概要
子供向け(家庭向け)として設定された、または子供向けプラットホームに投稿された不適切な表現を含む動画のことである。
多くの場合、YouTube上の動画を指すが、別の動画プラットフォームでも指すものは同じである(例えばYouTubeがブロックされている中国では、テンセントビデオやiQIYI、Youkuなどに同様の動画が投稿され、規制の対象となっている)。
あくまで「子供向けを装い、子供も見られるような場に投稿された不適切描写のある動画」を指す。
このため、子供向け作品を元にした過激な表現を含む動画であっても、年齢による閲覧制限が掛けられている場合や、動画本編の前に十分な注意喚起がなされている場合は該当しない。また、一見子供向けのデザインだが、実際の内容は大人向けで過激な表現のあるもの(サウスパークやハッピーツリーフレンズなど)とも異なる。
「エルサゲート(Elsagate)」の由来は『アナと雪の女王』に登場する「エルサ」が、このような動画の題材としてよく取り上げられていたことから。「 - ゲート」はスキャンダル事件などによく使われる接尾語から(アメリカの「ウォーターゲート事件」に由来)。
内容
基本的にはアニメや人形劇の形式で発表され、キャラクターは実在する有名作品のキャラクターを真似て(場合によっては名前やデザインをそのまま出し登場させて)いることが大半である。また、別の作品同士のクロスオーバーが行われることもしばしばある。人形劇のような実写作品では市販されている玩具が用いられることもある。
このため、子供や保護者の混乱を招くだけでなく著作権の侵害などにも当たる可能性が高い。
内容は、表向きは子供向けだが、実際はR-18ないしR-18Gに近い、子供が見たら大いにショックを受けるであろう表現が盛り込まれているのが特徴である。
子供向けであっても、軽微な下ネタや登場人物が傷つくような描写を入れるような作品は少なからずあるものの、「エルサゲート」に相当するような作品は
- 登場キャラクターが過剰な暴力を行う、あるいは過剰な暴力に晒される
- 度の過ぎたホラー描写、激しい喧嘩の様子や怪我など、恐怖や不快感を強く煽るような表現
- 流血や死亡など、グロテスク・ゴア描写がある
- 過剰なまでの性的な表現、排泄や性器などを執拗に描写
…等々が挙げられる。
また、タイトルに「子供向け」、「教育用」などの文言が含まれたり、キャラクターの名前や作品名が使われたりすることも多い。これにより、後述の対策をすり抜けてしまうこともある。
対策
以前は版権元・発売元の公式チャンネルを含めた普通の子供向け動画に関連動画として現れること、これによりうっかり閲覧してしまう危険性があることが問題となっており、また実際の内容が大人向けであることが提示されていても気が付かず見てしまう可能性もあった。
YouTubeでは「YouTube Kids」という子供の視聴に適したプラットフォームを公開し、YouTube上に投稿された動画をフィルタリングし、YouTubeから「子供向けまたは子供が見ても問題のない内容」と判断された動画のみが表示されるようになっている。
通常のYouTubeでも動画の年齢制限などの対策を取っているほか、特殊なアルゴリズムを活用した自動解析により、子供の閲覧に相応しくない内容は投稿前後である程度弾かれるようになったが、YouTube側の設定ミスやすり抜けもあって完全に排除されることは難しい状況である。
投稿の理由としては、多くのチャンネルが動画広告を設定していることから、広告収入などを狙い、視聴回数を稼ぐことと考えられている。
規制の影響により2022年現在はある程度沈静化、子供向けと大人向けの棲み分けがなされるようになったが、例えば2021年ごろから『Among us』を題材にしたナンセンスな動画が大量に投稿され、問題となるなど、あくまで元ネタとなる作品や対象となる層が変わっただけで事態が完全に収束したわけではないと言える。→参考記事
エルサゲート一覧
- お遊戯会 ドラえもんショー
- 蒼い悪魔
- バイオレンスサザエさん
- ハローキチィ
- もぺもぺ:YouTubeが公式で設定ミスをした影響で、「子供向け」(YouTube Kidsで閲覧可能)に設定されていた時期があった。後に修正されている。詳細はリンク先にて。