ーこれは、コワレタモノを修復する物語ー
ー勃発(ヴァーサス) 魔法少女事変(アルケミックカルト)ー
概要
2012年冬の戦姫絶唱シンフォギア、2013年夏の戦姫絶唱シンフォギアGに続くシンフォギアシリーズ第三弾。2015年7月放送開始。
2013年12月のシンフォギアライブで制作が発表され、2015年3月にニコニコ生放送で行われたシンフォギアGの一挙放送で情報が解禁された。
キャッチコピーは『世界を壊す、歌がある』。
「GX」というタイトルは、シンフォギアGの完結編という意味合いで付けられている(「X」は野球のスコアボードのバッテンの意)。
脚本の金子彰史氏いわく、第1期と第2期は全く異なるテイストで書かれた作品であるとのことで、2期の系譜を受け継ぐ本作もまた、タイトルに「G」を冠している。
元々Gは製作過程で語りきれなかった要素が多く、その続きを書きたいという、金子氏および原作の上松範康氏の要望が元で、本作の企画が立ち上がったとのこと。
今度の敵はシリーズ最強にして最大規模となる謎の戦闘集団で、ギアの放つ歌の力をも捻じ伏せる強敵とされている(公式サイトより)。
また、本作よりメインキャラクター7人の誕生日を初めとしたパーソナルデータが公式サイトに於いて公開されている。
あらすじ
かつて――融合症例と呼ばれた少女は、世界終焉の真際に奇跡を掴み、ガングニールのシンフォギアと適合を果たす。
地球霊長存続の名目で執行されようとしていた人類淘汰「フロンティア事変」と称される一連の騒乱は、歌に血を通わせた少女たちの活躍によって終止符が打たれたが、新たな物語は、それから程なくして幕を開けるのであった。
亜宇宙を弧を描いて引き裂く超音速の落下物体。それは、ラグランジュ点での大気圏外活動を終え、地球に帰還しようとしていた国連所属のスペースシャトルであった。
システムトラブルから機能不全と陥り、このままでは機体の空中分解、あるいは地表ヘの激突は免れないという緊急事態に、息を飲むばかりの各国指導者たち。
遡る事、二度に渡り、世界を未曽有の危機より救ってきたシンフォギア装者たちも、
その力を日本政府保有の軍備とみなされる以上、たとえ人道的救護支援であっても国外での活動はかなわず、待機を余儀なくされるのであった。
それから経過する100日余り。
フロンティア事変以降、認定特異災害「ノイズ」の観測は一例としてなく、 事の顛末を知る誰もがノイズの根絶と被害の終息を予感していた頃。
本部にてモニターへと向かっていた藤尭朔也と友里あおいは、ノイズとは異なる、だが近似した反応波形を確認する。
場所は、横浜港大さん橋ふ頭付近。
そこには、小さな匣をかかえ、 逃げるように駆ける黒衣――<廃棄物11号(エルフナイン)>の姿が見られた。
世界を壊す、歌がある。
今はまだ、やがて訪れるその脅威に気づく者はなく、夏の夜空に、ただ赤き粉塵が舞い踊るのみであった。
(公式サイトより)
登場人物
シンフォギア装者
第三号聖遺物「ガングニール」の装者。
聖遺物との融合症例から後天的に適合者となる。
第一号聖遺物「天羽々斬」の装者。
人気歌手。幼い頃からの夢であった世界進出の準備を進めている。
第二号聖遺物「イチイバル」の装者。
かつては響たちと敵対していた。現在は響たちと共に戦う仲間。
マリア・カデンツァヴナ・イヴ (CV:日笠陽子)
一度は世界を敵に回し、テロを起こした元F.I.Sの装者。
妹・セレナの形見である「アガートラーム」は、本来起動不可能だが…。
「シュルシャガナ」を纏い、マリアと共に戦った元F.I.Sの装者。
切歌と共に国連の特別保護観察下におかれている。
「イガリマ」を纏い、マリアと共に戦った元F.I.Sの装者。
調を守ることを己の信条としている。
特異災害対策機動部
リディアン音楽院
響の幼馴染で良き理解者。響の支えになろうと努める。
錬金術師
キャロル・マールス・ディーンハイム (CV:水瀬いのり)
響たちに立ちはだかる新たな脅威。
キャロルと瓜二つの容姿を持つ謎の存在。
オートスコアラー
キャロルに仕える四機の機械人形。通称『終末の四騎士(ナイトクォーターズ)』。
ガリィ・トゥーマーン (CV:村瀬迪与)
その他
イザーク・マールス・ディーンハイム (CV:遠近孝一)
用語
- フロンティア事変
武装組織「フィーネ」を名乗る米国聖遺物研究機関F.I.S.の一派が日本海沖に眠る先史文明期の遺跡、通称「フロンティア」を起動し、ルナアタックが引き起こす、来たるべき月の落下より地球人類を存続させる計画に端を発した一連の騒乱の総称。
ライブステージ「QUEENS of MUSIC」における、メインアーティストであったはずのマリアによるノイズを指揮しながらの武装蜂起宣言を発端に計画は開始されたが、米軍やウェル博士などの国家や個人の思惑が複雑に絡みあい、計画は変容を繰り返すものの、F.I.S.はフロンティアの再起動には成功する。
しかし自身の欲望に溺れるウェル博士の暴走によって、むしろフロンティアの力で人類は破滅の一途を辿ることとなるが、ナスターシャの尽力、シンフォギア装者、そして地球人類70億人の歌が引き起こした奇跡によって、月落下の直接的回避、ネフィリム及びフロンティアの消滅、そして副産物としてバビロニアの宝物庫に収納されていた認定得意災害・ノイズの根絶という結果となり、死亡したナスターシャを除くF.I.S.メンバー全員の逮捕・拘束を以て一応の事態集束に至る。
その後、月落下の情報隠蔽やF.I.S.の組織経緯といった、その裏側にある諸々の隠蔽・口封じを狙う米国政府の主導のもと、逮捕されたメンバーの裁判を行い、未成年である調や切歌を含めた全員の死刑適用を前提に進められるも、斯波田の駆け引きによってマリアたちの処罰を回避され、F.I.S.の存在そのものを隠匿、回り回ってメンバーの罪状は消滅することとなった。
そして彼女らの象徴として全世界中継で蜂起宣言を行った歌姫マリアに「フロンティア事変の英雄」として立ち回ることを強いられ、調、切歌、そして響といった未成年者の友を暗に人質に取られる形で国連側の取引に応じた末、国連からテロ組織に潜入していた国連のエージェントであったと公式発表され、その象徴的存在としての役割を演じ続けることで幕を閉じることとなった。
- S.O.N.G.
特異災害対策機動部二課を再編成した国連直轄の超常災害対策機動タスクフォース。『S.O.N.G.』とはSquad of Nexus Guardiansの略称。
作戦指揮を執る風鳴弦十郎以下、旧二課のメンバーはそのまま在籍しており、この事からも特殊性の高い機関であることがうかがえる。
直轄組織が日本国から国連に推移した事もあり、安保理が定めた規約に従って日本国外での活動が認められるようになった。
本部は二課仮説本部の同型艦を使用し、高い機動力を以って災害救助を実行する。
ルナ・アタックやフロンティア事変、聖遺物に関連した二度に渡る大規模な超常脅威に対し、広範囲で即応するために発足されたが、その裏では日本政府が保有する異端技術を出来る限り目の届くところに置きたいという各国政府の思惑も絡んでいる。
- 魔剣ダインスレイフ
エルフナインが持つ小さな匣に収められたドヴェルグ=ダインの遺産。唯一錬金術に対抗できるとされる聖遺物の破片。
これが収められた匣は多重封印(ルマルシャン)型ミレニアムパズル構造を成しており、このダインスレイフが如何に危険かつ重要な存在であるかをうかがい知る事が出来る。
なお、匣の表面には『水』を意味するラグズ、『財宝』『家畜』を意味するフェフ、『巨人』『怪物』を意味するスリサズの三種のルーン文字が刻まれており、そのまま読めば「水の財宝の怪物」となる。
ひとたび抜剣すると犠牲者の血を啜り尽くすまで収まらないという殺戮の伝承を持ち、その特性は装者の心の闇を増幅、かつてガングニールと融合した響と同じ破壊衝動の増大による暴走状態を人為的に引き起こす効果を持ち、聖遺物の中でも危険なものである事が伺える。
後にエルフナインが立案したシンフォギア強化改修計画「Project IGNITE」に使用された。
- Project IGNITE(プロジェクト・イグナイト)
シンフォギアシステムを無力化するキャロル達錬金術師陣営に対抗する為、エルフナインが立案したシンフォギア強化改修計画。
ギアの出力を高めつつアルカ・ノイズの解剖器官に干渉する防御フィールドの調律が行われている。
また、ダインスレイフの欠片から生み出されたイグナイトモジュールが増設されており、これによってシンフォギアの暴走を意図的に発現させつつそれを制御下に置く事が可能となっている。
ただし、イグナイトモジュールは諸刃の剣となる機構で、制御に失敗すれば心身へのダメージ及び理性を失い暴走状態に陥る危険性を有するが、制御が成功すれば、理性を保ったまま、力と汎用性を備え、通常時より強大な出力を発揮し、キャロルやアルカノイズを圧倒するほどの戦闘能力を有する。
聖遺物とは由来の異なる異端技術。科学と魔術が分化する以前のロストテクノロジーであり、魔法とも総称される。
欧州をはじめとした各国の闇に秘匿され、現代科学とは別次元に進化し続けてきた。
その性質上技術体系としては様々な側面を持つが、キャロル・マールス・ディーンハイムの扱うそれは櫻井了子の提唱した櫻井理論に近しい部分を覗かせる。
キャロル達が行使する錬金術は、「想い出」と呼ばれる脳内の電気信号をエネルギーとして錬成変換(焼却)する必要があり、使えば使う程に自分のこれまで蓄積してきた記憶や経験を消費する事になるが、反面シンフォギアをも圧倒する戦闘力を発揮する。
錬金術の本質は分解と解析、そこからの構築によって成り立つ異端技術の理論体系である模様。
万能の溶媒アルカ・ヘステによって分解還元された物質の根源要素。
因みにアルカヘストとは、錬金術において全てのものを溶かすとされた溶媒(想像上の物質)、錬金術師パラケルススの造語で、アルカノイズによって生じる赤い物質プリマ・マテリアはアルカヘストによって分解還元された物質の根元要素(熱・冷・乾・湿の事)の事である。
- ファウストローブ
キャロルが錬金術を用いて聖遺物を再構成した戦装束。
通常は原材となった聖遺物を象った形状を成すが、起動に伴いエネルギーに変換され、プロテクターへと錬成される。
シンフォギアに類近する装備ではあるが、想い出を焼却することでF.I.S.が望みついに適わなかった「聖遺物の歌に頼らない起動」を可能とし、その戦闘力はシンフォギアをも上回る。
- ホムンクルス
キャロルの錬金術の奥義によって生み出された人工生命体。
キャロルはこれに記憶を転写し続ける事で数百年の時を生きながらえてきた。
キャロルが自分の記憶を転写するのは完璧以上に完成した躯体のみとなり、それに値しないと判断された「廃棄物」は労役や生体実験の為に用いられる。エルフナインもその一人であり、限定的な錬金術の知識をインストールされ、キャロルの計画の為の労働力とされた。
ただし、負荷を度外視した思い出の高速インストールや自身を殺した記憶が拒絶反応が起こすなど、身体に負担が掛かる危険性を生じる。
- テレポートジェム
錬金術の一つで精製された、キャロルやオートスコアラーが使用する離脱アイテム。小さな液体が入った小瓶の形をしている。
距離に関係なく空間をゼロ移動する効果があるが、完全な空間転移を可能としている訳ではなく、低確率で空間の位相差に迷い込む転送事故を引き起こす危険性を孕んでいる。
キャロル一派は事故を防止する為に目的地の移動ではなく座標の固定されたチフォージュ・シャトーへの帰還目的に使用することが多い。
また、キャロル一派が帰還する為の物以外にも、アルカ・ノイズ召還用のテレポートジェムも存在する。
キャロルの創造した人型の自動人形。詳細は個別記事を参照。
キャロル一派が錬金術で生み出した新種のノイズ。詳細は個別記事を参照。
- チフォージュ・シャトー
キャロル一派が世界を分解するために作り上げた大型装置にして拠点。その名は「夜ごと悪徳に耽った忌城」を意味する。
様々な聖遺物や聖遺物由来となる異端技術を繋ぎ合わせて作られており、起動と稼働、制御に必要なトリガーパーツとなる聖遺物を組み込む事で、世界を分解するワールドデストラクターとしての機能を発揮する。
エルフナインはチフォージュ・シャトーの一部の建造を任務としており、そのために必要な最低限の錬金術をインストールされた上で作業に携わっていたが、その最中に計画の真意を知った為、キャロル達の下から逃走した経緯を持つ。
- フォトスフィア
フロンティアの一区画より回収されし情報集積体。その名の通り、光の球体として空間に投影される。
地球に張り巡らされたレイラインの詳細情報が記載されたレイラインマップであり、その性質上キャロル達の計画に於いて無くてはならない鍵となる。
- レイライン
地球全土に張り巡らされし大規模エネルギーライン。
かつてナスターシャ教授はレイラインに沿わせて人々が発する微々たるフォニックゲインをフロンティアへと収束させ、月遺跡の管制装置を再起動。月の落下を阻止する事に成功した。
その要所たるレイポイントには古くから寺院や要石等が敷かれており、これを破壊しレイラインを開放する事が、キャロルの掲げる万象黙示に於ける重要なファクターとなる。
風鳴邸にある要石もその一つ。
- ヤントラ・サルヴァスパ
あらゆる機械の起動と制御を可能にする情報集積体。チフォージュシャトー完成に必要なものだったが、クリスとの戦いで破壊される。
- 深淵の竜宮
ヤントラ・サルヴァスパなどの多くの聖遺物を結集、保管している施設。海底の底で建てられており、潜水艦しか入れない。
- アーネンエルベ
ドイツ政府の研究機関で、シンフォギアの開発に関わりの深く、風鳴八紘からアルカ・ノイズの攻撃によって生じる赤い粒子について調査依頼をした。
かつてナチス・ドイツの公的研究機関でもあり、アーリア人種の人種学や歴史学を研究する目的で1953年に設立され、先史時代や神話時代の北欧人種が世界を支配していた事を証明する為に活動していた模様。
- 万象黙示録
キャロル率いる自動人形やアルカノイズの集団による世界滅亡計画。
「もっと世界を識るんだ」と遺した父イザークの言葉を命題とし、キャロルの出した答えが、世界を壊して万象黙示録を完成させる事であるが、その全貌・詳細はいまだ不明である。
- 魔法少女事変(アルケミックカルト)
キャロル率いる自動人形やアルカノイズの集団による世界滅亡計画「万象黙示録」に関する一連の騒乱。
- 快傑☆うたずきん!
半年前より連載を開始し、単行本一巻が発売されて間もなくアニメ化企画が進行する程の人気を誇る少女漫画。キャッチフレーズは「300万乙女のラブソング」。
エルフナインと対面したクリスが、自身の正体を隠す際にこの名を使用した。
S.O.N.G.所属のシンフォギア装者の活動に伴い、彼女たちに助けられた人々が「被災地に聴こえる歌」と「少女たちの姿」を語るようになった事から、各地にに広まったウワサ話を下に敷きつつ、政府機関の要請で広告代理店が企画をまとめ、大手出版社からコミックとして世に出された。
本来シンフォギア装者達の存在は守秘義務契約や情報操作によって秘匿されるべきものなのだが、人の口に戸は立てられない事からかつての「口裂け女」や「人面犬」のように都市伝説をあえてメディアが扱う事で大衆が懐く意識をフィクションと塗り替える事になったのが、本作の企画の経緯となった(この試みは結果的に成功し、装者の存在が世に出るリスクを最小限に抑えている)。
スタッフ
監督:小野勝巳
シリーズ構成・脚本:金子彰史
キャラクター原案:吉井ダン
キャラクターデザイン・総作画監督:藤本さとる
総作画監督:椛島洋介
アクションディレクター:光田史亮
音楽プロデューサー:上松範康
音楽:Elements Garden
アニメーション制作:サテライト
制作:Project シンフォギアGX
主題歌
OPテーマ:「Enterminate」歌:水樹奈々(7月22日発売、キングレコード)
EDテーマ:「Rebirth-day」 歌:高垣彩陽(7月29日発売、ミュージックレイン)
劇中歌
- 「RADIANT FORCE」 歌:立花響×風鳴翼×雪音クリス
6月24日に公開されたPVにて初披露された楽曲。劇中でも第1話冒頭の3人が活躍するとあるシーンにて披露された。
- 「Glorious Break」 歌:水樹奈々
第1話のエンディングテーマ。
カップリング
外部リンク
正式名称は「戦姫絶笑シンフォギアRADIO」。
パーソナリティーは小日向未来役の井口裕香。毎週金曜23時30分に更新。
様々なコーナーも設けられており、絶賛お便り募集中。
関連項目
評価タグ
シリーズ
戦姫絶唱シンフォギアGX