IPアドレス
あいぴーあどれす
インターネットやイントラネットなど、IPネットワーク上の情報機器を識別するために指定するネットワーク層における固有の番号。
データリンク層における識別番号「MACアドレス」を「物理アドレス」と呼ぶのに対し、「論理アドレス」と表現されることもある。MACアドレスは機器の製造時に割り当てられ原則書き換えられないのに対し、IPアドレスは別の場所でネット接続すれば別の番号が割り当てられるのが普通であり、MACアドレスが「マイナンバー」のようなものだとすればIPアドレスは「住所」のようなものと表現できるだろう。
IPが割り当てられる対象になるのは、IPネットワークに接続するあらゆる機器である。パソコン・タブレット・スマホといった端末をはじめ、ルーターやサーバー、さらにはIoTデバイスや監視カメラなどのセンサー類もネット接続される限りはIPアドレスを持っている。
IPは機器がネットワークに接続した時点でDHCPサーバによって(サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバ情報と一緒に)自動設定されるが、ユーザーが手動で設定することも可能である。1つの機器にIPアドレスを複数設定することもできる。
IPv4とIPv6の2つが存在する。両者は互換性がないため、現在は並行して利用されている。
IPv4
1981年9月に標準化・策定された最初のIP標準。32ビットの2進数のアドレス空間を持ち、表現可能なアドレス数は2の32乗(約43億個)である。
一般的には8ビットごとに区切った10進数で表記される(例:192.168.1.1)。
策定当初はインターネットに接続するのは主に大学や研究機関であり、IPアドレスが不足する事態は想定されていなかったが、インターネットの普及に伴いIPアドレスの消費も加速したことで、アドレスが枯渇することが予測された。そのため、後述のNAPT技術が開発されるとともに、後継規格としてIPv6が策定された。
元々は全ての機器に対し、全世界で一意の「グローバルIPアドレス」を割り振ることが想定されていたが、現在では、LANなどの内部ネットワーク端末には「プライベートIPアドレス」を割り当て、端末が外部と通信する際にグローバルIPアドレスに変換するのが一般的である。これをNAPT(IPマスカレードとも)という。これにより、1つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有できるため、アドレスの消費を大幅に抑えることができる。
ヘッダ長は20-60バイトと可変長である。
IPv6
1995年12月に最初の仕様が決められ、1999年から割り当てが開始された新しいIP標準。128ビットのアドレス空間を持ち、表現可能なアドレス数は2の128乗(約340澗個)である。全人類が毎日1兆個ずつアドレスを使い捨てたとしても、使い切るまでに約100兆年以上掛かる計算となるため、事実上枯渇の心配はない。
一般的には16ビットごとに区切った16進数で表記される(例:2001:0db8:bd05:01d2:288a:1fc0:0001:10ee)。
通常、前半64ビットはプロバイダなどから割り当てられる「ネットワークプレフィックス」、後半64ビットは端末ごとに異なる「インターフェースID」となる。インターフェースIDは、MACアドレスから自動生成されることもあるが、近年ではプライバシー保護の観点から、ランダムな値が用いられたり、通信時に一時的なアドレスが生成されたりすることも多い。このような場合、1つの端末が複数のIPv6アドレスを持つ。
処理の効率化のため、ヘッダ長は40バイトの固定長となった。
1990年代からIPv4アドレスの枯渇が予測されていたが、NAPTといった延命技術の普及により、IPv4のみでの運用が続いており、IPv4アドレスの枯渇そのものを疑問視する声も根強かった。しかし、2011年には全世界のIPアドレスを管理する組織「IANA」における未割り当てのIPv4アドレスが枯渇。各地域でも順次在庫が尽きている。
IPv4とIPv6を共存させる技術としては、IPv4ネットワーク上でIPv6パケットを包んで転送する「トンネリング」、同一機器にIPv4・IPv6の両アドレスを持たせる「デュアルスタック」、NATやプロキシを介して両プロトコルを変換する「トランスレータ」が挙げられる。これらの技術により、利用者が意識することなく両プロトコルが共存する環境が実現されている。
日本では、IPv6の普及に伴い、IPoE方式によるインターネット接続が広まっている。従来用いられていたPPPoE方式では、プロバイダの網終端装置(NTE)を経由する必要があり、混雑時に回線速度が低下しやすいという問題があった。IPoE方式ではNTEを経由せずインターネットに接続できるため、混雑の影響を受けにくく、安定した通信が期待できる。
ただし、IPv4にのみ対応しているWebサイトも依然として存在するため、IPv4 over IPv6(MAP-EやDS-Liteなど)と呼ばれるトンネリング技術により、IPoE方式上でIPv4通信を行う仕組みも併用されている。こうした移行技術を組み合わせながら、徐々にIPv6への移行が進みつつあるのが現状である。
個人がプロバイダから割り当てられるIPアドレスは、通常は何らかの理由で変動するものであり、ルーターの再起動のみで変更されることもある。IPアドレスで判断できるのは大まかな国や地域、回線情報程度であり、これだけで相手を特定することはできない。また、VPNやプロキシサーバー経由でアクセスすることで、本来のIPアドレスを隠蔽することも比較的容易である。
このため、IPアドレス単体では個人情報保護の対象とはならず、他人のIPアドレスを晒すこと自体は犯罪にならない(「IPアドレスを抜いたぞ」と相手を脅迫した場合は犯罪になりうる)。ただし、相手を特定する手がかりにはなりうるため、不特定多数に対してむやみにIPアドレスを公開することは控えるのが望ましい。














