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立山黒部アルペンルートの編集履歴

2020-03-01 15:41:36 バージョン

立山黒部アルペンルート

たてやまくろべあるぺんるーと

富山県の立山から長野県の扇沢まで、立山連峰・黒部湖を越えて結ぶ山岳交通路。

概要

富山県中新川郡立山町の立山駅(富山地方鉄道・立山黒部貫光)と、長野県大町市の扇沢駅(関電トンネルトロリーバス)とを結ぶ交通路。途中多くの交通機関を乗り継いで走破する。

総延長は37.2km・最大高低差は1,975mに及び、世界有数の大規模な山岳観光ルートである。1971年(昭和46年)6月1日全通。

広義には、富山地方鉄道本線ならびに立山線と、扇沢から信濃大町までを結ぶ路線バス(大町アルペンライン)も含めた最大総延長88.6km・最大高低差2,443mに及ぶ区間を通じてこう呼ぶことがあり、実際始発の立山・終発の扇沢に公共交通機関で向かう場合、前述した交通機関を必ず経由する(ただし、富山側は途中不二越・上滝線経由での利用も可能、扇沢からは信濃大町を更に経由して長野に向かう特急バスがそれぞれあり、特急バスは途中の信濃大町で後者不可である)。

毎年冬季(11月半ば~翌年4月半ば)までは通行止め・営業休止となる。なお、4月初旬のみ立山駅から途中の弥陀ヶ原での折り返しの形で先行部分開業する。


ルート


その他

トロリーバス

途中立山トンネルと関電トンネルを通過する際は非常に珍しいトロリーバスを利用することになる。

このトロリーバスは日本においてはこの二路線のみしか走行していない、架線を用いて電車のように集電しながら走るバスであり、日本法律上は「無軌条電車」という鉄道路線として扱われている。

歴史は関電トンネルの方が長く1964年から利用している。立山トンネルの方は1970年と開業自体が遅く、更に当初は一般のディーゼルバスを使用していた。1996年の関電トンネルの車輌置き換えに続く形で、同型車を立山トンネルでも導入しトロリーバス化した。

なお、この時より立山トンネル側の室堂は鉄道駅となったことから、標高が日本一高い鉄道駅となった(標高2,450m)。また室堂は立山黒部アルペンルートの最高地点でもある。

関電トンネルの方は、2018年11月30日をもって廃止され2019年4月より充電式電気バスへ転換された。車両は白をベースに3色のうちのどれか一つが採用されている。


残る立山トンネルの方は置き換えなどについては未定としている。


雪の大谷

室堂付近の立山高原バス走行路・大谷地区において、開業間もない4月頃は冬からの積雪が積もりに積もり、数十メートルにも及ぶ。

そんな地域において春の開業に向けてブルドーザーなどで除雪を行うことで走路が確保されるが、その時雪を削りきった道路と周囲とでは積雪分の高低差数十メートルの差が出来ており、これが「雪の壁」としてその間をバスが走り抜ける絶景となる。


立山ロープウェイのワンスパン方式

立山ロープウェイは、その走路1.7kmに渡って途中に全く支柱が設けられていない。これをワンスパン方式という。これは景観確保のみならず、冬季に雪崩によって支柱が破壊されないようにとの配慮もある。


破砕帯

岩盤の中で岩が細かく割れ、地下水を溜め込んだ軟弱な地層。特に黒部周辺ではこれによる工事の難易度上昇に繋がり、大量の水が現在でも噴出することがあるようだ(トンネルに漏れ出すことは無い)。これは、後述する黒部の開発史でも切っても切れぬ問題であった。

関電トンネルトロリーバスでは、この破砕帯の通過時に分かるように青ランプで知らせている。


裏ルート?(黒部ルート)

アルペンルートと並走するような形で、別ルートで黒部に入る通称「黒部ルート」という区間が存在する。

富山側から富山地方鉄道本線から立山線に入らず、そのまま終点の宇奈月温泉まで行った後黒部峡谷鉄道に乗って終点・欅平まで行く。ここまでは一般の乗客でも行くことが出来るが、この欅平から先にも実は線路が伸びており、その路線を辿ることで黒部ダムに至ることが可能である。

ただし、欅平から黒部ダムまでの大部分の区間は関西電力の事業専用線であり、一般客が乗車するには「黒部ルート見学会」への事前申し込みが必要である。黒部から先は扇沢までアルペンルートと同じ行路を辿る。


詳細は以下、

  • 電鉄富山駅~宇奈月温泉駅 富山地方鉄道本線
  • 宇奈月駅~欅平駅 黒部峡谷鉄道
  • 欅平駅~欅平下部駅~欅平上部駅 関西電力黒部専用鉄道下部軌道(欅平駅のすぐ先の奥に欅平下部駅。欅平下部~欅平上部間は貨車ごと運搬可能な竪抗エレベーター使用)
  • 欅平上部駅~仙人谷駅~黒部川第四発電所前駅 関西電力黒部専用鉄道上部軌道
  • インクライン下部駅(黒部川第四発電所前)~インクライン上部駅(作廊駅) 関西電力黒部川インクライン(貨物用交走式ケーブルカー)
  • 作廊谷~黒部ダム駅 関西電力黒部トンネル内専用バス(一般ディーゼルバス)

なお、黒部ルートについては富山県側から一般開放を求められていた(完全に開放できるほどキャパシティはないため、あくまでも一般的な旅行商品の設定)。富山県からすればこちらのルートも魅力的な観光ルートとなり得る場所であるためである。ただ、専用鉄道を始めとして一般客を乗せることを考慮した構造となっていないことから、安全対策の追加工事が必要なことを理由に、関西電力側は否定的な立場であった。このため、当初は暗礁に乗り上げるかと思われていた。

しかし、国の許可書の条件に「工事竣工後はこれを公衆の用に供すること」と書かれていることが判明すると、この条件の存在や黒部ルート見学会などで年間3千人が見学している事実と態度が矛盾することになってしまったため、2018年に関西電力は渋々受け入れることになる。

これにより、2024年度から一般開放されることが決定。2019~2023年度については平日のみであった開催日を土休日にも設定されることになった。


仙人谷ダムと黒部ダム

それぞれ黒部川の上流部に設けられたダムである。

黒部ルートを通ると、仙人谷付近では仙人谷ダムを見ることが出来る。仙人谷ダムは黒部川第三発電所の、黒部ダムは同第四発電所の発電目的として作られたが、前者は高温岩盤を経由したために爆発事故が発生したり、作業場が流れるなどの建設中の事故が多発した。

上部軌道は現在も「高熱隧道」と呼ばれる高温岩盤を通過している。後者も前述の破砕帯を経由したことによりこれまた出水事故が発生するなど、それぞれの建設には多大な犠牲が付きまとっている。

しかしながら前者は戦時中の全国電力確保のため、後者は終戦直後から続いた近畿地方の慢性的電力逼迫を解消するため、何れも当時の日本発送電→関西電力が総力を挙げて建設を行った。これにより、このような山奥に日本有数の巨大ダムが完成し、今日も近畿地方の電力を補っている。


徒歩ルート

黒部川に沿って、欅平駅から仙人谷までは水平歩道、それより上部・黒部ダムまでは日電歩道という、日本発送電の遺した登山ルートが存在する。これらを総称して「下廊下」とも呼ぶ。

生易しい名前に油断してはいけない。上級者用登山ルートであり、途中は人二人のすれ違いも困難な道が、崖沿いに渡って延々と続くような道であり、落ちたら死ぬ

特に水平歩道より日電歩道はより危ないとされるが、水平歩道の終点である仙人谷には特に何も無く、動けなくなっても関電に救助を求めるくらいしか出来ない。

なお、下廊下とあるように「上廊下」更に「奥廊下」もあるが、これらは超上級者用登山コースであり、沢登りの技術も必要となる。奥廊下も走破して黒部川源頭部まで遡行した後、更に鷲羽岳、野口五郎岳、三つ岳などを経由して七倉ダムに至り、更に下ると扇沢に出ることが出来る。

徒歩の黒部縦断コースであるが、全行程を攻略するにはおよそ4日が必要だと言われる。もちろん技術が無いと途中で死ぬ


関連項目

富山地方鉄道 立山線

ライチョウ …ルート付近に生息している。

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