概要
NPB、セ・リーグ所属のプロ野球チーム「中日ドラゴンズ」が、生え抜き選手立浪和義に監督を託して再起を図ろうとしたものの、昔ながらの体育会系のノリに選手が委縮した結果、成績が低迷している様から生まれたなんJ語である。
中日ドラゴンズは落合博満監督体制が終わった翌年の2012年以降、クライマックスシリーズ(CS)出場を逃しており(上位3位入りとなるAクラス自体は2020年に果たしているもののこの年はコロナ禍によるシーズン短縮でセ・リーグのCSそのものが中止)、いわゆる暗黒時代に突入している。状況打破のために『ミスタードラゴンズ』の通り名を持つ立浪和義が(コーチ経験の無いまま)監督へ招聘されたが、シーズン中に主力の京田陽太選手が一軍で結果が残せず「もう戦う顔をしていないんで外した」とコメントして即二軍送りとした。その際に発した「戦う顔」という言葉がやきう民・なんJ民の間で広く共有されてネットミームとして定着した。
折しも、東京ヤクルトスワローズの高津臣吾監督が選手のコンディションや個性を尊重した采配で2022年シーズンをリーグ優勝したため、比較対象としてより言葉が際立つことになった。
余談
立浪監督の「戦う顔」発言は京田の件が初出…ではない。
京田から1ヶ月半前の2022年3月18日、当時高卒3年目の石川昂弥について「戦う顔をしてなかったらやっぱり使えないですよね」と述べており、特に意識せず発言した可能性がある。
経過
立浪和義監督就任
若手の伸び悩みに課題があった与田剛政権からチームを引き継いだ立浪は、在名局CBCの番組にて「今選手にピリッとしたことないじゃないですか、緊張感が。自分にはそう見えます」と語った。また、春季キャンプではプレー中の笑顔禁止令を出して掟縛りによるチーム作りを敢行した。
ただ、以前より上下関係がパワハラレベルとされたPL学園高校野球部出身であることに加え、同校野球部出身の後輩からは揃って「素晴らしい先輩」とテンプレコメントを残してきた素晴らしい実績があり、懸念の声はシーズン前より野球ファンの界隈でも上がっていた。
京田陽太選手の二軍送り
2022年シーズンがスタートすると4月成績は5分5分で、昨シーズンの5位チームである事を考えると上々の滑り出しとなった。また、逆転勝ちするゲームも目立ったので、ファンもこのまま調子が上向きになってくれることを願っていた。しかし、5月4日の横浜DeNAベイスターズ戦で敗戦し、打撃不振だった京田陽太選手を立浪監督は「戦う顔をしていない」として即二軍送りとした。その場にいた岡林勇希選手は「背筋が凍った」とコメントしており、ベンチ内が不穏な空気に包まれはじめた。
京田選手は一軍復帰後、円陣の掛け声で「戦う顔をしていなかったら言ってください」と自虐ネタを入れた。
パワ波留
京田騒動以降も打撃力が回復せず、COVID-19感染者も発生したチーム事情から、立浪氏は高橋周平選手のショートコンバートを実行するもはまらなかった。そのため、立浪氏自らが招聘した中村紀洋一軍コーチを二軍へ配置転換、代わりに波留敏夫二軍コーチが一軍にやってきた。
だが、波留コーチは北海道日本ハムファイターズ戦にてビハインドとなった際に「目を覚ませもっとお前ら!」「いつまで甘えてやっとんねん野球!!」「その気でやらんかい、アホゥ!!!」とテレビ放送の音声に入るほどの恫か...喝で選手を鼓舞し、「パワ波留」という新たなネットスラングが誕生した。
球団OB側・選手サイドは「熱い情熱を選手に伝えているだけ。円陣を組んでる選手は怒られてると感じている訳ではない」と擁護の声が多数あったものの、ホームランが元々少なかった中日ドラゴンズはこの配置転換を受けてから余計にホームランが出なくなった。
根尾昂選手起用方針迷走
6月には根尾昂選手の外野手から投手への登録変更があった。大阪桐蔭高校時代より投手・遊撃手・外野手をこなせる器用さはあったものの、プロ入り後はショート一本で勝負しながら結果がともなわかった。そのため、一時は外野手登録へ変更されていたが、再び投手に登録変更する様に方針が定まっていないと賛否両論が沸き起こった。
きつねダンスとカニダンス
規律正しいすぎるチーム状態はセ・パ交流戦でも一目置かれ、対北海道日本ハムファイターズ戦で社会現象となっていたきつねダンスが選手の前で披露されてもベンチに笑顔はなかった。そのアンチテーゼとして、8月7日の横浜DeNAベイスターズ戦の円陣で昇格したばかりの滝野要選手が岐阜県可児市協賛試合であることとからめてカニダンスを披露した。
カニダンスでチームを盛り上げたかった滝野選手は「捨て身の覚悟でやった」と発言したものの戦う顔をしていなかったためか、シーズンオフに戦力外となってしまい社会人チームへの移籍を余儀なくされた。
2022年シーズンオフ
9月にはチームの最下位が確定。球団ワーストのシーズン26度の完封負けを喫し、チーム得点数は414得点でリーグワースト、12球団で唯一一試合平均得点数が3点以下、チームのホームラン数も62本と最少。投手では上向き調子の選手が見られたものの、打撃陣の成績が昨シーズンと大して変わらず散々な結果となった。
血の入れ替えとしてシーズンオフに入ると、長年主力として尽力してきた平田良介選手や代打で重宝されていた三ツ俣大樹選手、カニダンスの滝野要選手など17名の選手に戦力外通告を言い渡した。
コーチ陣も「パワ波留」が話題となった波留コーチが退団となり、波留コーチはその後オリックス・バファローズへ。後任には中日OBの和田一浩氏が就任した。
また、主力である阿部寿樹選手を東北楽天ゴールデンイーグルスへ、「戦う顔」をしていなかった京田陽太選手を(騒動時の対戦相手だった)横浜DeNAベイスターズへ、それぞれトレードで放出した。
- 立浪体制で厳しく責められた選手の退団に、新たに「脱浪」なる言葉が生まれている。
- 京田選手の「戦う顔」エピソードから、中日・DeNA双方で「戦う顔」をネタにする選手もちらほら。京田選手本人にはファンから「バトルフェイス京田」なる愛称が付けられた(本来は「Fighting Face」とするのが文法的には正しいのだが…)。
立浪政権時代に生まれた、関連する「戦う顔」以外のなんJ語
お前変わらんかったな(お前、変わらんかったな)
京田選手のトレードが決まった際、立浪監督が彼に向かって最後に放ったとされる言葉。そのあまりの語気の強さや緊迫感、そして「お前変わったな」と改変できるなどの汎用性からネタにされた。
京田選手はその後調子を上げ古巣・中日戦で活躍する一方、中日の成績が相変わらず低迷していたことから、立浪監督に対して向けられることも増えていた。
なお、2024年シーズン最終戦、中日の3年連続最下位を決めた決勝打を打ったのも京田選手である。戦う顔をしていないと放出した選手に最下位を決められてしまう、皮肉な結果となった。
もう一人くらい打つ人が欲しい
主力である大島洋平選手が2022年オフの契約更改時に発したもの。発言の数日後に阿部・京田両選手のトレードで投手を補強したため、打つ人が居なくなったことがネタにされた。
現役ドラフトにより加入した細川成也選手が主軸を担ったため、打つ人の数に関してはマシにはなったが、後述の「打つ方はなんとかします」の通り…
打つ方はなんとかします
当該記事を参照。
2021年オフに立浪監督が監督就任時に語った「打つ方は1年間本当に打てないと言われましたけれども、必ずなんとかします」という発言を要約したもの。2021年と比較して、打撃のほうは2022年のほうが低調であるため「打つ方は難と化します」と改変するネタが生まれた。
本拠地であるバンテリンドームの広さを活かした「単打と走塁に主眼を置いた若手育成プログラム」(ネット上では略称で「単プロ」と呼ばれている)があるとされる…という報道が週刊文春でリリースされていたことも、ネタに拍車をかけた。
5位に終わるチームではない(5位で終わるチームではない、5位に終わるチームでない)
こちらはNHK総合、東海地区限定で放送されている「おはよう東海」の2022年1月4日放送分より。
監督就任から間も無い立浪監督へのインタビューの内容を放送。「ドラゴンズに関して言えば、防御率がセ・リーグでナンバーワンっていうところで、とにかく打てなかったというふうに言われるんですけども、5位に終わるようなチームではないと思いますし。」という発言を要約したもの。
しかし任期中の2022年〜24年の3年間、球団初の3年連続最下位で終わってしまい、「有言実行」と揶揄された。
DarkDragons
当該記事を参照。
中日ドラゴンズの暗黒時代を連想させるワードとして、2023年1月に行われた「大学入学共通テスト」の英語(リスニング)問題で登場。
令和の米騒動
当該記事を参照。
2023年8月23日に夕刊フジが「立浪が試合前の食事会場にて白米を食べることを突如禁止した」という内容を報じたのが端緒となる騒動。「中日の野手がパン食を強いられている(=米を食べさせてもらえない)」というネタで、「打つ方はナンと化します」と再び立浪の発言が捩られることに。
ズンゴラド、チュニドラ
いずれも「チュニドラ」の記事にて解説。
中日ドラゴンズそのものを指すワードとして、2023年に生まれた。「ズンゴラド」はある試合前のイベントから、「チュニドラ」は野球実況スレッドから。
竜殺しのタツナミ
「立浪監督が中日ドラゴンズをさらに低迷に追い込んだ」とも取れるワード。
「ノケモノたちの夜」原作の漫画家、星野真氏が2023年9月3日よりサンデーうぇぶりにて連載を開始した新作「竜送りのイサギ」が初出。
死刑執行人として働いており、斬られる人間の記憶を見ることが出来る能力を持つ主人公・櫛灘イサギが、第1話にて罪を得て死刑囚となった将軍・須佐タツナミと交流していたが、「稀代の名将・タツナミ」「作者の名字が星野」そして作中のイサギのセリフ「タツナミの奴、なんで竜を殺したんだ?」…といういかにもドラゴンズ要素満載のネタで話題に。連載開始数日後に「タツナミが漫画化される」という趣旨でなんJにスレッドが立てられた。
星野先生は野球に関しては疎いため、ドラゴンズ低迷と重なって生まれた偶然の産物と言えるが、当の星野先生の反応は…
キックボス
当該記事を参照。
2023年6月16日の交流戦・日ハム戦の試合中、ベンチ裏にあったゴミ箱を蹴り飛ばして裏に消えた立浪監督に対する蔑称。由来は対戦相手である日ハムの監督、新庄剛志の2022年の登録名「BIG BOSS」と、「ゴミ箱を蹴飛ばす」行動から。
替え歌
迷走する立浪監督とチームを揶揄した替え歌が、Yahoo!ニュースのコメント民によって2曲作られ投稿された。それぞれ「タッチ」と「アイドル(YOASOBI)」が元になっており、タイトルは「タッツ」「カントク」。「お米を止めて1秒あなた戦う顔をしたから そこから割れを教えたくなるの 亡命ロドリゲス」「おバカな話題で荒らすメディア 知りたいお米禁止ミステリアス 抜けてる走塁さえお咎めなしで 近藤を見放した君は パワハラ主義のカントク様」という笑いを誘う歌い出しに変えられている。
登場人物
替え歌のMVによく登場する中日関係者。いずれも当時。
- 立浪和義
監督。言うまでもなくレギュラー。
二軍監督を経てヘッドコーチ。立浪とは高校の同級生。
立浪の次に登場する。
一軍打撃コーチ。比較的登場頻度は多め。
ある替え歌で「誰よりも光を放つ」という歌詞で彼の頭部をアップで映した画像が流されていた。
バッテリーコーチ。なぜか片岡とともにセットで登場することが多い。
「タツタツウォッチング」や「Punner」などで、片岡とともにオタ芸を披露していた。
内野手。''替え歌の最大の被害者''といってもいい。
「タッツ」の曲中で「三振の数だけ増えてく周平」と揶揄されており、検索サイトの検索バーに「三振」と入力すると「三振の数だけ増えてく周平」が出てくるといった珍事態もあった。余談だが、元プロ野球選手の里崎智也がYouTubeチャンネルで「三振の数だけ増えてく周平~」と歌う一幕もあった。
その他の選手やコーチも登場することがある。
脱浪
件の京田のトレードの顛末から、立浪中日から別の球団へ脱出した選手に対して使われる。読みは「だつなみ」。
2023年9月8日のFRIDAYでは雑誌の記事名に使われてしまった。どうやら若手を中心に、米騒動のネタも絡んで待遇面に不満を持つ選手が出てきているらしいことが触れられている。
ちなみに、放出された京田・郡司・山本の3選手のほか、2023年オフにコーチを辞任し退団した中村紀洋打撃コーチといった「脱浪組」が満面の笑みを浮かべている写真が撮影されているが、きっと深い意味はないはずである。
中日、いいところなし
2023年4月9日に時事通信社が配信した中日の敗戦記事の見出し。この日中日はDeNAとの試合で先発の福谷浩司が1回6失点と大炎上、さらに打線も振るわずわずか5安打のみ、開幕から間もないにも拘らず8回目の完封負けを喫するという惨状を呈していた。
このことを表現したのが上記の見出しなのだが、2023年の中日はそれ以外にも打線の低迷やジャリエル・ロドリゲス亡命事件、小笠原の145球と立浪への不信感などなど悪い話題に事欠かない状態で、このフレーズが中日の惨状を的確に表しているとなんJで話題になった。
名古屋プーチン
独裁的な権限を行使している(とされる)立浪の蔑称。
由来は中日の所在地とロシア大統領ウラジーミル・プーチン。名古屋名物の地鶏として名古屋コーチンが有名で語呂も似ていたことから、定着した。
2022年のウクライナ侵攻以降独裁色をことさら鮮明にしているプーチン政権を、同じく独裁的な立浪に引っ掛けて揶揄している。プーチンは反米を掲げており、それも米騒動ネタに引っ掛けられた結果、反米主義の独裁者名古屋プーチンなる蔑称が誕生した。
今年は違うって言っているじゃないですか
2024年4月13日、阪神タイガース戦後の監督談話より。
4年ぶりの6連勝で暫定首位に立っていたが、その後低迷し最下位で終了、フラグ発言になってしまった。
類似発言がアニメにも登場
「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる」の作中において、主人公のアルス・ローベントが父親のレイヴンに「アルスよ、お前はまだ戦士の顔になっておらん」と言われ、戦場に行くのを止められるというシーンが登場。
アニメ放送の際、当然ながらネット上では話題となり、「立浪みたいなこと言ってる」「京田を思い出した」という言葉が散見された。