概要
正式名「創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-」
2020年7月11日から発表されており、書籍化とコミカライズ化もされている。
作者は千月さかき。
書籍版はカドカワBOOKSから出版、挿絵はかぼちゃが担当。既刊5巻(2024年現在)。
コミカライズ版はヤングエースUPで連載され、角川コミックス・エースから出版、姫乃タカが担当。既刊5巻(2024年現在)。
かつて勇者召喚が行われた世界において、軍事大国である帝国から追放された『錬金術』スキル持ちの主人公が魔王領で覚醒していく「追放もの」であり、同時に勇者が持ち込んだ「通販カタログ」に載ってあったアイテムの再現をして、それによって魔族領の様々な問題を解決していく、ものづくりファンタジー。
書籍化に際しタイトルが変更されており、旧タイトルは「弱者と呼ばれて帝国を追放されたら、マジックアイテム作り放題の「創造錬金術師(オーバーアルケミスト)」に覚醒しました -魔王のお抱え錬金術師として、領土を文明大国に進化させます-」。
あらすじ
下級官吏トール・リーガスは『錬金術』スキルを仕事で使うも、「力こそが全て」の帝国では全く評価されない。しまいには公爵である父によって魔王領へと追放されてしまう。
トールは魔王領にいるエルフの少女メイベルに身柄を引き渡されたが、それによって『錬金術』スキルは覚醒、最高位の『錬金術』スキルと言われる『創造錬金術(オーバー・アルケミー)』へと進化した。
こうして、魔王領のおかかえ錬金術師となったトールは、異世界の勇者が持ち込んだ本を基にチート魔道具を作成しながら、自分を信頼するもの達と共に魔王領を文明大国へと変えていく。
登場人物
魔族領
- トール・リーガス
この物語の主人公である錬金術師。
リーガス公爵家に生まれながら、戦闘スキルを持たない事を理由に冷遇され、実父バルガ・リーガスの手で魔王領の人質という体で追放されてしまう。
その追放の経緯も13歳の頃に自ら仕事を見つけて実家を出ていき、文官の試験に合格してからは平民として3年間暮らしていたが、職務中にその公爵家の兵士に連行されたというものであった(彼自身も実家と袂を分かつ形で母方の姓であるカナンを名乗っていた)。
しかし「闇」の魔力が強い魔王領に入った事で、自分に授かった『錬金術』スキルは『創造錬金術』へと進化、魔王領が抱える様々な問題をチート魔道具で解決していく。
ものづくりオタク気質な所があり、道具の制作中は周囲が見えなくなる事もしばしば。探求心の塊と言って良いほどに興味がある事には向こう見ずだが、自分の手で作り上げたアイテムを人に使ってもらう事に喜びを覚える。
帝国にいた頃には文官の仕事(書類整理やアイテムの修理と補修)をしながら自分の工房を開く為の資金を稼ぎ、『錬金術』を極めて生活に便利なアイテムを作成しようとしていた。
戦闘力を重視して戦えない者を差別する帝国とその方針に心酔する公爵家の人間達には辟易しており、それが「自分がいる所をいつか強さなんか無意味な場所にする」という志を抱いている。
当初は城についた後に魔王領から密かに抜け出そうとしたが、魔王領の人たちが自分を丁重に扱った事や自由が保障される事、何よりメイベルのおかげで錬金術師としての仕事の楽しさを認識させてくれた事で考えを改め、自分の力で魔王領を良くしようと決めた。同時に、勇者の世界を超えるマジックアイテムを作る事を目標としている。
- メイベル・リフレイン
人間を祖母に持つエルフの少女。長い銀髪と菫色の瞳、エルフ特有の長い耳が特徴で、魔王ルキエの元でメイドとして従事している。
魔王領の人質として追放されたトールを迎え、彼を案内する途中でとあるアクシデントで母の形見である『水霊石のペンダント』を壊してしまうが、トールの『創造錬金術』による修復で完全な形に戻す事ができた。
両足に水の魔力がたまったのが原因で体内の魔力循環が滞っている上に、冷え性を患っていた(これは祖母が人間であることが関係している)。
とりわけ魔力循環の滞りのせいで魔術を使う事が出来ず、魔術を得意とするエルフ達に差別されてしまった(幸いにも料理や家事の才能はあったのか幼馴染である魔王ルキエに拾われて事なきを得たが、それでも当初は魔王城の者たちに心を開くにも時間が掛かり、漫画版では悪夢という形で苦しめられていた場面があった)。
また、冷え性に関しても魔王領の様々な治癒術師が診ても治す事は出来ず、常に分厚い靴下を履いて過ごしていたが、トールが作った『フットバス』によって冷え症と魔力循環は改善、魔法を使用する事が出来た。
トールに対しては人間と異なり自分たち魔族や亜人を恐れたりしない事に加え、母の形見を完全な形で修理し、体内の魔力循環を改善させてくれた事から信頼を寄せている。
その事もあってか、ケルヴからトールの監視役と世話役を命じられると嬉しそうな様子で感謝していた一幕も。
- ルキエ・エヴァーガルド
魔王。
黒いローブを纏い、顔を覆う銀色の仮面を付けているが、本当の姿は金髪と黒みがかかった赤い瞳をした15歳の美少女で、それと比較しても小柄で細いものとなっている。
最も強い『闇の魔力』の持ち主であり、結果的にこれがトールが作成しようとしたアイテムのとある問題を解決させた事も。
帝国から来たトールにも分け隔てなく接し、それぞれの種族に能力が発揮できる仕事を配置させるなど、トールからも評価されるほどの合理性を有している。
幼少時から両親に魔族の歴史(後述)を何度も聞かされていた事から、彼女もまた人間に対して驕りを抱かず帝国の動向に関しても慎重な性格をしており、人間と勇者の戦いで散った魔族の為に人間から学ぼうとしている。寧ろ、帝国を侮るような発言をした者に対しては激しい怒りを顕にしている。
父である先代魔王が若くして死んだ事から幼くして魔王の位に就いたものの、身体の成長が遅いという問題を抱えていた。魔術ならば魔界領において右に出る者はいないものの、当人はその姿では帝国に張り合えない事や、まだ多種多様な種族のいる魔王領を治めるのは難しいと自覚しており、成長するまでの措置として『認識阻害』が備わったローブと仮面を付けて魔王としての威厳を保っていた。
そんな折に『小型置物(異世界風)』に入ったせいで事故に近い形でトールの前に姿を現してしまうが、見くびるような事を全く口にしなかったトールを信頼し、幼馴染のメイベルと並んで心を許せる相手として接するようになる。
- ケルヴ
魔王ルキエの側近である青髪の男性。
帝国がトール・リーガスを寄越した事について「帝国が愚かで、彼の能力を理解できなかった」と推測していた(後述するようにそれは正解であるが、人間に対して慎重になる魔王ルキエに否定される形で一蹴されてしまった)。
魔王領の宰相は代々勇者についての情報を口伝として受け継いでおり、彼もまた勇者としての知識を持っているが、トールの創ったマジックアイテムの性能に驚愕し、その度に行動がバグる。
- ライゼンガ・フレイザッド
炎のように赤い髪と2メートル弱もの筋骨隆々とした巨躯を持つ『火炎将軍』。
見た目の通り、武闘派として魔王城でも有名で、強さを重んじている。ただし、登場当初よりルキエの「人間に学ぶ」という姿勢に理解を示すなど、帝国のように武闘一辺倒に寄り切った考えをしているわけではない。大昔の魔王から火炎山の砦を任され、異世界の勇者と激闘を広げた自身の先祖『火炎巨人(イフリート)』を尊敬している。
武将といった出で立ち・性格に相違ないが、同時に大層な子煩悩であり、娘・アグニスを溺愛している。彼女の生まれ持った火炎巨人の特性に父として頭を悩ませていた。
当初は戦闘能力を持たないトールに対して厳しい態度を取っており、更にはトールが愛娘に手を出したと誤解して激怒したが、『健康増進ペンダント』を身に着けたアグニスによって止められた。
- アグニス・フレイザッド
火炎将軍・ライゼンガの娘。15歳。赤い髪と褐色肌をしている。
性格は父に似ず優しいが、常におどおどしており、「~~なので」と接続詞で言葉を切ってしまう特徴的な喋り方をする。
彼女もまた火炎巨人の血を受け継いでいたが、その血が強く出過ぎたせいで『火の魔力』に覚醒した時は常に身体から炎を発してしまう特性を生まれ持った。
この特性のせいで衣類と言った火炎耐性が無い物は燃えてしまい、さらには感情が高ぶると炎が強まってしまう為、他者に近づけばその炎で火傷を負わせてしまう危険性がある。幼少期の頃に『火の魔力』が覚醒した時に暴走した炎で友達のメイベルを傷つけた事がきっかけで、自分の炎で傷ついてしまう事の無いようにとメイベルを始めとした他者と距離を置き、普段は一族の家宝である『火炎耐性の鎧』で過ごすしかなかった(火属性を抑え込む地属性で重ねがけした代物であるが、その鎧であってもやっと制御したものであった)。とはいえ、昔は自分のような境遇の者が20歳前後で炎を抑え込む事が出来たが、それでもあと5年の歳月をかける必要があった。
その事もあってか『火の魔力』は魔獣の討伐にしか使い道がなく、帝国との共同作戦により領地に戻らなければならない為、諦める選択を取りかけたが、トールが作ったアイテム『健康増進ペンダント』で炎の制御に成功。ようやく普通の服を着る事が出来た上に、疎遠になったメイベルとの関係を修復するに至った。
ドルガリア帝国
- バルガ・リーガス
トールの(血縁上での)父親。髪を後方に纏めた髪型と頭部と頬に刻まれた傷跡が特徴。
『剣術』と『格闘』スキルを有しており、ただ拳を叩きつけただけでも机を破壊している。
最強を目指して競い合う事を至上とし、他のやり方など必要ないとまで信じている。(後述の理由で)トールの業務であるアイテムの修理や補修、さらには新しいアイテムの作成に理解を示さないなど、ドルガリア帝国のやり方を絶対視している(これは衛兵隊長や執事にも同じ事が言えるが)。また、リーガス公爵家は剣聖であった先祖を持っている事からリーガス公爵家は全ての国民や他の貴族の見本とならねばならないという考えを持つ。その為、戦闘スキルや攻撃系の魔術を持たないトールに対しては侮蔑し、魔王領に追放させる際には「死んでもいい人間」と言い切る程にかなり嫌悪していた。
さらに病的なまでにトールが人前に出る事さえも嫌っており、裏で手を回してトールが錬金術師の工房を入らせないようにするだけでなく『トール・リーガスの名前が表に出ないように仕事内容や成果が、公爵や他の貴族の目に付かぬように(意訳)』と命令させて報告や記録が出来ないようにさせていた。その結果、トールがこっそりと『錬金術』スキルで周囲を支えたことを把握できないまま、魔王領へと追放させる失態を犯した。トールが担当していたリアナの持つ魔法剣の修理が中途半端になり、「見た目を直せばいい」と引き受けた事で(当然、修理を引き受けた錬金術師も「見た目を整えるだけの修理」と公爵家執事にサインさせた)、その持ち主であるリアナの怒りを買ってしまった。
- リアナ・ドルガリア
帝国第三皇女。桜色の髪と青色の瞳をした美少女。16歳。
リーガス家に魔法剣の修理を依頼したのだが、実質いい加減な形で修理をした事で魔物の戦いで魔法剣が折れてしまい、自らも命の危機に晒されてしまった(なお、仲間がかばったので大事に至らなかった)。その事で帝都の迎賓館で開かれたパーティーで当主であるバルガ・リーガスに失態を告発した上で追い出した。
トールの存在を直接的には知らないが、間接的に自らの魔法剣の修理に携わった事を知り、彼を手元に置けないかと考えている。しかし、ドルガリア帝国中枢部の人間らしく、道具のように扱えないかという考えである為、魔王ルキエには強い反感を抱かれる。
この自分も含めて人間を道具として扱う考え方は、軍務大臣兼リアナの教育係であるザグランによるものと判明。自身の失敗やザグランの失脚、敬愛する姉ソフィアもザグランの策で魔王領と隣接する町「ノーザ」に飛ばされる等、様々な経験を経てこれまでの在り方から脱却しようと成長を見せる様になる。
用語
- 魔王領
かつて人類の敵だった魔族と亜人が住む国。帝国の北にある森の向こうに位置している。
数百年前において、魔王は魔族を従えて南の地に進行するも、人間が異世界から勇者を召喚した事で撃退され、人間の領土から追い出されてしまう。
人口こそ少ないものの、魔王領の方針によりそれぞれ得意な分野で能力を発揮できるような仕事をしている事から、暮らしぶりを見れば寧ろ帝国より上である。
あらゆる種族が共存しており、魔王城の浴室でもそれぞれ細かいルールが設けられている。その一方で魔王領でもたまに争い事が起きている。
帝国から来る者を使者や客人として歓迎している一方で、二度目の異世界からの召喚で魔王領が滅びる事がないようにと、人との交流を通じて最新の知識を得ている。
- 魔力
光・闇・地・水・火・風の基本6属性の魔力が存在する。
領域によってそれぞれの魔力の強弱が異なっており、例を挙げるなら人間の領域は「光」は強く、「闇」は弱い(魔族領はその逆)。
- 魔石
上記6大属性の魔力を宿した石。
自然界や魔獣の体内で見つかる事が多く、使い様によっては武器になれる事も(劇中ではそれを利用した盾も確認されている)。
- ドルガリア帝国
トールが元いた帝国。
武力によって領土を拡大しており、初代皇帝は勇者と共に戦った伝説がある。それが貴族から平民まで一様に戦闘能力を至上としており、国としても軍事に資金を注ぎ込んでいる。だがそれ故に貴族でありながら戦闘スキル(並びに攻撃系の魔術)を持たない者は徹底的に見下される対象にされ、帝国において「戦闘能力を持たない者は存在価値さえもない」と揶揄されるほどに風当たりが強い(文官は、武官にも兵士にも冒険者にもなれなかった者が就く職業である事から立場は下っ端となっている)。当然、錬金術師の地位は不要物と扱われるほどに下降してしまい、そのせいで人材の育成がままならず、勇者の時代において存在した魔法剣修復の技術も今ではほぼ喪失してしまった。
そういった武闘一辺倒に傾いた考えに染まった弊害か、帝国の魔術団も攻撃魔術一辺倒であり、魔力循環はおろか魔力が健康に関わるといった発想がなかった。また、建造物などの整備は後回しにしており、貴族や富豪の家はともかく文官の宿舎や庶民の家はあばら家同然の状態となっている(如何なる理由か建物の修理に『錬金術』の使用が禁止されており、施設を補修をするにもわざわざ許可を取る必要があった)。総じて、悪い意味で「力こそがすべて」な国家と言えよう。
定期的に魔王領に人質や生贄を送り込んでいるが、全て行方不明となっており、誰一人も帰っていない。これは、人間が魔族や亜人に対して嫌悪と恐怖心を抱いており、魔王領の地を足を踏み入れたら魔獣が襲う、凶悪な獣人が人間を攫うと言った身も蓋もない噂が広まっている為、生贄にされた者はそれを恐れて魔王領からこっそりと逃げだしていたのが真相であった。
魔族領もそれに思う所が有ったらしく、宰相ケルヴがトールに対して「自分が作ったものを魔王領の……人ならざる者が使うことに、あなたは抵抗はないのですか」と問うた。
- 勇者
ファンタジー作品ではお馴染みの勇者。
本作では人間と魔族が争っていた時代において、人間側に「魔族に立ち向かう切り札」として『チキュウ』と呼ばれる世界から召喚された。
強力なスキルを使いこなし、自ら進んで魔獣と戦ってスキルやレベルを上げるなど「怖いくらい」に最強を目指していた。
それによって桁外れなまでに強くなった勇者は魔王を打倒し、人間側に勝利を導いて魔族と亜人たちを北の地へに追いやった。それに満足したのか『チキュウ』に帰還し、それ以降は勇者召喚は行われていない(と言うよりは、召喚の儀式を行っても勇者が来なくなったと思われる)。
しかし、大陸で使われている距離や時間の単位は勇者が伝えたものであり、ドルガリア帝国も勇者の「強さへのこだわり」に染まる形で「力こそ全て」という考えに至り、逆に敗北を喫した魔族と亜人は人間から技術や知識を学んでいくなど、様々な所で大きな影響を及ぼしていた。
一方で、『俺超すげー』と威張る癖があり、下記の通販カタログを始めとした『チキュウ』の本を自慢げに渡していたが、その言葉通りに世界を変えてしまった事から「勇者はすごい」が常識となっている。
- 魔法剣
帝国の武器。
所謂普通の剣と修理方法が異なり、錬金術スキルを用いて素材そのものに干渉させ、刃を構成する金属に『火』や『地』等の属性を付加、周囲の金属と属性が同じになるように錬成、繋ぎ合わせる必要がある。もし損傷した箇所に金属片をただ継いで修理した場合、その部分が魔力の流れを遮ってしまい、剣そのものが崩壊してしまう恐れがある。
- 創造錬金術(オーバー・アルケミー)
無から有を生み出すスキル。物質の精製・合成・加工を行う『錬金術』スキルの最高位でもある。
このスキルに覚醒するには、光・闇・地・水・火・風の基本6属性の魔力が条件となっている。
アイテムの外見・効果・能力についての情報さえあればそれと同等のアイテムを作成する事が可能であり、下記の通販カタログで真価を発揮している。
また、物質を変化させる特性があり、素材とみなしたものは自由に変化させる事ができ、このスキルを起動した状態で金属製の盾に触れると粘土のように柔らかくなる。
しかし、素材や技術が不足した場合はオリジナルの細部まではコピーすることは出来ない事も。一方で、異世界の魔力についての知識に触れれば、それを習得することが出来る。
魔力から物質を生み出せる『素材錬成』、対象の物質に好きな属性を付加できる『属性付加』、対象のアイテムの効果・素材・効果を鑑定する『鑑定把握』といったスキルが使用できる。
- 通販カタログ
異世界の勇者が持ち込んだ本。
異世界におけるアイテムが記載された写真があるが、それを説明する文章が勇者が元いた世界である『チキュウ』の文字である為、魔王領の者達には読む事ができない。
しかし『創造錬金術』スキルに覚醒したトールはこれを解読でき、それに載ったアイテムを再現する事でとんでもない性能を持つ魔道具を作り上げる事となる。
『フットバス』『風水のペンダント』といった現実味のあるアイテムが記載されているのだが、記されている誇大広告を魔法にちなんで再解釈し、加えて「勇者が凄いのなら、その勇者がいた世界(『チキュウ』)のアイテムもきっと凄いはず」が頭にあるトールの『想像錬金術』スキルで超強力な魔道具へと変貌させてしまう、というのがお約束。
勇者世界のアイテム
勇者が元いた世界『チキュウ』の通販カタログに記載されたアイテム、並びにそれを元にトールの『創造錬金師』スキルで再現されたコピー品。
なお、トールであっても勇者世界の文明レベルが隔絶している為、全く同じものを作るのは不可能であり、魔力と魔石で似たような効果を生み出すモノを作り出している。
フットバス
属性 | 火・水・風 |
---|---|
レア度 | ★★ |
物理破壊耐性 | ★★★ |
耐用年数 | 25年 |
材料 | 『桶』『風の盾』『炎の盾』 |
冷え性を改善させる健康グッズ『フットバス』を『創造錬金術』スキルで再現したアイテム。
倉庫に保管された桶と、魔石が内蔵された『風の盾』と『炎の盾』(内部の魔術機構は既に故障)を『創造錬金術』スキルで錬成した。
フットバスに入っている水を『火の魔石』で程よい温度まで温め、『風の魔石』で『フットバス』内に細かい泡と激しい水の流れを作り出していく仕組みとなっている。これによりメイベルを苦しめた冷え性と魔力循環の滞りは治ったが、ケルヴは水に『熱』を意味する『火の魔力』と『循環』を意味する『風の魔力』を溶け込ませた事で、『水属性』を持つエルフのメイベルの身体中に熱を循環させ、冷え性や体内魔力の循環を改善させることが出来たと推測している。
また、魔石を取り外された盾の部分が金属の素材として桶に吸収されたのか、物理破壊耐性は「魔法の武器でないと破壊できない」程に優れており、耐用年数も25年と長い。反面、魔石は消耗品である為、年に一度という単位での交換が必要となっている。
小型物置(異世界風)
属性 | 地・風・闇闇闇 |
---|---|
レア度 | ★★★★★ |
物理破壊耐性 | ★★★★★ |
耐用年数 | 100年 |
材料 | 『金属塊』 |
あらゆるものを収納する『小型物置』を『創造錬金術』スキルで再現したアイテム。
倉庫にあった盾と鎧や金属製品を『創造錬金術』スキルでやわらかくした金属塊を『創造錬金術』スキルで錬成した。
強力な『闇の魔力』により内部に別空間を作り出し、『風の魔力』によって別空間内に空気を生み出し、『地の魔力』によって別空間を固定して封じ込める仕組みとなっている。
当初は、トールが魔王領に訪れたばかりだったのか、このアイテムの作成に必要な(『地の魔力』と『風の魔力』はともかく)『闇の魔力』が不足していたが、魔王ルキエがトールの元に訪れた事でその『闇の魔力』を充分に取り込む事ができた。
内部にアイテム収納のための別空間を宿した物置であり、異世界の勇者の『収納ボックス』と同じ能力を付加している。高さ、幅、奥行きは全て1.2メートルで入口はそれより小さいながらもその内部は巨大な空間となっており、トールの見立てでは魔王城の敷地ぐらいはあるようだ。
収納した食物・水などを、劣化させずに保管できる上に、レアアイテムを感知すると自動的に収納・分類する「アイテム自動整理機能」があるのだが、ルキエが身につけていた認識阻害の『ローブ』と『仮面』を自動的に回収してしまい、ルキエの正体がトールに知られるというアクシデントに見舞われた。
魔王領に置いておけば自動的に闇の魔力を吸収する為、実質魔石は不要である。素材が盾と鎧と金属製品を元にしたからか、物理破壊耐性も高レベル魔法でないと破壊できない程に優れている他(そもそも高レベル魔法であっても、アイテムを内部空間に収納させた場合は効果がない)、耐用年数も100年とかなり長い。しかし技術と素材の問題からか、勇者世界の小型物置にあった「雨水を流すための溝」と「鍵穴」の再現はできなかった。また、『収納ボックス』と違って「果て」がある為、アイテムを収納できる容量も無限ではない。
『小型物置』を作った後に、念の為に手の平サイズに小型化された『携帯用超小型物置』を制作した。能力も普通の『小型物置』と同じで、むしろ手持ちが出来る分、即座に取り出して火炎を吸い込める実用性の高さを見せた。
健康増進ペンダント
属性 | 木・火・土・金・水 |
---|---|
レア度 | ★★★★★★★★★☆ |
物理破壊耐性 | 不明 |
耐用年数 | 100年以上 |
材料 | 『金属塊』 |
勇者世界の魔力概念を基に、『健康増進ペンダント』を再現したアイテム。
ペンダントには五行に対応する四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)と麒麟が刻まれているが、流石にトールでも分からなかったのか、既に存在する魔物を基にトレースしていた。
装着者が持つ一つの魔力を五行に基づいた5種類の魔力へと変換し、これを装着者の健康と心身の強化に回していく(これは勇者世界の通販カタログを見たトールが「体内の気の循環」を「魔力の属性が変換される」と解釈した事で、そういった効果になったと考えられる)。
変換された魔力は属性ごとに効果を発揮し、『木の魔力』は「しなやかな生命力」を、『火の魔力』は「活動的なエネルギー」を、『土の魔力』は「安定した力」を、『金の魔力』は「強固な力」を、『水の魔力』は「柔軟性のある力」を与える。
アグニスにこれを身に着ける事で制御し切れない『火の魔力』を他の属性に変換させる形で抑える事が出来、自らの炎で衣服や周囲の者達を燃やさずに済んだ。更には装着者の魔力が強ければその効果をより高めていき、ある事情で怒り狂ったライゼンガの一撃を片腕で抑えるだけの膂力を発揮した。
物理破壊耐性も不明と記されているが、これは敵対者の攻撃を受けるとその魔力を吸収・変換するので破壊できるかはわからない事を意味しており、耐用年数も百年以上と相当なまでのモノとなっている。
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関連タグ
リビルドワールド:角川系で出版、カクヨムでも掲載等の類似箇所あり。