発見と命名
1984年から1986年にかけてインドのマハーラーシュトラ州マンジャル・スンバのラメタ累層から化石が見つかり、1997年に同じインド産の竜脚類ティタノサウルス属の新種として、ティタノサウルス・コルバーチと命名された。だが2003年の系統解析でティタノサウルスとは異なる新種と判明し、イシサウルス・コルバーチと改名された。
属名はインドにある大学の一つ「インド統計大学(Indian Statistical Institute / ISI)」に因んでおり、種小名は20世紀のアメリカを代表する古生物学者エドウィン・ハリス・コルバートに敬意を表してつけられた。
特徴と生態
ティタノサウルス類の中では多くの部位の化石が見つかっており、頭以外の大部分が知られている。体型はブラキオサウルス科に似た前傾気味であり、頸椎の上部が盛り上がり太い首をしていたのが特徴である。竜脚類としては中型で、全長18メートル・体重14トン程と推測されている。
また、2005年には本種ものである可能性が高いコプロライト(糞化石)が発見され、ソテツや針葉樹に加え、ヤシ科やイネ科を含む単子葉類も確認された。この発見により、俗に草と呼ばれるイネ科の植物が白亜紀には誕生していた事、植物食恐竜の中でも主に裸子植物を餌としていたと考えられていた竜脚類にも食性が多様であったことが判明した。また、そのコプロライトには樹木の葉に感染し病原となる菌類も確認されており、本種が複数の種類の樹木の葉を食ベていたことも明らかにされた。
メディア
イシサウルスは今でこそティタノサウルスとは別種として扱われているが、日本国内では古生物イラストレーターとして有名な川崎悟司氏の運営サイト「古世界の住人」でのティタノサウルスのイラストが一時期まで本種だったことから、一部の世代からは「ティタノサウルス=本種」のイメージが定着しており、『恐竜キング』でもティタノサウルス・コルバーチの名称で登場している。