概要
元々は米国の3Mという会社が1930年頃に荷物の防湿用に開発したものであったが、紆余曲折を経て梱包、補修から紙の簡単な接着の他、ありとあらゆる考えられる様々な用途で幅広く使われるようになった。1929年のウォール街大暴落があったにもかかわらず、前述したセロハンテープが持つ汎用性と、無色透明であることから使い勝手がよく、家庭から企業まで爆発的に広まり本日に至った。
日本ではニチバンと3Mの日本法人が特にシェアの大部分を占める。
ちなみに、ニチバンもその歴史は古く、商号がまだ日絆工業であった時代の1947年に、セロテープの商標を提出して既に製造を開始しており、早くも市場開拓に乗り出していた。
このきっかけを作ったのが、当時日本を統治していたGHQからの要請だった。検閲後の私信を再封函するために利用するセロハンテープが輸入の遅れで調達できないという事態に陥ったため、発注先にニチバンが選定されることとなった。しかし、ひとまず完成した試作品は、合成接着剤が冬場になると急速に粘着力を失うという欠点を抱えていた。
この問題に対してニチバンの技術者たちは、新しい粘着剤の原料に天然ゴムを利用することで解決。翌年の1948年に無事納品したところ、その品質の高さが評価され、GHQの将校たちから大絶賛された。その後も積極的な営業活動で販売路線を順調に開拓。テープが粘着しすぎて剥がれにくいという問題に対しても、下図のように4層の新構造を膨大な薬剤の組み合わせから苦心の末に開発。粘着性と剥離性という相反する特性を両立させた。更に型崩れしないように内側にある紙製の固い巻心を考案したのもニチバンである。また、意外かもしれないがセロハンテープの原料の多くは天然素材であり、セロハンはパルプ、粘着剤は天然ゴム、巻芯は再生紙からできており古くから環境にも優しい製品なのである。
従来のテープ構造
セロハンフィルム | |
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粘 着 層 |
改良された現在の構造
剥 離 剤 | |
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セロハンフィルム | |
下 塗 剤 | |
粘 着 剤 |