概要
木材などのパルプから製造したセルロースを溶かして作ったフィルムである。
見た目は透明でプラスチックのフィルムのようだが、原料は紙と同じである。すなわち、紙のように通気性があり、簡単に手で切れ(手切れ性に優れる)、多湿の環境では容易に劣化する。端的に言えば「透明な紙」のような素材である。ただし、加工により耐湿性を持たせているセロファン製品も多く(セロハンテープなど)、通気性を失っている場合もある。
19世紀末に現れた素材で、20世紀前半には包装材として広く使われた。高度経済成長期には安価なプラスチックフィルムの普及により過去の素材となると考えられていたが、優れた手切れ性によるセロハンテープの素材としての需要が根強く、また折り目がつけやすい特性から焼き菓子、薬などを包むのにも適しているため、包装材としてのニーズも完全に廃れることはなかった。
紙やポリエチレンやポリプロピレンのようなリサイクルはできない。その代わりに、紙と同様燃やしても害はなく、微生物により分解する(生分解性がある)ことからプラスチック代替材料として注目を集め、包装材やラベルなどの素材としての需要も復権しつつある。
多彩な色があり、影絵やステンドグラス風のランタンなどに使われることもあるが、高温になると紙のように燃えるので、ろうそくや白熱電球のカバーなどには使用してはいけない。