概要
最も身近なバイオマスプラスチックはポリ乳酸(PLA)であろう。透明性が高く、耐水性もあり使いやすいことから、ポリエチレンやポリプロピレンなどの代替品として野菜・果物などの包装材や容器などに使われているほか、樹脂を数%配合したレジ袋が多く出回っている。また、アセテート(酢酸セルロース)が繊維素材や写真などのフィルム、眼鏡のフレームなどとして用いられる。
100%バイオマス資源から作られたプラスチックは微生物などに分解され、後にごみの残らない生分解性プラスチックとなるものが多いので「環境にやさしい」とされる。しかし、100%生分解性プラスチック素材でなければ、一部は分解されずに残ってしまう。
ライスレジンは米を原料とするが、石油系プラスチックと混合して製造されるため、厳密にはバイオマスプラスチックの条件を満たさない。
また、100%生分解性プラスチックであっても環境条件によっては分解されずに残存することがありえる。PLAは堆肥中などの特に微生物が多い環境でないと分解されない。PLAに酵素などを混ぜ込んで海洋中などでの環境分解性を持たせる研究もなされている。
PLA、アセテートとも耐熱性や耐薬品性、耐紫外線性といった耐久性の低さも問題で、電子レンジにかけられず、長期間使用するものや力のかかるもの、難燃性を必要とするものへの使用は難しい。他の素材を組み合わせたり薬品を混ぜるなどすれば対応は可能だが、生分解性は失われる。
PLAはデンプンを酵素で分解して糖を製造→糖を乳酸菌で発酵させて乳酸を製造→精製→重合という工程で製造されるが、デンプン原料のサトウキビやトウモロコシはバイオマス燃料と競合するため、生ゴミから乳酸を製造する研究がなされている。
一方でアセテートはセルロースが原料であり、木材や藁など食用にならない素材から製造でき、海洋中でも分解する。このため、従来はあまり使われなかった包装容器などにも用途を広げつつある。
関連タグ
セロファン 紙...生分解性のあるプラスチック代替材料としてよく使われる素材。原料がアセテートと同じ。