概要
自らの視界を画角として「1秒間の動きを24の瞬間に分割したイメージ」を予め頭の中で作り、その後それを実際に自身の体で後追い(トレース)する術。 動きを作ることに成功すればトレースは自動で行われる。
ただし、動きを作るのに失敗するか、成功してもそれが過度に物理法則や軌道を無視した動き(例えば加速度が大きすぎる動きなど)であればフリーズして1秒間全く動けなくなってしまうというデメリットが存在する。
逆に言えば「ある程度の物理法則や軌道を無視した動きを作ることは可能」ということで、これこそがこの術式の最大の強みであると言える。失敗しない範疇であればその動きが術者の身体能力的に不可能な場合でも問題なく全自動でトレースされる。
さらに、上述の「過度に物理法則を無視」に抵触するために一回の術式発動で上げられる速度には制限があるものの、絶えず術式を重ねることで青天井に拡大されていき、直毘人は前述のように「最速の術師」の名をほしいままにしている。また、加速していくごとに放たれる一撃の重さは飛躍的に上昇する。
さらに、術者に触れられた者にも同じ効果を適用することができる。
この作用は敵にもメリットがあるように思えるが、実際には触れられてから1/24秒という短い時間で動きを作ることを強制され、術式の情報や特別な訓練なしで即座に24コマ分の動きを正しく作るのはまず不可能なので、事実上は触れた相手を強制的に1秒間フリーズさせる技として機能する。
このフリーズは術をかけられた者には自覚が無いらしく、相手からするとまるで時間が1秒飛んだかのように感じてしまうため対処は容易ではない。
加えて術式の対象は必ずしも意思のある相手である必要はなく、陀艮の水流に対して連続発動することで濡れることなく無傷でやり過ごすような芸当も可能。
自身がフリーズするリスクも熟練の使い手である直毘人にとっては無きに等しい。もう1つ弱点を挙げるとすれば、トレース中は絶対にその動きしか出来ないため不測の事態への対処が困難なことだが、相手のカウンターをも予測した上で動きを作ることでこの弱点もカバー可能である。
アニメ版では術式発動中に漏瑚の攻撃に被弾した際にはフリーズした表現が追加されており、断続的に攻撃を受け続けてしまう致命的な弱点が補完されている。
術式自体は直接的な攻撃能力を持たないが、直毘人の天性のコマ打ちセンスと時間感覚によって極めて攻撃的で強力な術式に昇華されており、御三家当主の肩書に恥じない力を実現している。