概要
正式名称『「お前には才能がない」と告げられた少女、怪物と評される才能の持ち主だった』。
略称は『才能少女』など。
2020年1月、オンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載を開始。作者はラチム氏。
後にTOブックスから書籍化。既刊3巻。イラストはDeeCHA氏が担当。
コミカライズがコロナEXより連載。東里桐子氏が作画を担当。全2巻。
ひょんなことから英雄パーティに加わり、奴隷のような扱いを受けた末に捨てられた少女が、怪物と評されるほどの埋もれていた才能を開花させ、冒険者として活躍する異世界ファンタジー作品。
あらすじ
冒険者志望の少女・リティはひょんな事から英雄アルディスが率いるパーティ"ユグドラシア"に加わり、弟子入りする。しかし弟子とは名ばかりで暴力や暴言の捌け口にされるだけの奴隷のような毎日。
ついには「才能がない」と告げられて、追放を言い渡されて騙される形で危険な魔の森に置き去りにされてしまう。しかし、アルディス達は知らなかった。少女は英雄の戦いをひたすら見ていた。誰も知らなかった。天才という言葉すら生ぬるい少女の素質は、異能の域に達している事を。冒険者となった少女は、歴戦の猛者達を次々と追い抜いていく。これはフィジカル最強少女の快速成長譚である。
登場人物
主要人物
- リティ
主人公。ド田舎のルイズ村出身の少女。
非常に純粋で真面目な上に前向きな性格の持ち主で、冒険者に強い憧れを抱いていた。
ある日、"ユグドラシア"が偶然ルイズ村に訪れた際、アルディスの気まぐれでパーティに誘われて"ユグドラシア"に加わり、アルディスに弟子入りする。しかし、弟子とは名ばかりの奴隷同然の扱いを受けており、戦いでも武器を持たせてもらえず見るだけしか出来なかった。
ついには追放を言い渡され、必死に撤回を求めると「魔の森で一週間生き残れたら追放は無し」と言われ、武器も無しで危険な魔の森に捨てられる。だが、リティは自分でさえ気付いていなかった今まで英雄達の戦いを見て学んできた観察眼と眠っていた恐るべきフィジカルを駆使して魔の森を生き延びる。そして、約束の一週間を生き延びたが誰も迎えに来なかったことで初めて騙されたことに気付いて怒るものの、すぐに冒険者を目指すことを決意。
その後、以前立ち寄ったトーパスの街に戻って飲食店を営む顔見知りの老夫婦のとこに住み込みで働きながら冒険者となると、驚異的な早さでジョブを習得し、冒険者ギルドの依頼も朝から晩まで片っ端からこなして次々と達成するなど、誰もが一目置く存在となる。
短期間で急激な成長を遂げる驚異的なフィジカル、奴隷同然の扱いを受けながらも全く折れなかった強靭な精神力、すべてを見透かすような恐るべき観察眼など、底が見えない彼女の素質を見抜いた者達から『怪物』と評されて畏怖されている。
- ロマ
新米冒険者の剣士の少女。
天才と呼ばれるほどの素質の持ち主で、数年は掛かるといわれる剣士のジョブの習得を一年で最終試験目前まで迫った。だが、リティという自分以上の怪物と出会ったことで自分の自惚れを反省し、その後も向上心を保って修行に励む。その後、リティと親友となり、友情以上の想いを抱いている。
- クーファ
召喚師(サモナー)の少女。
気弱な性格だが、膨大な魔力の持ち主。幼い頃に両親を亡くして浮浪児となった。その後召喚師ギルドに入って召喚した悪魔と契約し、どんどん冒険者ランクを上げていったが、悪魔との契約で誰とも仲良くすることが出来ず、孤独の日々を送っていた。
- ミャン
リティの召喚した『幻獣ミャーン』。イタチのような非常に長い胴体が特徴。
- アーキュラ
クーファが召喚した水の上級精霊。
ユグドラシア
世界最高クラスの特級冒険者パーティ。全員が最高クラスのジョブを有し、未踏破地帯の"世界の底"を攻略する偉業を成し遂げる。しかし、実際は何度も死に掛けており、運よく攻略できただけであるため、アルディスが怖気づいて他の未踏破地帯に挑むことせず停滞してしまう。
- アルディス
"ユグドラシア"のリーダー。ジョブは世界でも唯一の「超騎士(アークナイツ)」。
元は平民だったが、幼少期から剣術の才能に溢れ、努力せずとも特級クラスにまで上り詰めた天才。イケメンで見た目は勇者といった風貌だが、若くして才能のみでのし上がったため、精神的にはかなり未熟で非常に傲慢で横暴な上、些細なことでも怒鳴ったり暴力を振るうなどかなり下衆な性格。
ルイズ村に立ち寄った時に気まぐれでリティをパーティに加え、仲間とは名ばかりの奴隷のように酷い扱いをしていた。しかし、無意識にリティに眠る才能に感付いていたようで、才能が開花することを恐れて絶対に武器を持たせて戦わせることはしなかった。
"世界の底"を攻略した事により絶大な富と名声を得るが、"世界の底"で挫折しかけたことで他の未踏破地帯に挑んで失敗し名声を失うことを恐れて怖気付き、未踏破地帯に挑まずランクが低い狩場で自己顕示欲を満たすために暴れる始末。それによってバンデラとドーランドに愛想を尽かされてパーティを離脱される。
だが、それによって未踏破地帯を挑まない口実が出来たことで王都に戻り、国王に冒険者の後進の育成を提案して認められると、その権威を笠に着て横暴を極まるが、そこで追放したはずのリティと再会し、自身の転落が始まってしまう。
- ズール
"ユグドラシア"の斥候(レンジャー)。ジョブは「影の斥候(シャドウレンジャー)」。
飄々とした性格で、斥候や暗殺の腕も一流な上、オリジナルのトラップやアイテムの製作している。
アルディスの腰巾着の様に振る舞い、彼をフォローし持て囃すことを欠かせないが、裏では自身のオリジナルアイテムを裏社会に横流ししており、裏社会では顔が広い。
- クラリネ
"やさぐれ聖女"の異名を持つマティアス教の最高司祭の娘。ジョブは「聖女(ホーリーメイデン)」。
パーティの癒し手で、どんな怪我や病も治すことが出来る。
退屈な聖女暮らしに嫌気が差して"ユグドラシア"に加わる。
- バンデラ
"災火"の異名で恐れられる女魔術師。ジョブは「災厄魔女(イレイサーウィッチ)」。
魔法にしか興味がなく、基本的に読書している。
リティの眠れる才能に気付いている様子を見せる。"世界の底"攻略後、他の未踏破地帯を挑まなくなったアルディスに愛想を尽かせてパーティを脱退する。
- ドーランド
獣人と人間のハーフの巨漢。ジョブは「狂戦士(ベルセルク)」。
戦うことを何よりも好む戦闘狂。魔法を使わない単純な戦闘力ならアルディスを凌ぐ。
"世界の底"攻略後、いつまで経っても他の未踏破地帯を挑まないアルディスに苛立ち、ついには見限りアルディスとの決闘で勝利した後パーティを離脱する。