CV:日髙のり子
概要
アニメ「ふしぎの海のナディア」のもう一人の主人公。
フランスのル・アーヴル出身。茶色の髪、青い瞳の14歳の少年。
常に眼鏡と蝶ネクタイを身に付けていて、眼鏡がないと足元がおぼつかなくなるほどのド近眼。
科学に夢と理想を抱いており、暇さえあれば発明に明け暮れている。
海で行方不明になった父で商船エリーゼ・ル・アーブル号の船長(ラウル・ロック・ラルティーグ)を、自分が作った飛行機で探したいと思っている。
叔父と万国博覧会に賑わうパリの都に行き、ナディアと出会ったことで物語は始まる。
主要人物では唯一全放送回で台詞が存在する。
いつかナディアを自作の飛行機に乗せ、彼女の故郷であるアフリカまで連れて行くことを目標にする(これに関してはブルーウォーターの導きにより結実せず)。
性格はおおらかで打たれてもへこたれない。温厚で呑気だが思い込んだら一直線となる猪突猛進型で正義感が強く、行動力があり、その勇敢な言動は敵であるガーゴイルも称えるほどである。
女性に対しても積極的で、一目惚れしたナディアに対し積極的にアプローチしているが、女心には疎く、よく彼女を怒らせている。
普段は感情任せなナディアのワガママに振り回されている一方、時にはそれを利用して上手い事誘導するなど、なかなかの策士ぶりを発揮したこともある。
もはや超常的と言えるレベルの発明と才能があり、無人島にある資源だけで、たった一人で(見た目も性能も)サンダーバード顔負けの機械群を短期間で発明してしまうほど(夢オチだが)。
物語中盤、古代遺跡アトランティスを訪れた際に、無数の墓標の一つに父の墓碑銘が記されていた。父のラウルはネオ・アトランティスに船を襲撃され死亡していた事が同船の乗組員であり、墓をつくったエーコーの口から判明する。父の仇を討つためノーチラスの正規乗組員になることを志願するも「戦いは我々がやることで、子供の君がやることではない」とネモは許可しなかった(それでもネモは最後までジャンに同行することは許した)。彼自身も最終話でガーゴイルによって滑落死させられたが、ナディアとブルーウォーターの力によって蘇生する。
エピローグでは、1902年の時点で5年前(1897年)にナディアと結婚、眼鏡まで自分に酷似した男児(CDドラマ「A.D.1901」ではナディアは「ジュニア」と呼んでいる)を、1907年時点ではさらに第2児を儲けているが、婚約のその一年前に事故で記憶を失っている(アニメディア91年小冊子付録短編小説より)。
ノーチラス号乗船中に本人が語ったところによると料理は作ったことがないらしいが、コメディ色が強い「島編」では百科事典で読んだ知識をもとに餃子などを作る場面が描かれている。放映当時、女の子から「ジャンの様な彼氏が欲しい」という手紙がたくさん来ていたらしい(日高談)。ゲームではプレイヤーキャラクターになることが多い。
劇場版ではナディアと同じく17歳。相変わらずの発明三昧の日々を送る。基本的に性格はあまり変わっていないが、TVシリーズよりも若干ワイルド。ファジイに嫉妬するナディアをからかったりと、TVシリーズに比べれば余裕を見せている。
劇場版のノベライズ(小説版の続編で、アニメやCDドラマ・各種アニメ雑誌での設定とはパラレル)では本編終了直後にナディアと共にル・アーヴルに落ち着こうとしたものの近隣の人種差別意識(特にナディアへの悪感情)から来るご近所トラブルに苦しめられる事となり、彼女との(再開を約束した上での)一時的な苦い別れを経験して「強くなる」事を意識せざるをえなくなった経緯がありワイルド化はその影響と考えられる(本当はこの時に故郷に見切りをつけて出ていこうとしていたが、折悪く自分たちに唯一味方をしてくれていたおじさんが闇討ちに遭い、命こそ取り留めたものの動けなくなった事、それによりおばさんを見捨てられなくなった事、さらに「お世話になったおじさんやおばさんからの恩は忘れちゃいけない」とするナディアの説得もあってル・アーヴルに残る事となった)。のちに劇場版の事件によって地元の顔役を味方につける事ができたために、ナディアと共にル・アーヴルに暮らす事が可能となった。
ナディアストーリーズ(こちらも小説版の続編)では、結婚式の直前にナディアに失踪され、グランディスたちと共に消えた花嫁を探す羽目に陥る。紆余曲折を経てナディアとの再会は果たすが出会った彼女からは過去の記憶が失われていた(アニメディア版とは立場が逆転する羽目になっている)。
ナディアを探す過程で、その手がかりと事情を知る、ムー文明の生き残りであるユウリの訪問を受ける。
ユウリから、ナディアがムーの過激派によって命を狙われている事と、それを危惧したムーの穏健派に拉致されて失踪した事、その原因が他ならぬ科学者にして発明家であるジャン・ロック・ラルティーグ自身(の資質)にある事、ムーの最大の懸念はアトランティスの血を引くナディアと優れた科学者であるジャンの血が結び付く事で二人の血から遠い未来に新たなるガーゴイルやギーガーが産み出される可能性が強まる事、などを伝えられる。
さらにはネオ・アトランティスの在り方をつぶさに見ておきながら、なお発明家として活動し、あまつさえ「アトランティスの姫」であるナディアと結婚しようという想いを懐いてしまったジャンに対してユウリは穏やかながらも「何も懲りていないのか」と非難を向けた(ムーはアニミズムと超能力によるサステナブルや人間(工)学を規範としアトランティスとの科学文明とは正反対の価値観を持つ「自然文明」であるため、科学の発展や発明にはものすごく厳しい目を向ける。つまりジャン個人とは価値観の根本が違っている)。
結果ジャンは科学文明と科学者・発明家としての業と原罪をユウリから強く突きつけられて向き合わねばならない羽目に陥り「僕がナディアを不幸にしてしまった。僕のせいでナディアは過去と未来を奪われてしまった。僕にはナディアを愛する資格そのものがなかったんだ」と深い過剰な自責の念を抱える事となる。しかしグランディスらやマリーから「あれほどの苦難を超えて結ばれる二人が不幸になるはずはない」「そんな二人の子だってガーゴイルみたいな考えは抱くはずがない。もしもそんな事になったら私たちやノーチラスのみんなが殴ってでも止めてあげるから心配するな」「ジャンのせいでナディアの幸せや未来が奪われるというなら、ジャンはナディアのためにもジャン自身の手でナディアのためにそれを取り戻す義務がある」と叱咤された上で喝(と活)を入れられ、改めて「ナディアと共に人生の長い道を歩む者」としての覚悟を決めた。
ドラマCDでは、ジャン自身とナディアの4代目の子孫(玄孫)に当たる日本人・伊藤ナディアが登場しており、自身の発明狂ぶりや勉強熱心、少年時代の女心の疎さなどの性格が受け継がれている。
余談
- テーマソング持ちである。