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概要編集

不空羂索とは、梵名の「アモーガ・パーシャ」の意味を訳した表記。

不空の空とは、『般若心経』などで説かれる「空(シューニャター)」ではなく、「空しい」のほうの「空(モーガ)」である。

「不空(アモーガ)」とは「空しくない」という意味であり、この語を名前に含む尊格としては他に不空成就如来が存在する。


寺・宗派による扱い編集

東大寺の法華堂は不空羂索観音を本尊とし、かつては「羂索院」「羂索堂」と呼ばれていた。

天台宗では六観音の一人に数えられ、六道のうち人間道を担当する。真言宗ではこれと異なり准胝観音が人間道担当の変化身となっている。両方を合わせて七観音ともいう。

六観音のうちで唯一、鹿の皮をまとった変化身である。シヴァも獣の革を身に着ける神であり、他の変化身や観音菩薩じたいにシヴァ起源説が唱えられる事から、この特徴をシヴァ由来とする説もある。


また神仏混交においては、鹿は春日大社で神使とされることから、春日神社系列の祭神の一人タケミカヅチの本地仏とされた。


仏像としての特徴編集

その名の通り、手に羂索(パーシャ)を持つ。

羂索とは、「羂」が罠、「索」が縄を意味する文字であり、インドにおいては狩猟の際に使う、先端を輪っかにした投げ縄のことである。

通常、縄や網は生きものをしばりあげ、その自由を奪うための狩猟用具であるが、仏教においては、「羂索とは慈悲の索なり」ととらえられており、この縄を使って俗人たちを残さず救いあげる。と言う意味でこの道具を手にしている。

尊名にある不空と合わせて、「空しくない(もの)」すなわち仏法(ダルマ)によって衆生をとらえ救済する、というニュアンスを端的に表している。


羂索(パーシャ)を手に持つとされる尊格としては他に不動明王千手観音などがある。

インド神話ではシヴァガネーシャヴァルナがこれを持つ。

一面八臂で額には縦になった第三の目がある。多腕のうち一対は合掌している。

羂索以外の持物として錫杖蓮華払子(虫などを殺さず追い払うための毛の房のついた棒)がある。


関連タグ編集

聖観音 千手観音 如意輪観音 十一面観音 准胝観音 馬頭観音


羂索呪術廻戦):不空羂索観音が名前の元ネタ。

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