概要
磁気ディスクと同様に磁気を使って情報を書き込み、光ディスクと同様に光を使って情報を読み出す記録媒体(メディア)。略称はMOもしくはMOディスク(「MO」はMagneto-OpticalまたはMagnetic Opticalの略)
一般的にMOと呼ぶのは国際規格化された「ISOディスク」のことであるが、メーカー独自規格で保存方式に光磁気方式を採用したディスクがいくつかある。有名どころではSONYのミニディスク(MD)のうち、録音用ディスクが光磁気ディスクである。
ISOディスク、MDとも1990年代から2000年代前半を中心に使われたが、2000年代に入ると書き換え可能な光ディスク(CD-R、CD-RW)やインターネットを通じた情報交換、フラッシュメモリの普及に伴い淘汰されていった。
ISO規格のMOディスク
書き換え可能な電子メディアの中で、最も耐久性に優れたものの一つ。フロッピーディスクや一般的なCD-Rをはるかに上回る100年以上データが読み出せるとされている。書き換え可能回数も1000万回を超え、これはハードディスクドライブも上回る。
初期にはディスク・ドライブとも高価であり、読み込み・書き出しの速度が遅いことが欠点だったが、後年にはいずれもかなり改善されていた。また書き込みには特殊なドライバなどが不要で、追記や上書きなどもでき、初期のCD-Rなどに比べて使いやすかった。
日本国内では、業務用途を中心に普及した。特に官公庁や出版(DTP)・デザイン業界では信頼性の高さから絶大な支持があった。
一方で海外では競合のZipドライブに敗れてあまり普及しなかった。1988年に登場したワークステーションであるNeXTは、主力メディアとして(当時登場したばかりの)キヤノン製MOを採用したが、同機の失敗の一因となってしまった。1998年9月に「死のクリック現象」と呼ばれたZipドライブの不具合が発覚した際、一時的に海外でもMOに注目が集まったが、同時期に普及しはじめたCD-Rの台頭に重なってしまい長続きしなかった。
サイズ別に8インチ、5インチ、3.5インチの種類があるが、一般に普及したのは3.5インチである。3.5インチのディスクの容量は当初128MBと230MBだったが、その後540MB、640MB、1.3GB、2.3GBと順次拡張されていった。GBクラスのものはGIGAMO(ギガモ)と呼ばれ、記録密度の向上によりそれまでMOの欠点であった読み書き速度も大きく向上している反面、書き換え回数がハードディスク並みに低下した(とはいえ、実用上は全く問題ない)。
ディスク・ドライブとも2010年代まで命脈を保ち、2013年に発売されたドライブであるLMO-FC654U2(ロジテック)は新品が2021年現在も入手可能。既にディスクメディアは製造されていないが、2020年代に至っても古いディスクが使い回されている模様で、GIGAMO対応の中古ドライブは軒並み高騰している。
MOディスクが耐久性に優れている理由
- カートリッジに収められている構造上、内部のディスクがダメージから保護される。
- レーザー光で加熱した状態でデータを書き込むため、常温では外部磁気の影響を受けない。
- フロッピーディスクとは違ってヘッドが接触することがないため、ディスクやヘッドが摩耗することはない。
- 記録時のレーザーの出力が記録型CDやDVDと比較するとはるかに弱いため、ディスクへのダメージが少ない。