概要
インターネットなどの回線のデータ転送速度のこと。bps(ビット毎秒)で測られる。
回線速度には上り(端末からサーバーへのアップロード速度)と、下り(サーバから端末へのダウンロード速度)があり、普通は下り速度の方が速い。特記しない場合は下りの速度を指す。
回線速度とインターネット
インターネットのインフラの歴史は、回線速度の向上の歴史でもあった。
初期のパソコン通信(1980年代初期)では音響カプラを用いた300bps(0.3kbps)程度であった。1990年代のインターネット普及期には9.6kbps→14.4kbps→28.8kbps→33.6Kbpsと順次高速化が進んだものの、ダイヤルアップ接続時代のネットユーザーは常に回線の遅さに悩まされ、自動巡回プログラムが重宝されていた。
しかし、2001年から一挙にADSLによるブロードバンドインターネット接続が一般化。2006年ごろからはより高速な光回線が広く普及し始め、2010年代にはLTE/WiMAXの浸透でモバイル回線もブロードバンドが当たり前になった。現在では環境問わず最大1Gbps超の回線速度が実現している。
ただしこれらの数字は理論値であり、実効速度はそれよりもかなり低く、特に無線通信では著しく乖離することが多い。それでも、Webサイトの閲覧やフルHD動画の再生なら10-15Mbps、より高解像度な4K2K動画であっても25〜50Mbps程度あれば大丈夫。
そういうわけで1Gbpsともなると、もはや多くのユーザーにとってはオーバースペックといえる。そもそも、回線速度がいくら早くても接続先のサーバーが重ければ意味がないのだ。
それもあってか、近年では普通に使う分にはモバイル回線でも支障がないことから、単身者を中心に固定回線を引かずに各キャリアの使い放題プランを契約するケースも増えているとか。
もっとも、テレワークにおけるビデオ会議やネット配信などでは上り帯域の確保も気にする必要があり、オンラインゲームでは帯域だけでなく遅延も重要になってくるので、このような用途には上り帯域の速度や遅延の少なさで勝る光回線の方が快適である。
回線速度の比較
※下記はすべて理論値、下り速度。
※ここでは1Mbps以上をブロードバンドとしている。
ナローバンド
1.4kbps - ボイジャーの通信速度。
9.6kbps-第2世代移動通信システムであるPDCの回線交換速度。
28.8kbps - PDCのパケット通信速度。
56kbps - 2000年ごろまで主流であった、電話回線によるダイヤルアップ接続の最大速度。
128kbps- 大手キャリアにおいてLTEで速度制限がかかった時の速度。ウィルコムのPHSサービスであるAir-EDGEによるパケット通信の最大速度でもある。
384kbps - 初期の第3世代移動通信システムの通信速度。
ブロードバンド
1Mbps - WiMAXの速度制限がかかった場合の通信速度。
8Mbps - Yahoo!BBがADSLで2001年にサービス開始した時の最大速度。
14.4Mbps - 第3世代移動通信システムの最大速度。
37.5Mbps - 初期のLTEの最大速度。
100Mbps - 初期の光回線の一般的な回線速度。集合住宅向けに用いられるVDSL方式はこの速度の回線を各戸住人で共有することが多く、「ネットが遅い」と不満が出やすい。
110Mbps - 初期のWiMAX2+(UQ WiMAX)の最大速度(後に最大440Mbpsまで拡張)。
300Mbps - 国際宇宙ステーション(ISS)やハッブル宇宙望遠鏡 などの利用する宇宙ネットワークの通信速度。
1Gbps(1000Mbps) - 一般的な光回線(フレッツ光、auひかりなど)の速度。
1.7Gbps- 2020年現在におけるLTE-Advancedの最大速度。
3.4Gbps - 第5世代移動通信システムのサービス開始時の最大速度。
10Gbps - 一般的な光回線サービスにおける最高速プランの速度。
20Gbps - 2024年現在における最高速の光回線サービスの速度(NURO 光20Gs)。