代表作
『風の歌を聴け』(1979年)
『1973年のピンボール』(1980年)
『羊をめぐる冒険』(1982年)
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年)
『ノルウェイの森』(1987年)
『国境の南、太陽の西』(1992年)
『ねじまき鳥クロニクル』(1994年・1995年)
『海辺のカフカ』(2002年)
『1Q84』(2009年・2010年)
『騎士団長殺し』(2017年)
『街とその不確かな壁』(2023年)
来歴
京都府京都市伏見区に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市に育つ。早稲田大学在学中にジャズ喫茶を開く。1979年、『風の歌を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。1987年発表の『ノルウェイの森』は2009年時点で上下巻1000万部を売るベストセラーとなり、これをきっかけに村上春樹ブームが起きる。代表作に『羊をめぐる冒険』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがある。それらの作品は、50ヵ国語以上で翻訳されている。
日本国外でも人気が高く、柴田元幸は村上を現代アメリカでも大きな影響力をもつ作家の一人と評している。2006年、フランツ・カフカ賞をアジア圏で初めて受賞し、以後日本の作家の中でノーベル文学賞の最有力候補と見なされている。精力的に、フィッツジェラルドやチャンドラーの作品などを翻訳。また、随筆・紀行文・ノンフィクション等も多く出版している。
その他
「村上春樹の話が聞きたいわ」
個性的な寝癖がチャーミングな彼女はそう僕に言った。僕は彼女が村上春樹について聞く理由を考えたが、何故かわからなかった。ためしにその質問を頭の中で3回ほど繰り返してみたが、やはりわからなかった。
「村上春樹の話は誰も好きになってくれないようなタイプの話なんだ。それに正確な情報なら、wikipediaにのっている」
「いいから話してみて。あなたから聞いてみたいわ」
「生まれは1949年。平凡な街で育って、平凡な学校を出た。大学に入って、東京に出てきた。平凡な初恋をして、30歳のときに『風の歌を聴け』でデビューした。それ以降、いくつも小説を書いているけど、彼の小説は必ず女の子とセックスする話なんだ。退屈そうな小説家だと思わないか?」
「面白そうだわ」
「今はスコット・フィツジェラルドやトルーマン・カポーティとか流行遅れの小説の翻訳の仕事をしている。プルーストの『失われた時を求めて』も揃いでもっているけど、半分しか読んでない。好きなアーティストはドアーズ。最近、エルサレム賞を受賞してスピーチをした」
「面白そうな人生だわ」
「ずっと退屈な人生だったし、これからも同じさ。でもそれが気に入らないというわけでもない。要するに仕方ないことなんだよ」
彼女はバッグからタバコを出して口にくわえた。
「あなたと寝てみたいわ」と彼女は言った。
そして、僕たちは寝た。
参考・引用文献 村上春樹『羊をめぐる冒険』他