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大奥(よしながふみ)の編集履歴

2021-06-21 10:13:42 バージョン

大奥(よしながふみ)

おおおく

大奥とは、よしながふみ作の漫画。

pixivでは「大奥 よしながふみ」で検索すると出やすい。


概要

「徳川将軍が女で、大奥が男の園」という、男女逆転設定のパラレル時代劇漫画。

江戸時代「若い男のみがかかる伝染病」により男の数が激減し、三代将軍徳川家光以降より女性になった将軍達と、彼女らにかかわる大奥の男とのドラマを描く。

史実や俗説からネタを拾いつつ、女将軍ならではの苦悩なども描かれている。

男女の社会的役割が逆転している分ジェンダーについて考えさせる描写もある。


作者の趣味なのか、若干のBL百合風味シーン、食の蘊蓄シーンもある。


連続テレビドラマ化、2度の映画化もされた。


本作の設定

  • 徳川将軍は3代家光までは史実通り男であったが、上記の伝染病(作中では「赤面疱瘡」という架空の病気が設定されている)により男の家光が死亡、彼の隠し子である娘・千恵が家光を名乗って将軍につき、以後将軍は女性のみとなる。
  • 男性の数が女性の4分の1ほどしかいない世のため、世の中の多くの仕事が男から女に取って代わられた。そのため史実では男性である大名達も女性である。
  • もともと千恵が父の影であった経緯もあり、武家などの家督を継ぐ女性は本来の女性としての名前の他に「男名」(これが史実の将軍や大名と同じ名前になっている)を持ち、公の場はもちろん家族相手でもその名で呼ばれる。
  • 男は子種を持つ宝とされ仕事も家事も育児もせずに済む一方、種馬扱いで金銭で貸し出されたりもする。
  • 夫を持てるのは身分や金のある女性だけで、庶民の多くは種買いや夜這いで子供を作る。ゆえに数百~数千の男性を囲う大奥は将軍の威光の証とされる。
  • 11代家斉の政策で赤面疱瘡撲滅後は、旧来通り男子相続に改めさせた。庶民も力があり若死にする心配のない男性に仕事を任せるようになり「男女再逆転」の世になった。

主な登場人物

並び順は時代順だが、作品の登場順とは異なる。CVはドラマCDのもの。

徳川将軍

  • 徳川家光/竹千代

男女逆転前の最後の男性将軍で三代将軍。男色家で女性に興味がないが、プレッシャーで歪み

行きずりの女性を強姦して千恵を儲けるが赤面疱瘡で若くして死亡。

上記の家光の暴行により出来た家光の実娘。春日局に男装させられ徳川の血を繋ぐための器に祭り上げられた。当初は荒れていたが、有功との出会いで立ち直り女将軍として父の名代を名乗る。最愛の有功との間に子はできなかったが、男側室達との間に3人の娘をもうけ27歳で波乱の生涯を閉じる。

なお、強姦により処女を失なった事がトラウマとなり「未婚の女将軍の『初めての男』は、将軍の体を傷付けた大罪人として秘かに処刑されねばならない」と云うとんでもないしきたりを作る。(ただし、吉宗の時代に廃止され、既に正室・側室が居た状態で将軍になった者や、幼くして死んだ将軍が連続した為、このしきたりのせいで処刑された男は1人だけ)

  • 徳川家綱/千代姫

千恵の長女で四代将軍(実際は五代目)。政に関心が無く「左様せい」で何でも片付ける。父代わりである有功に想いを寄せるようになるが…。跡取りができないまま死去。

千恵の三女、家綱の異父妹で五代将軍(実際は六代目)。童顔で色気たっぷり。跡取り娘の松姫が幼くして死んだことで世継ぎ作りに追われ精神的なバランスを崩していく。

  • 徳川家宣/(女名は不明)

綱吉の姪(千恵の次女の娘)で六代将軍(実際は七代目)。控えめな人格者だが病弱。名君とたたえられるも将軍就任後数年で死去する。

  • 徳川家継/千代姫

家宣の娘で七代将軍(実際は八代目)。母の死去に伴い幼くして将軍になるが母同様病弱で数年で死去する。

紀州徳川家出身の八代将軍(実際は九代目)。質素と合理性を好むがけっこう男には手が早い。

ただし男好きだがイケメン好きではなく、若くて見目麗しい男はどんどん暇を出し(大奥の予算削減の為)、どの側室とも大体同じ回数寝るように心掛け、全側室をなるべく平等に扱うなど、性交においても非常に合理的。

彼女の代には既に女が日本社会を支配するのが当然になっていたが、あるときその経緯に疑問を抱き真実を知ることからこの物語が始まる。

真実を知った後は赤面疱瘡を撲滅するため数々の対策を立ち上げる。

「中興の祖」として後の世代にも讃えられている。

  • 徳川家重/福姫

吉宗の長女で九代将軍。不器量な容姿と言葉と排尿の障害から、知的障害者と家来には思われて馬鹿にされているが実際は正常な知能の持ち主(史実の徳川家重も障害者である)。吉宗からは認められているが、その偉大な母の影に脅えている。

長年に渡り、家臣や妹から軽んじられてきた事による自己肯定感の低さや、下手に頭が良いせいで、若くして「政治とは万人を幸せにする事が出来ない虚しい行為」だと気付いてしまった為に、酒色に溺れた無能な将軍として歴史に名を残してしまう。

  • 徳川家治/竹姫

家重の長女で十代将軍。美女で利発だが調子がいい。娘の千代姫(のちの徳川家基)を設けるも、娘に先立たれた挙句、息子の将軍就任を企む徳川治済の策略によって砒素をもられその中毒症状によって亡くなる。

  • 徳川家斉/豊千代(竹千代)

一橋徳川家出身の十一代将軍。作中において三代家光(父)以来の男性将軍。しかし政治の実権は母・治済に握られており、治済に精神的に支配されている。だが、御台所の茂姫の訴えによりこのままではいけないと思うようになり、読者にとっても作中の人物にとっても想定外の行動に出る。

55人もの子供を作りながら、怪物のような母親と、それに立ち向かう為とは言え正室と1人の側室が自分を騙し続けてきた事を知ったせいで、女性不信に陥った後半生を送る。

ある理由から、公的な記録には、自分の事を「女色に溺れて幕府の財政を悪化させた無能な将軍」として記すように遺言を残す。

  • 徳川家慶

父に続く男性の十二代将軍。将軍でありながら、表では父の傀儡にされ奥では側室たちが毒を盛りあう様から鬱屈し、実娘の祥子を凌辱するようになる。

  • 徳川家定/祥子

男女再逆転後の時代ながら、金銭事情や男子の適役不在により十三代将軍に。実父から長年性的虐待を受け、解放された後も御台所ともども毒を盛られるが表向きは不遜に振舞う。3人目の御台所・胤篤を当初は警戒するが心の通った夫婦になる。

  • 徳川家茂/福子(とみこ)

紀州徳川家出身。慶喜と水戸徳川家を嫌う家定と井伊直弼の意向により十四代将軍に。聡明な人格者で臣下や和宮、帝の心までも開いていく。


徳川の家臣達

  • 稲葉正勝/千熊(ドラマ版:平山浩行)

春日局の息子で家光(父)の側近。家光(父)の死後は彼及び千恵の影武者となり、謁見の際は代役を務める。

綱吉に少女時代から仕える重臣。すらりとした美女だが様々な計略を巡らす内面はかなりえぐい。夫も子もいる身ながら実は主君に百合な感情を持っている。

  • 間部詮房/おふさ(映画版:菊川怜

家宣の甲府藩主時代からの重臣。元は身分の低い出から取り立てられたため家宣への忠義は尋常ではない強さで、彼女以外にはツンツン。吉宗就任早々クビにされる。

なお、この作品に登場する「女性の主君に同性愛的な感情を持っている事が明確に描写されているか、その可能性が匂わさている女性キャラ」であっても、一応は男性の夫が居る場合がほとんどだが、彼女だけは生涯独身だった。

吉宗に幼い時から仕える重臣。温和そうなふっくら顔に似合わず主君のために汚れ仕事も辞さない。

  • 田沼意次/龍(たつ)

少女時代に家重の小姓に。家重の苦悩を知って以降は忠誠を尽くし大御所である吉宗とのパイプ役も果たす。美女だがシビアな政治感覚、貨幣経済を重視する先進的思考を持つ。吉宗から赤面疱瘡撲滅を託され、青沼を呼び寄せ蘭学研究を支援する。

  • 松平定信/聡子

田安徳川家(後に松平家の養子に)。吉宗の次女の娘。祖母を尊敬しているが質素倹約など自分の好む面しかみていない。治済の策で将軍候補から外されるが、田沼のせいだと思い込み、彼女を憎むように。

しかし、治済のあまりにも馬鹿馬鹿しい要求を蹴ったせいで、老中の職を解かれ、その時になって、ようやく、治済の正体が「何の志も持たぬ、徳川の世を滅ぼしかねない欲望だけの怪物」だと気付く。

  • 徳川治済

一橋徳川家。吉宗の三女の娘。権力掌握のため多くの人間を陥れ、退屈しのぎに母姉から実孫まで毒殺したサイコキラー

「本来は男が政治を行なっており、今の状況は、最初は一時的な措置だったものが、たまたま何世代も続いてしまったに過ぎない」「だが、今、実際に政治を行なっているのは女」と云う2つの主張を、その場その場で都合良く使い分ける事で、息子を将軍に就任させると同時に、息子を政治に関わらせずに、お飾りの将軍の背後に居る黒幕として権力を握る。

つまり、頭は良い方だが、何の理想・思想も持っておらず、自分の知力・権力・立場・部下などを欲望・快楽の為にのみ使用する傾向が有る「トチ狂った浅薄な目的の為に深慮遠謀を巡らせる」と云うサイコパス的な人物。

生まれ付き普通の人間よりも「喜び」や「楽しさ」を感じにくい性格らしく、権力の頂点に立った快感も、それほど長い間持続せず、次々と行なう殺人すら「容易すぎる」と退屈し、極悪非道な所業を繰り返しながら「つまらぬ」「生きるとは、何とむなしい事…」と嘯くような正真正銘の化物。

最後は操り支配していたと思っていた相手から逆襲を受け、悲惨な晩年を送る事になる。

しかし、彼女に抗った者達もいつしか「怪物」と化したり、大奥や幕臣達に「邪魔者は毒殺すれば良い」「自分を邪魔者と思っている誰かに毒殺されるかも知れない」と云う考えを植え付けてしまうなど、様々な禍根を残す。

なお、彼女の時代に赤面疱瘡の予防方法が確立するが、ぶっちゃけ、赤面疱瘡撲滅に奔走した者達より、彼女の方がキャラが濃いので、この時代のエピソードでは彼女の事ばかりが印象に残ると云う読者視点・メタ視点からしても傍迷惑な人物。

  • 阿部正弘/真佐女

男女再逆転後の世では希少な女性の幕臣。家定を家慶から守り、開国後の日本のために奔走するが、若くして病死する。

  • 徳川慶喜

水戸徳川家から一橋徳川家の養子に。十四代将軍の座を家茂と争った。英才な美男子だが人への思いやりが無く家茂に見限られる。

  • 勝海舟/麟太郎/義邦

正弘から才を買われ海軍に。家茂の人格に魅せられ幕府と開国のために働く。



大奥の人間

家光(父)の乳母。大奥を作った女性。戦の無い世と溺愛する家光の血を繋ぐことへの執着が強く、そのためには血生臭い手段も選ばない。

公家出身の元僧侶で無理矢理還俗させられ千恵の側室となるが、やがて彼女と惹かれ合い立ち直らせる役目を果たす。大奥総取締として大奥の基礎組織や催事を作り上げた。

彼が大奥総取締になった際に着けていた流水紋の裃は、後の時代において「お万好み」と呼ばれるようになり、様々なエピソードで重要な役割を果たした者達が着用する事になる。

綱吉の父で千恵の側室。元は有功付きの小僧。娘の徳子を溺愛するあまり彼女に自分の考えを押し付け、道を踏み外していく。

「僧侶→大奥に入る→家光の没後に再度出家する」と云う女性に接する機会が少ない経歴のせいで、老年になっても、女性についての知識、特に女性の体についての知識は意外なまでに乏しく「綱吉に子が出来ない理由は彼女がとっくに閉経を迎えているから」と云う可能性を思い浮かべる事さえ出来なかった。その結果「綱吉に子供が出来ないのは、自分が若い頃にやってしまった殺生のせいだ」と思い込み、生類憐れみの令の発布を綱吉に進言してしまう。

なお、史実でもある「山王祭・神田祭では江戸城内に祭礼行列が入る事が出来た」理由は、この物語中では「大奥の男達の無聊を慰める為のお玉の方が提案」となっている。

  • 村瀬正資

有功の世話係だが実は春日局からの監視役。後に御右筆に命ぜられ大奥の日記『没日録』を執筆。『没日録』は男女逆転のや大奥の歴史を記した希少な書として後々にも取り上げられる。

なお、「没日録」とは、男女逆転の世になる事が決定的になった時、春日局が、最早、日本の滅亡は避けられぬと考え「日本が滅ぶまでの記録」の意味で付けられた題名だが、春日局の予想に反し、日本社会はその後も存続する事になる。

  • 右衛門佐/水無瀬継仁(映画版:堺雅人

公家出身で有功に面影が似ている。綱吉の下で大奥総取締を勤め桂昌院と対立する。世継ぎの責務に押し潰される綱吉に男女の愛を説き彼女と結ばれる(映画版では少々設定が異なる)。

右衛門佐の部屋子で、彼の死後は総取締を継ぐ。かつて実妹との間に娘をもうけたが、妹への愛を諦められず他の女と結婚させられないために大奥入りしていた。よしなが漫画定番の眼鏡キャラ。

  • 勝田左京/左京の方/月光院

武家の出ながら異常な母に支配されやさぐれていたが間部詮房との出会いで脱出、家宣の側室となり家継を設ける。間部に想いを寄せているが、当の間部は清々しいまでに、彼を「主君の世継ぎを作る為の種馬」としか考えておらず、「同じ主君に仕えた同志」と見做す事は有っても、恋愛の対象として見ると云う発想さえ浮かべる事は無かった。

  • 江島/江島慎三郎

家宣将軍就任後の大奥総取締。人格は優れているが、不器量で毛深い容貌から女性たちから避けられコンプレックスを抱いている。

1巻の主人公。作中当時の男子では珍しく武術に優れた働き者。吉宗の御内証の方を務めたが、後に彼女のはからいにより町人として幼馴染みと念願かなって結ばれる。

大奥での水野のよき先輩。最下級の御家人出身だが、吉宗に信頼され男女の仲はなかったものの娘達の父親がわりとなる。

  • 青沼/吾作

オランダ人と丸山遊女の混血児で優れた蘭方医。田沼の命で大奥内での蘭方医学の講師と赤面疱瘡の研究を任される。

  • 瀧山/新之助

武家出身の元陰間。正弘からその聡明さを買われ、大奥総取締として家定を守る役目を任される。

  • 近衛胤篤/(今和泉)島津忠敬/天璋院

家定の3人目の御台所。義父・斉彬から次期将軍に慶喜を擁立する命を受け降嫁。だが家定と心を通わせるうちに考えを改める。

  • 和宮/親子(ちかこ)

家茂の御台所。実は男装の女性で江戸行きを拒絶した弟の代わりとして降嫁。

母の愛情に飢え孤独を抱えていたが、家茂の優しさに触れ家族と慕うように。

男装・身代わり・高貴の血筋だが世間的には存在していない人間といった設定は家光(娘)に通じるものがある。


その他

  • 神原さと

家光(娘)と同年代の少女で本百姓家の長女。男手の減った村を支えるべく奮闘する。彼女を中心として農村の男女逆転に至る図が描写されている。

  • 平賀源内/吉

男装で同性愛者の女性学者。赤面疱瘡の解明のため諸国を漫遊し田沼、青沼たちの手助けをするも、治済の策により梅毒をうつされる。自由な言動から人気者だが敵を作りやすい。


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