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概要

それまでSFサイバーパンクを主に手がけてきた弐瓶勉が初めて挑む、剣と魔法の正統派ファンタジー漫画である。

本作はダンジョンに囚われた王国の姫君を救出するという、TRPGTVゲームを連想させる王道の物語となっているが、弐瓶勉らしい矢鱈と壮大で尖ったビジュアルの世界観となっているのが特徴である。

グロテスクで有機的なデザインのモンスターに始まり、奇妙な様式の建築や無駄をそぎ落とされた衣装デザイン、いつ登場人物が死んでもおかしくないひりついたストーリー展開にもかかわらずどこか間が抜けているキャラクター同士のかけ合いなどなど、ジャンルは変われど何時ものニヘイ作品となっている。

一方で、前作以上に人間同士の関係性が密に描写されており、これまでの氏の作品とは少し毛色の違う作風となっている。


ストーリー

ある王国の王が悪しき死霊術師に殺され姫はさらわれてしまい、天を突く塔に幽閉された。

宙に浮かぶその奇っ怪なダンジョンは『竜の塔』と呼ばれ、災厄を招くと伝承に伝えられていた。

ただちに王女救出のために近衛戦団が派遣されるが、塔に巣くう魔物に撃退されてしまい、犠牲者が増えるばかり。

そんな時、王国の徴兵に馳せ参じた田舎の農夫ユーヴァは人手不足もあって早速救出部隊に荷役として採用されることに。その怪力と肝っ玉から思わぬ活躍をしたユーヴァは近衛戦団にスカウトされ、戦士として参戦することになった。

かくして、王女救出のためのダンジョン攻略の旅が始まった。天空にそびえる『竜の塔』には、果たしてどんな危険が待ち受けているのやら・・・


登場人物

ユーヴァ

主人公の青年。冴えない見た目の農夫だが、凄まじい馬鹿力の持ち主。軟弱そうな雰囲気に反して度胸があり、ダンジョン攻略初戦で思わぬ武功を立てたことで一目置かれるようになる。後に近衛戦団の新人としてスカウトされ、王女救出の任を与えられることに。田舎者らしく純朴で飾りっ気の無い性格をしており、近衛戦団の戦士からも(約一名を除いて)早々に受け入れられている。


エリクォ

近衛戦団の戦士。弓の使い手であり、その関係か後方支援を得意とする。薬草の知識にも通じる博識の持ち主。同期の魔法少女リリセンのことを気にかけている。常識人であり、同時に苦労人。後にユーヴァ・リリセンとともにパーティを組み、王女救出の任務を与えられることになった。


リリセン

近衛戦団の魔法使い。確かな才能があるのだが、力及ばずモンスターの虜になっていたところをユーヴァの活躍により救助される。新参者のユーヴァを快く思っておらず、事あるごとに嫌がらせをしている。エリクォ曰く優しい良い子らしいが、今のところ器の小さいクズである。

ある種の魔女であるゆえか、ローブの下はほぼ全裸という危なっかしい格好をしている。


ミンサーベル団長

近衛戦団の長にして王の妹。姪である王女を救出するべく竜の塔に挑んだ際に、自らも負傷し右目を失っている。部下を大切にしている立派な騎士だが、どこか常人離れした雰囲気の持ち主。王位継承の争いを危惧した王国議会によって帰参を命じられることになり、ユーヴァら三人に王女救出の任務を継続させることにした。女性ながら大の男に匹敵する体格をしており、若々しい見た目に反して齢百歳を超える異能者である。


イグネリア王女

謎の死霊術師によって『竜の塔』に囚われている王女。気高く高貴な魂の持ち主であり、配下達からも慕われていた。可憐な美少女であることから、騎士達の憧れである。

後に王国議会から「王女を救出した者には婚姻する権利と王位を約束する」というお触れが全国に通達されることになった。


死霊術士

王を殺し、姫を拐って『竜の塔』を召喚した謎の悪人。見た目からしてバケモノじみた存在だが、塔のモンスターを気遣う優しさを垣間みせる複雑なキャラクターである。現在は王女を人質にとって塔に立て籠もっている。

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弐瓶勉

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