概要
追放ものの作品。正式名称:ようこそ『追放者ギルド』へ ~無能なSランクパーティがどんどん有能な冒険者を追放するので、最弱を集めて最強ギルドを創ります~
原作既刊2巻
コミカライズはドラドラふらっと♭にて連載。
既刊5巻(2024年6月現在)
メソポ・たみあ(原作)
U助(キャラクター原案)
荒木佑輔(作画)
あらすじ
追放ブーム。世の中ではそんな言葉が流行っている。
〈ステータス・スカウター〉という能力を数値化&視覚化してくれる便利アイテムが登場したことで、世間では高ランクのパーティがステータスの低い仲間を追放することが流行となっていた。
ギルドマスター育成学校を卒業したアイゼンはステータス偏重主義の世間に疑問を抱いており、尚且つ【鑑定眼】という〝隠しスキルを見抜くスキル〟を持っていた彼は、無能と称され追放された冒険者たちが貶される追放ブームへの反抗心を募らせていく。
目の前で今まさに少女が追放されようとしているのを見たアイゼンは「追放された者を集めた新興ギルドの起ち上げ」を決め、追放された冒険者を次々と雇用。
アイゼンの新興ギルドには数値で測れない有能な者たちが集い、やがてギルドの名を世界に轟かせていく。
逆に、メンバーを引き抜かれたSランクパーティやステータスの数値しか見れない者たちは転落と失墜の道を辿り、本当の無能は誰なのか思い知ることになる……
「その子を追放するんですか?じゃあ『ウチ』が貰いますね」
作品解説
俗に言う「追放もの」作品の1つだが実際は
- 『ステータスの低いメンバーを追放する事がブームとなっている』
- 『その中で特に理由も無しに「ブームに乗ってみた」とメンバーを追放するパーティーが登場する』
- 『追放した側とされた側の和解が書かれる(3人中2人が書かれた』(その1つが上述の「ブームに乗っただけ」の者達だが作中では『騙された』となっている)
- 『禁断の魔術を習得していたり、隠しスキルの存在を知っていながらそれを秘匿して暗躍したり、利益を得ている者達がいる』
とテンプレートをなぞりながらつくられた風刺作品と言える作品である。
登場人物
追放者ギルド
- アイゼン・テスラー
隠しスキル | 能力 |
---|---|
鑑定眼 | 対象者の隠しスキルを見抜く |
主人公。「追放者ギルド」のギルドマスター。
幼少期から他の人には見えない「隠しスキル」が見えていたことにより、ステータスのみによって決まる追放ブームを快く思っておらず、自身の隠しスキルをもってそのブームに反抗するべく追放者ギルドを創立した。
エンシェント・ドラゴンゾンビとの死闘を終えてからは実績と功績が冒険者ギルドの壮大であるジェラークに認められ、殉職したヴォルクの後任として四大星帝(クアッド・マスターズ)の一人に選ばれた。
ギルドマスター育成学校時代、からかってくる同級生と喧嘩になることがよくあったことで、それなりに戦闘力はあるが、魔物と正面から戦えるほど強くはない。
朴念仁で周囲の好感度には無頓着。
- ヴィリーネ・アプリリア
隠しスキル | 能力 |
---|---|
超第六感 | 対モンスターの出現位置や弱点、トラップなどを予知できる |
物語冒頭において「追放」された、Sランクパーティ「銀狼団」元メンバーで金髪ロングの美少女。ステータスの低さを理由に追放されたところをアイゼンが迎え入れ、最初のギルドメンバーとなった。性格は礼儀正しく温和だが、悪事を決して許さない正義感と自分がされた仕打ちを受けても心意気を汲む慈悲深さを併せ持つ。
ステータスが低いとは言うものの、Aランクパーティとして戦っていた経験から、戦闘能力は極めて高く、ギルド内のメインアタッカーである。愛用の武器は細身のレイピア。
- マイカ・トライアンフ
隠しスキル | 能力 |
---|---|
巫の祝福 | 1度の戦闘で味方一人への攻撃を3回まで無効化する |
Sランクパーティ「アイギス」の元メンバーにして、2人目の追放者ギルドメンバー。
ケモ耳の魔術師。
本名はマイカ・シロカネ。極東の王族である「シロカネ一族」の巫女の長姉であり、妹がいる。しかし妹との「巫の祝福」の能力差を周囲に比べられるなど、役立たず扱いされていたため出奔。アイギスメンバーとして活動していた。
ヴィリーネと同じく所属していたパーティーをステータスの低さを理由に追放されたところをアイゼンが迎え入れる形で加入した。
王族出身なだけに普段の振る舞いは気の強いお嬢様に見えるが、心根は優しい。
隠しスキルを含めた多彩な魔法による戦術を得意としており、アタッカーとしてもサポーターとしても非常に優れている。実家に籠りっきりだった時には様々な書籍を読み漁り、Sランクパーティーに所属していた経験もあってか、知識は豊富で世情にも明るい。
- コレット・ハクスバーナ
隠しスキル | 能力 |
---|---|
受け継がれし不屈の心 | HPあるいはスタミナが一定値以下に減少した場合に発動。攻撃力が極大強化され、相手の素質・特性によるダメージ低下/無効化の一切を無視する。また1対1の戦闘に限り、相手がこちらよりも大幅に強かった場合にのみ攻撃が〝一撃必殺〟へと変化する |
Sランクパーティ「トールハンマー」の元メンバーにして、3人目の追放者ギルドメンバー。
隠しスキルはないが、高い肉体能力を持ち、愛用の武器は背丈よりも大きいハルバード。
明るい性格で、根性と元気が取り柄と言っているが、ヴィリーネやマイカとも早い段階で打ち解けるくらいに社交性のある人柄をしている。「〜っす」という口癖がある。
追放者ギルドに仮入団したサルヴィオに稽古を付けてもらう中、彼の破天荒だが真摯な指導でスキルに目覚めつつある。アイゼンが不在の中でエンシェント・ドラゴンゾンビが復活しデイトナを襲う事態の中、未判明だった隠しスキルが顕現し、最後の力を振り絞って倒す事に成功した。
- サルヴィオ
隠しスキル | 能力 |
---|---|
屈強な肉体 | 攻撃力と防御力を基礎ステータスから1.4倍にする |
Sランクパーティ銀狼団リーダーにしてヴィリーネを追放した張本人。
追放直後に高難易度ダンジョンに挑み、パーティは壊滅した。
その後は猛省し、アイゼンのギルドに入れて欲しいと頼み込み、コレットを鍛えるという課題を与えられる形で仮入団する。
登場当初は傲慢で身勝手な人間性をしていたが、パーティ壊滅後には自分の犯した過ちがヴィリーネを始めとする他者が頭ごなしに追放される気持ちや追放を命じる人間がどれだけ醜いかを痛感し始めた。追放者ギルドの一員になってからは自ら性根を入れ替えており、口は悪いがコレットを一切見捨てる事無く修行に付き合い、ヴィリーネとの蟠りもいくらか消えている。
エンシェント・ドラゴンゾンビが復活した後は人命救助に当たる中、はぐれた少女をコレットと共に探して見つけ出すも、ヒルダに騙され功名心に駆られたクレイに斬り裂かれてしまう。後にエンシェント・ドラゴンゾンビに立ち向かうも、力及ばず瀕死の重体となってしまう。辛うじて息を繋ぐ中でアイゼンにコレットが隠しスキルに目覚めている事を暗示させ、逆転勝利の一助を担った。
後に奇跡的に生存するも、左眼は失明した上に肺を中心に内臓に酷いダメージを負ったために冒険者を引退せざるを得なくなるが、アイゼンらから新しく入った新人冒険者の教官になる事を進言されてこれを受け入れ、正式にギルドメンバーの一員となった。この時、猜疑心を抱き気味だったマイカや大きな蟠りを残していたヴィリーネから赦された。
コミカライズのオリジナル続編では呪いをかけられていたことが判明し、その解除の為に他メンバーとカガリナ共々シロカネの里へ出向くことに。その際、乗り物酔いしやすい体質であることも発覚した。
好みの女性は、50歳以上で少し背が低く、母性の中に少女っぽさが残り、さらに知性的で気が強くてミステリアスな雰囲気をもつ美魔女。
左の男性の方
冒険者ギルド「アバロン」
- カガリナ・カグラ
隠しスキル | 能力 |
---|---|
動物会話 | 動物と意思会話ができる |
デイトナの街にある冒険者ギルド「アバロン」のギルドマスターの一人娘にしてアイゼンのギルドマスター育成学校の同期。赤いショートヘアでスタイルが良い。
現在は同ギルドの受付をしており、たびたびアイゼンの無茶振りに呆れながらも応えるなどしている。自分の隠しスキルを認めてくれたアイゼンに好意を抱いているが、それをからかわれては否定しまくっている、所謂ツンデレ。
ハリアーという鷹を飼っており、アイゼンに対するバレバレな恋心をからかわれている。
冒険者とは近しい距離感で接する事を好む明朗快活な性格をしており、ギルドマスターにして実父であるライドウとも友達のような感覚であるものの仲が良い。
- ライドウ・カグラ
カガリナの父親でありアバロンのギルドマスター。また、四大星帝(クアッド・マスターズ)の一人。
現役時代は「霹靂の大狼」という異名をもつ冒険者だったが、現在はギルドマスターの一人として後進の育成に努めている。
雷を纏った状態で放つ「雷刃」という技を有する。
成人した娘がいるとは思えないほどに精悍かつ若々しい容姿だが、若干陽気ながらも冷静沈着で理性的な人格者であり、娘の同級生で確固たる信念を持つアイゼンの事を常に気に掛けている。同じ四大星帝(クアッド・マスターズ)であるヴォルクとの仲は険悪であるが、冒険者としての気概は認め合っており、彼がエンシェント・ドラゴンゾンビとの戦いで死亡した後の墓に赴いた際は手向けの酒をかけている。
冒険者ギルド「ヘカトンケイル」→-(コミカライズ版)
- ヴォルク・レオポルド
ヘカトンケイルのギルドマスターであり四大星帝(クアッド・マスターズ)の一人。「望蜀の獅子王」という異名を持つ。
武闘派の実力主義で「弱肉強食」をモットーとしており、幼少時に故郷を滅ぼしたドラゴンを目撃して以来、相対を臨んでいた。
獅子のような荒々しい風貌に違わず、性格は武骨で傲岸不遜な人物であり、弱者や成果を挙げられない人間には非常に厳しく、そのせいで他の四大星帝(クアッド・マスターズ)との折り合いが悪い。実際、追放ブームを肯定するような発言をしては、ドラゴンを倒した経験のあるクレイ率いる「アイギス」がアクア・ヒュドラの討伐に失敗した事を知るや否や、あっさり見切りを付けている。
原作ではそこからフェードアウトしたが、コミカライズ版ではエンシェント・ドラゴンゾンビが復活した際は大勢の冒険者を引き連れて迎撃し、自らも相対する。一時は勝利したかに見えたが、エンシェント・ドラゴンゾンビの不死の能力を前に殺されてしまう。
そのためヘカトンケイルは事実上壊滅となり、遺体はライドウによって弔われた。
- クレイ、サイラス
ヘカトンケイル所属のSランクパーティ「アイギス」のメンバー。順にアタッカー、タンク。
クレイ曰く、「ドラゴンを倒せたのはサイラスの防御力(更にはマイカの隠しスキル)あっての事」とヒルダに打ち明けている。
ドラゴンを討伐し、「竜殺し」の異名をもつが、アクア・ヒュドラにサイラスを一撃死させられ惨敗する。ヴォルクに失望されたクレイが情緒不安定になっているところをヒルダがサイラスをアンデッドにして復活させ、彼女に騙される形で「エンシェントスカルドラゴン」を覚醒させる行動をやらかした。それからエンシェント・ドラゴンゾンビを倒して自らが英雄になろうとしたが、ヒルダに騙される形で失敗し、あっけなく殺された。
- ヒルダ
ヘカトンケイル所属のSランクパーティ「アイギス」のメンバーにして、魔術師(死霊使い)。
死体を操るだけに、死亡した人間を『アンデッド』として自分の意のままに操る能力を持っており、亡骸のサイラスを自分の手駒にしている(クレイ曰く、「アンデッドをギルドにおくのは追放どころでは済まない」との事)。
見た目はミステリアスさを感じさせる美女だが、その本性は猟奇的かつ残忍。
精神的に不安定ながらも名誉挽回に躍起となるクレイを唆し、エンシェント・ドラゴンゾンビの覚醒を引き起こさせた。デイトナに凄まじい惨状に変えている中でヴィリーネやマイカと遭遇し、戦闘になるも、不利になってしまい、暗躍し続ける言葉を残して去って行った。
冒険者ギルド「アリアンロッド」
- メラース・アイルーシカ
アリアンロッドのギルドマスターであり四大星帝(クアッド・マスターズ)の一人。「仙姿の魔女」の異名を持つ。
普段は掴みどころのない女性だが、アイゼンのスキルに興味を抱いてからは彼を気に掛け、時には助力したり緊急時には手を貸したりと心優しい一面もある。
魔術師としては超一流である一方、研究家肌な側面も持っている。
右の女性の方
冒険者ギルド連盟
- ジェラーク・ファルネーゼ
冒険者ギルド連盟の総代にして四大星帝(クアッド・マスターズ)の一人。40年前に冒険者を引退しており、当時は「ダイダロス」というパーティを組んでいた。
白い長髪の老人であるが、痩身に比して堅固な肉体を持ち、内に秘めた覇気もヴォルクすら一瞬たじろがすほど。
エンシェント・ドラゴンゾンビの件を解決する立役者であるアイゼンを殉職したヴォルクの後任として四大星帝(クアッド・マスターズ)に任命した。
その他
- ファウスト・ムルティプラ
錬金術師であり、現在の追放ブームの引き金であるステータススカウターを発明した天才。それ以外にもモニターやマイク、ドローンなど、多くの発明品を開発している。
一見すると紳士的に見えるが、本性は非常にプライドが高く、見下されたと思うと簡単に切れては短絡的な行動に走るほど幼稚な部分がある。自身が発明したステータススカウターによる弊害を糾弾されても一切考えを変えなかったばかりか、追放ブームを終わらせたい思想を持つアイゼンを「偽善者」呼ばわりするほど高慢で慇懃無礼な態度を取った事すらある。
ギルド連盟の上層部と癒着し、賄賂などの汚職を行っていた。自分の発明の正しさを証明するためにアイゼンらへ決闘(但し、Sランクパーティーが代理として参加)を申し出る。しかし、Sランクパーティーさえ壊滅させる強さを持つレッサーデーモンに急襲された事で有耶無耶になってしまい、皮肉にもアイゼンら追放者ギルドの実力と思想を多くの聴衆達に見せつけてしまう。懲りずに賄賂を関係者に渡して暗躍しようとするも、お忍びで決闘を見に来ていたジェラークやライドウ達にバレた事によって逮捕され、これまで築き上げた名誉も全て地に落ちた。
用語
ステータス
「ステータス・スカウター」というアイテムにより、着用者の能力を数値化し、可視化されるようになったもの。これにより、多くの冒険者が自らの能力を把握するとともに、現在の「追放ブーム」の引き金となった。