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概要編集

ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope、略してHST)は、1990年4月24日にスペースシャトル・ディスカバリーにより地上600kmに打ち上げられた汎用宇宙望遠鏡。1990年の打ち上げ以来、長年にわたって宇宙の画像を送り続けている。


名称は、宇宙の膨張を発見した天文学者エドウィン・ハッブルにちなむ。世界で初めて、目で見える光の波長(可視光)での観測ができる宇宙望遠鏡で、宇宙望遠鏡の中でも最も成功を収めたものと言われる。宇宙望遠鏡は大気や天候による影響を受けないため、地上からでは困難な高い精度での天体観測ができ、ハッブルの観測結果をもとに今まで1万本以上の論文が書かれたという。


打ち上げ以来30年が経過する現在も、数度のサービスミッションによりその機能を保ち続けている。


計画当初は1983年12月打ち上げの予定だったものの、開発の遅れにより1986年後半に延期され、その間にチャレンジャー号打ち上げ事故が発生したことによりスペースシャトルが使えなくなり更に延期された。スペースシャトルの打ち上げが再開されたのち、1990年4月24日にようやく打ち上げられた。(参考


打ち上げ当初は内部の鏡が0.002mm歪んでいた影響で分解能(簡単に言うと対象を見分けられる能力)が想定の5%程しか発揮できなかった。(なお、それでも当時としては驚異的な性能だった)

応急処置としてこれを改善するソフトウェアが開発されたのち、最初のサービスミッションで修理が行われた結果、想定を遥かに超える性能を発揮出来るようになった。


運用終了後はハッブル自体を地上に持ち帰り、博物館に展示することも検討されていたが、スペースシャトルが退役した現在、この計画は事実上不可能となっている。(ハッブルはスペースシャトルで運搬することを前提とした設計となっている為)

また、スペースシャトルが退役したことによりサービスミッションも2009年5月11日を最後に行われておらず、スペースシャトル以外での修理計画も今の所存在しない。


近い将来寿命を迎えることが予想されるハッブルだが、NASAとSpaceXが宇宙船「ドラゴン」を使って安定した軌道まで押し上げ、延命できるかどうか共同で研究すると発表された。(参考)

ただ、この計画は実行されると確定している訳ではなく、今の所、NASAはこの計画に資金を提供することはないとしている(あくまで宇宙船ドラゴンを使ったハッブル延命の可能性を研究する契約をSpaceXとの間で締結したのみ)が、もし実現すれば、ハッブルの更なる活躍が期待できるのはもちろん、この技術が他の人工衛星などでも応用できるかもしれない。


幻のハッブル二号機編集

2003年1月、既に老朽化しつつあったハッブルについてNASAは、今後スペースシャトルによるサービスミッションを行わないと発表した。しかし、このままだとハッブルは2008~10年頃に寿命を迎えると推測されていた。無人ロボットによる修理も提案されたが、現実的ではないとされ却下された。そこで計画されたのが、第二のハッブル宇宙望遠鏡を打ち上げる計画『Hubble Origins Probe』だった。

流用できるものは極力流用し、なおかつ軽量化もしつつ低コストでの打ち上げを目指していたが、2006年10月にNASAはサービスミッションを行わないとする決定を撤回。予定通りハッブルの修理は行われる事になり、そのままHubble Origins Probe計画は事実上中止となった。


後継機編集

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡編集

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

老朽化が進むハッブルに代わる、新たな汎用宇宙望遠鏡。再三の延期の末、2021年に打ち上げ。


詳細は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」を参照。


LUVOIR(ルヴォアー)編集

ジェイムズ・ウェッブの更に次世代の汎用宇宙望遠鏡の構想としてLUVOIR(Large UV Optical Infrared telescope=大型紫外可視近赤外線宇宙望遠鏡)がある。「LUVOIR-A」と「LUVOIR-B」の2機があり、2030年代半ばに打ち上げの予定。形状はジェイムズ・ウェッブに似ている。

こちらもジェイムズ・ウェッブと同じくラグランジュ点2「L2」に置かれるため、打ち上げ後の修理は出来ない。

紫外線、可視光線、赤外線と広範囲の波長の光を検出する事が可能であり、また主鏡の大きさもハッブルが2.4m、ジェイムズ・ウェッブが6.5mなのに対し、LUVOIR-Aが15m、LUVOIR-Bが8mであり、凄まじい性能を発揮する事が期待されている。その観測精度は、冥王星を間近から撮影するのとほぼ同等の解像度で観測出来たり、40光年先の岩石惑星を直接撮影出来るレベルとされる。


詳細はこちら。 公式サイト 日本の当計画への参加について

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