであり、直毘人は五条の妨害がなければほぼ面識のない恵に当主の座と全財産を譲る旨を遺言に残し、親戚一同に猛反発されている)
その後、直毘人は陀艮・漏瑚ら特級呪霊との激しい戦闘の末に死亡するのだが、そこから彼の息子の非人間性が描写されたことでむしろ直毘人は真希のことを結構大切に扱っていた方であることが発覚。
更にその後も次々と禪院家関係者の非道ぶりが描写されていくにつれ、真依に対して試練を与えた事すらも彼女を禪院家から脱出させた名采配であることが分かり、(直接的に描写・明示されたわけではないが)禪院家の中で数少ない真希・真依の姉妹を一人の人間として扱っていた人物としてその人間性が再評価されることとなった。
また、上述の通り甚爾から取引を持ちかけられているが、甚爾はその生い立ち故に決して禪院家へ良い感情を抱いてはいない。にもかかわらず(愛着が薄いとはいえ)己の息子を預ける真っ当な交渉相手として選ばれる程度には、甚爾から人格(あるいは価値基準)を認められていることがうかがえる。
それに伴って禪院家の人間から出た「今の禪院家があるのは甚爾の気まぐれ」という話についても、読者から「むしろ甚爾が禪院家を潰さなかったのは直毘人がいたからでは?」と囁かれている。
付け加えて、上述の渋谷事変においてたまたま近くにいたと言う理由ではあるが、当主である直毘人が現場に姿を見せ、結果的に禪院宗家の中で唯一、一般人の為に命を懸けた人物となっている。(本人は全く助けていないが)
余談
- 弟の扇は直毘人の持つ術式に対して歴史がないと発言している。投射呪法は映像媒体が生まれた頃に発現した術式で24fpsに拡張したのは直毘人の代らしい… 禪院家の様子から察するに、彼自身の実力はともかくとして非相伝とも変わらない扱いの相伝術式を拡張させ作者直々に禪院家術師最強を語られていることから相当苦労したのだろう。
- 実際特級相当の実力者である秤金次が歴史の浅い術式で苦労していたらしい。