概要
手塚治虫が生み出した海洋冒険物語。もともとは「青いトリトン」という題名でサンケイ新聞に連載されていたが、アニメ化に伴い海のトリトンに改められた。
ストーリーはトリトン族最後の生き残りであるトリトンと、海を荒らし回るポセイドン族との対決を主軸としており、漫画版とアニメ版では結末が大幅に異なっている。
アニメ版は1972年4月から9月にかけてTBS系列で放送された。なお、ホスト局は朝日放送(1972年当時、TBSの関西地区の系列局は朝日放送だった)。富野由悠季監督が初めて監督を務めた。日本のアニメ史に残る名作とされており、今なお根強い人気を誇っている。
後の富野作品に見られる「善悪が逆転する衝撃展開」「守るべき民衆に迫害される主人公」「ある意味主人公以上に活躍する脇役の登場」といった特色もこの時点ですでに現れている。
原作では主人公が悪の親玉と刺し違えて死ぬが、アニメでは生き残り自らの一族の罪を背負い生きていくことを誓うという終わり方になっている。アニメを再現した小説版では「平和は手にした。しかし、そこに正義は無かった!」という身もふたもない終わり方をしている。
手塚治虫にしては珍しく制作に対してノータッチを貫いた作品でもあり、手塚本人も”アニメと漫画は別物で、自分は原作者でしかない”と読者にことわりを述べている。
これについて富野監督は、手塚本人はトリトンという作品を失敗作と見ていたので、ストーリーの改変などもかなり自由に任せてくれたのではないかと回想している。
登場キャラクター
トリトン
人魚の一族であるトリトン族の末裔。男性なので人間と同じ姿をしている。
赤ん坊の頃に人間の漁師に拾われ育てられた。水中でも呼吸が出来る特殊な体質と、強大な力を持つオリハルコンの短剣(原作には出ません)を武器にポセイドン一族との戦いに身を投じていく。