概要
動画の処理全般で、映像信号や映像機器の規格の仕様、性能の目安、伝送に要求される通信路容量の計算などに使われる。この値が大きくなるほど動きが滑らかに見えるため、動画作成の重要なポイントの一つである。
同じような概念の「リフレッシュレート」と混同されることがある。(後述)
24fps以上で動画として認識でき、60fpsあれば滑らかな映像が再現できるとされている。逆に15fpsに満たない場合はカクカクする。(個人差がある)
フレームレートが上がれば上がるほど臨場感が増すとされ、1000FPS程度で飽和すると考えられている。
しかし強すぎる臨場感はファンタジーやSFなどの虚構との相性が悪いとされ、娯楽映画などは高いフレームレートを嫌う傾向がある。(高FPSを使用したavatarは不気味の谷現象を起こしていると話題になった)
逆に現実を描写するスポーツ中継やドキュメンタリーとは親和性が高いとされる。
フレームレートの例
アメリカ系テレビ規格の影響で60FPSが世界標準とされ、これより高いフレームレートは「HFR (High Frame Rate)」などと呼ばれたりする。
映像関係
日本やアメリカのテレビは30fps、ヨーロッパなどは25fpsとなっている。(詳細は後述)
映画と日本のアニメは24fpsが標準で、特殊な例で48fpsなどもある。
映画もアニメもフィルムを使用していたため、同じレートになっている。
動画共有サイトは60fpsまで対応している場合が多く、動画編集時に投稿者が好きなフレームレートを指定できることが多い。
2020年現在は、より臨場感のある映像を目指すために120fps映像の普及が進められている。
新発売されるテレビも120fps対応のものが増え始め、アップコンパートを用いてテレビ番組やネット動画をHFR化して表示できるようになった。
4K放送などの超高精細度テレビジョンでも120fpsでの放送が標準化されており将来的には120fps放送が家庭で視聴できるかもしれない。
テレビのコマ数は...
なおテレビは表記上は30,25fpsなのだが、実は1フレームの中に「フィールド」というコマが2つ入っており、30fpsのテレビは「秒間60コマ」の映像となっている。
テレビは電波の有効利用のために「インターレース」という仕組みで映像を送信しているためこのような不思議な表記となる。
よって日本のテレビは秒間60コマで、ヨーロッパなどは秒間50コマで放送されている。
ファミコンなどのゲーム機もこれに従っているので、80年代当時から現代の60FPS相当の映像で動作している。
なお秒間60コマの映像はリアルすぎる。などの理由でテレビドラマなどは意図的に秒間30コマで制作したりするので注意。
3:2プルダウン
秒間60コマのテレビで秒間24コマの映画やアニメを放送する際に行われる加工。
これによりテレビで放送されるアニメは本来のアニメーションを失った状態にある。
詳しくは英wikipedia
ゲーム関係
ビデオゲームの表示装置には長らくテレビが使用されていたので、フレームレートもそれに準じて60fpsと50fpsが標準となっている。
しかしPS5などの最新ゲーム機は120fpsに対応しており、タイトルによってはHFRでゲームが遊べる。
なおビデオゲームは映画などの映像と違って、表示する画面をコンピューターの計算により作り出して送信している。
よって1画面を生成するのにかかった時間がフレームレートよりも長くなった場合、ディスプレイに表示されるゲーム映像が乱れる「コマ落ち」が発生する。(60fpsの場合、約16.7ms以内に1コマ生成が必須)
この事象はHW性能にバラツキのあるPCゲームでは特に顕著で、性能の低いPCで最新ゲームを遊ぼうものならコマ落ち多発となる。
よって「あるPCであるゲームを実行した場合フレームレートはどれほどか?」はゲームが快適に動作するかどうかで非常に重要な指数であり、最低でも60FPS、できれば120FPS以上で動作すればよい。2020年代現在ではPC向けの機器で500FPSでの表示に対応した物もの存在する。
しかし、PCだけでこれを選ばず、モニターの部分にも注意する必要がある。(ボトルネックになってしまうため)
ゲームをプレイする上では、そのプレイする環境も大事ということを覚えておこう。
リフレッシュレート
フレームレートは「映像」の更新間隔だが、映像を表示するディスプレイにも更新間隔が存在する。
これは「リフレッシュレート」と呼ばれ、映像に関係なく一定の周期で画面を更新している。単位は「Hz(ヘルツ)」
このような動作の理由は、現代のディスプレイで使用されている「TFT」という部品が自分に与えられた命令を長時間保持できないため、常に何らかの信号を与え続けて、ディスプレイの表示内容を維持しなければならないためである。
フレームレートとリフレッシュレートの不一致
この「リフレッシュレート」と「フレームレート」の数とタイミングは同期することが重要であり、両者のレートは約数でないとならないし、映像の発信と画面の更新のタイミングがズレると映像が乱れてしまう。
例えば、フレームレートが24FPSの映像を、リフレッシュレートが60Hzのディスプレイに送信するとタイミングが合わず、映像の滑らかさが失われてしまう。(ネットに投稿されたアニメ動画をPCで再生した時などに起こりやすい)
これを解決するにはリフレッシュレートを「24、48、72、96、120」などに設定すれば良い。
2015年頃からは送られてきたフレームレートに合わせてディスプレイ側がリフレッシュレートを自動で変更する「VRR (Variable Refresh Rate) 可変リフレッシュレート」という技術が登場している。
ホールド時間(フレーム時間)
ホールド時間とは「ディスプレイにあるコマが表示されている時間」のことである。
人間の視覚はこのホールド時間が長いほど動画上の動作に「残像」を感じるとされる。
よってホールド時間の短縮することで映像は現実に近づき「臨場感」を感じやすいと言える。
例えば、フレームレート60FPSの映像をリフレッシュレート60Hz液晶ディスプレイに表示させると、ホールド時間は約16.7ミリ秒となる。これが120FPS&120Hzなら8.3ミリ秒である
しかし、前時代のディスプレイである「ブラウン管ディスプレイ」は構造上ホールド時間が無いに等しく、1~3ミリ秒だとされる。これによりブラウン管は残像感の少ない明瞭な動画性能を持っている。
このためブラウン管から液晶ディスプレイへと過渡する際に液晶ディスプレイの残像感が盛んに取り上げられ、格闘ゲームなどの競技性の高いゲームでは「ブラウン管信仰」のようなものも見られた。
液晶ディスプレイでホールド時間を下げる方法はいくつか考案されており、以下のようなものがある。(日本国内では倍速駆動と呼ばれたりする)
- 映像のフレームレートを上げる。
- HFR映像作品の少なさ、撮影の難しさ、動画容量増大などあまり現実的ではない。アップコンパートで画像を生成し疑似的にフレームレートを上げる方法もある。
- フレームを表示した後ディスプレイをOFFにして暗くしてしまう。
余談だが、フィルムを使用する24FPSのアナログ映画の場合、スクリーンに映しているコマから次のコマへフィルムを送って移動する瞬間を視聴者に見せないために、シャッター機構を使用してフィルムを隠してしまう。
このためアナログ映画のホールド時間は(1000/24/2)で20.83ミリ秒となっている。
(なお実際の動作は1コマ上映する間に「映像・黒・映像・黒・映像・黒&コマ送り...」と6回点滅する仕組みになっている。これは24/2の2回点滅では点滅周期が長すぎて光過敏性発作を起こしやすいためである。)