概要
「食事は左利き、筆記は右利き、携帯電話は左利き」のように、作業内容や用途によって利き手が異なる症状である。
左右どちらの手も器用に使える両利きとは異なり、左利きの作業を右手で行うことや右利きの作業を左手で行うことはできず、目的・道具ごとに使い分ける必要性があり、後天的な矯正は困難である。
社会的困難
アスペルガー症候群やADHDとは異なり、単に利き手が交錯するだけなのでそれそのものによる直接的社会的困難は生じない。むしろ食事をしながら仕事を片付けるようなことも可能な場合さえあり、見方によっては利点しかないようにも見える。
しかし、実際には周囲の人間の偏見や悪意により、左利きの人間と同等か、それ以上の困難を抱えてしまうことが(特に日本では)顕著である。
クロスドミナンスの発症者は、作業内容により利き手が異なるため、周囲から一見して左利きなのか右利きなのかわからないため目立ってしまうこととなる。それゆえにふざけていると誤解され、いじめやパワハラの標的とされることが多い。また、自身でも初めて行う作業や初見の道具に対し、左右どちらで使うべきかわからないために習得に時間がかかることもあり、それゆえに発達性協調運動障害を併発する場合がある。これらにより就職や人間関係で困難を抱える場合が多々ある。
他の発達障害に比べて認知度が低いことに加え、日本のように他人の一挙手一投足を観察して少しでも目立つ人間を排除する文化のない欧米社会においてはほぼ社会生活において問題が生じないため、病気としても認知されていない。ゆえに論文などの報告も極めて少なく、適切な支援を受けることがほぼ困難であり、ストレスによる二次障害としてうつ病やPTSDを発症することもある。
原因
よくわかっていない。有力な仮説では、クロスドミナンスの患者は本来は生まれつき左利きであるとされる。しかしながら、世の中の道具の大半は多数派である右利きをベースに設計されているため、左利きの人間は時に矯正して右手で使用した方が使い勝手が良いということもままある。このため、学校や親による教育で矯正されたり、見よう見まねで右利きの人間の道具を使う様を真似をした結果、発達初期において習得した動作は右利き、それ以降に自力で獲得した動作は本来の利き手である左利きで扱う状態に慣れてしまうことにより発症するとされている。
イスラム教徒の場合は、宗教的戒律により食事は利き手に関わらず右手、用便の後始末は利き手に関わらず左手など、日常のあらゆる行為を左右分けて行うことを義務付けている。そのため、本来左利きの人間はもちろん、右利きの人間もクロスドミナンスとならざるを得ない。
創作においては
艦隊これくしょんの金剛が、コンテンツによって右利きであったり左利きであったりするためにクロスドミナンスではないかという疑惑があるが、公式の見解はないため不明。また、両利きの可能性も否定できない。